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EP 10

「What?」

「だから、一緒に昼メシ食わねーかってこと」

八千穂が狂った。

なんだ? なにが目的か?

「なんで私が八千穂とごはん食べなきゃいけないわけ?」

「たまには良いだろ?」

「あんたの取り巻きはどうしたの。私、睨まれるのヤなんだけど」

八千穂が手に持っているのは弁当。もちろん八千穂の手作りだ。

八千穂のうちはシングルマザーで、お母さんは大学へ行きたいという八千穂の願いを叶えるため、相当働いて苦労して八千穂を育てたと聞いている。八千穂は八千穂で、お母さんの負担を減らすべく、料理を頑張ったらしい。

だから、好きで弁当男子になったってわけでもない。それに今は仕事で忙しいお母さんの分も弁当作ってんだからね! 取り巻きの方々っ、耳をかっぽじって良く聞けよ?

「今日は食堂には行かないって周知してある」

周知? 今、周知って言った?

「屋上だよ、いい?」

「お、おう!」

「陽当たりえげつないよ」

「わかってる」

「華さんが傷をえぐってくるよ」

「おまえのメンタルどうなってんの?」

私と八千穂は並んで階段へと向かい、階段を上がる。息があがってきて、八千穂のはっはっという短い息遣いを感じた。

変な感じ。

とにかく妙ちくりんなわけ。どんな意図があるのかわからないから、こっちはそわそわしちゃうんだって。

「華副社長に攻撃受けながらって、ちゃんと休めてるんか?」

妙に八千穂が優しい。

「大丈夫大丈夫。どっちかって言うと癒されてるから」

「ドMかよ」

ふすっと笑ってしまった。

ちょま笑ったよ! ?

隣を歩く繭香の横顔を盗み見る。頬を緩めた柔らかい笑顔に、俺はびびびってきてしまった。さっきから、足元ふわふわ、おぼつかない。

嬉しさに胸を躍らせている。じわ〜。

「ベンチ狭いけど、ここで良い?」

しかもベンチ狭っっっ! ありがとう! ベンチの神様!

「別にここで良いよ」

心とは裏腹に、冷静ボイス。

よいしょと座ると……肩がくっついてるーー! ほわりと繭香の体温を感じて嬉しくなってしまった。もっと早くに勇気を出して、一緒に弁当食べれば良かった。

なーんて、じーんと幸せを噛み締めていると。

繭香が、膝の上に乗せた弁当箱を開けようとして、また閉じた。

「あんたの弁当から見せてよ」

「ん? 俺? 別にいいけど……はい、こんな感じ」

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