『Kutulu』が手元にあるぞ〜
こう書いてクトゥルーと読みます。TRPGを遊ぶ人の中にはピンとくるかたもいらっしゃるんじゃないでしょうか。クトゥルフ、のほうがさらに通りが良いでしょう。
あとは怪奇小説が好きな人、ダーク系のファンタジーが好きな人も知っているかもしれません。クトゥルフというのは、アメリカの作家ラブクラフトが書いた怪奇小説に出てくる、深海に眠る太古の地球の支配者を指します。彼が産んだ暴虐の神々と人間の知らない本当の地球の歴史について書かれた作品は、彼の友人の間で好評を博しました。ラブクラフトはそれらのモチーフや世界観を共有することを許し、そのおかげもあり発展していった作品群はやがて彼の死後にクトゥルフ神話体系としてまとめられました。
そんな経緯から、ラブクラフトの遺した作品に出てくるモチーフは多くの作家に愛され取り入れられています。それはTRPGにおいても同様で、メジャーなタイトルだけでも『クトゥルフの呼び声TRPG』や『クトゥルフ神話TRPG』などいくつかあります。
『Kutulu』もそのその一つになるのですが、これは今までのゲームとは大きく変わった特色を持っています。TRPGはプレイヤーの代わりに物語の中で動いてくれるキャラクターを作り、彼の持つ能力を数値によって表すことでゲーム性を確保しているものです。さらにはキャラクターに取らせた行動の成否を、プレイヤーが自身が振ったダイスの出目により決定することで、劇的な場面になるよう仕掛けています。
※ダイスとは、わかりやすく言えば卓上ゲームに使うサイコロであり、その複数形です。しかし一般的にサイコロといえば正六面体のことを指すため、混同を避けるためにこの呼び方をします。正十面体、正二十面体などさまざまな種類があります。
しかし、『Kutulu』はそういった「ダイスを振る行為」、キャラクターの行動の成否を決する、「判定」と呼ばれるものの範囲を絞っており、その回数を減らしています。特に、キャラクターがアクティブに身体を動かして行うことではないもの、五感を使って情報を得たり、自身の知識を参照して物事を判断するようなものに関しては、ダイスを振らないことにしたのです。
ダイスを振って結果に一喜一憂するのは楽しいものですが、それと同時に没入感は削がれてしまいます。クトゥルフ神話体系の物語は怪奇モノでありホラーであることが多いので、できることならのめり込むような没入感は欲しいところです。冒涜的でおぞましい怪異に面して狂気に侵されていく…そんな原作小説のような一幕を味わうのに、『Kutulu』はまさに最適なゲームであるかな、と私は思います。
そう、最近になってラブクラフト作品を読み進めているとなおさらそう感じるのです。有名なのは『ダゴン』に描かれている一節ですが、そういったものより『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』や『闇にさまようもの』が好みですね。
ラブクラフト作品には幻想絵画や古い建築についての蘊蓄が多く出てきます。スプラッターのような派手さではなく、人々の囁く噂話の、その中からまろびでるナニカの歪さのようなものを取り扱っていて、私は好きですね。
温かい日にお茶をしながら読むのではなく、薄い明かりの下で夜中にこっそり読むのが何より似合うような作品に感じます。原著も読んでみたくなって、英語版の青空文庫のようなサイトで探し始めたんですよ。まず最初に『天涯から来たる色』を読んでいます。
時折、チョコチップクッキーをかじり、牛乳を飲みつつね。ちなみに、贅沢なチョコチップクッキーより、素朴なもののほうが好きだったりします。ケーキ屋の手作りの焼き菓子もよし、工場製品もよし。最近ではオーツ麦のチョコチップクッキーが美味しかったです。クセになります。
また何か、思い出したら書きますね。