表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/32

EP 12

「え、どういうこと? 私の作った玉子焼きを食べたいなんて、どゆことなん?」

ぶつぶつひとりで呟いてますけど、安心してください、ちゃんと仕事してますよ。

(「食べたいの!」「……食べたいの?」「食べたい食べたい食べたい」「わ、わかったわかった」)

もう一度脳内再生。あの寸劇イッタイゼンタイなんだったの?

「そんなにお腹すいてたんか……それとも味覚勝負でマウント取りたいだけとか?」

しかも、「また一緒に弁当食っていい?」ときたもんだ。

私は書類を整えていた手を止める。

上からの評価も売り上げも上々だった加湿器の後にリサーチしているのは、キースタンド。鍵をかけられるし、スマホの置き場にもなるスグレモノだ。

ただ、デザインでビビッとくるものがない。

私がデスクにいる香山チーフに相談を持ち掛けようとして、振り向いた瞬間。

「なになに相談ごと? 繭香、今なにリサーチしてる?」

イスをガガガーと鳴らしながら、スッ飛んでくる。

「え、は、っと今はキースタンドを……」

「キースタンド! イイネ -_-b !! でなに? デザイン? デザインで悩んでるの?」

「そ、そうだけど……」

普段からスカしていて、そんなにべらべら喋らない八千穂なのに、屋上で弁当を食べた日以来、めっっっっちゃ喋りかけてくるのよこれが。

どうした!! 八千穂類!!

「流行ってるのは、ナチュラル系かな。あ! これ良いんじゃね? このリーフ型のやつ!!」

私のPCの画面を指差してくる。その瞬間、八千穂の肩が私の肩に、とんってくっついた。

んーなんじゃこりゃ。

「私はさ、北欧風みたいなデザイン好んじゃうから、これなんか好きなんだけど……でも北欧ファブリックとかの流行、もう終わってるからなあ」

「流行は確かに終わってるけど、北欧風は根強い人気があるから。イケると思うけど……じゃあこれは?」

さすがの八千穂。選んだ商品は、北欧とモダンを足して二で割った感じの、オシャレなキースタンド。センスが良い。

ふーんこれねえと思っていたら。

「おい。八千穂ー。花崎の企画書だぞ。おまえのチョイスでどうする」

香山チーフお叱りの声が飛ぶ。

「ちっ」

え? なに今の? 八千穂、舌打ち? 舌打ちしました?

香山チーフが近づいてくる。

「どれどれ? 花崎、悩んでるんか?」

「ふぁい」

立ったままデスクに腕を立て、私の後頭部に、香山チーフの胸が触れる。バックハグみたいな体勢に、私は少しだけ恥ずかしくなってしまい、変な返事をしてしまった。いやいや、ハグしてないからバックハグではない。ハグってないから、ギリ。

「え、あ、き、機能性重視すると、デザインが限定されてきちゃって。これとこれ、これで迷ってます」

「ふーん。俺はこれが好みかな」

と、握っていたマウスの上から手を包み込まれ、そのままクリック。仕様ページへ飛ぶ。

ふお!

「ちょ、これ花崎の企画書ですよ!」

ってかセクハラじゃねえのかよそれ、八千穂が声を抑えながら小さく舌打ち。

「えー、花崎迷ってるって言うからさ。俺はこれが好きって言っただけじゃん」

「だったら、俺だってこれが好き」

「うわ、だせー」

「なんだって!! なんならこれだって、だせえっすよ」

頭上で会話っていうか罵声? が飛び交っている。

「……あのう……自分で決めます」

すぱっと一件落着。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ