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神へ捧げるカントゥス★  作者: 茄子
8/109

007 7月

 皆森彩愛の一日は忙しい。

 家の使用人や教師陣によってそれこそ分刻みでスケジュールが進行している。


5:00


「彩愛様、朝でございます。お目覚めください」

「…おはようございます」

「おはようございます彩愛様。お着換え後トレーニングルームにて先生がお待ちです」

「はい」


5:20


「おはようございます、先生」

「おはようございます彩愛さん。早速ストレッチをしてから始めましょう」

「はい」


 鏡のついたトレーニングルームの床に敷かれたマットの上に座ると、彩愛はストレッチを始める。

 ここから約一時間ほどバレエのレッスンがある。

 もっとも、本格的なレッスンは行われず、この時間に行われるのはストレッチと基本ポジションである。


7:00


 バレエのレッスン後シャワーを浴びて髪を乾かし、使用人によって髪を結われダイニングルームの椅子に座る。

 すぐさま目の前に配膳される朝食は野菜を中心にした和食。

 焼き魚をきれいにほぐし品よく、一口一口食べ進めていく。

 ダイニングには彩愛以外に食事をとる者はいない。

 父も母も仕事で海外を飛び回っている。

 そろって食事をしたのは婚約発表の時が最後だったか。


7:45


 食事を終えて食後のミルクを飲み終わったころに声がかかる。

 席を立ち、使用人から鞄を受け取り玄関に寄せられた車に乗り込む。

 おもむろにスマートフォンを取り出してメールを確認する。

 少女らしい笑みを浮かべて画面をタップして返信をする。

 車の中のこの時間が彩愛にとっての自由時間になる。


8:20


 学園に到着。


「おはようございます彩愛様」

「皆様おはようございます」


 ここから教室へ向かい、朝の会がはじまり第一時限から昼食をはさんで第五時限まで行われる。

 授業はほぼ個人授業のようになっており、パーテーションに区切られた半個室でパソコンに向かい講義を受ける。

 休み時間には友人と集まっての情報収集や談話、移動時も周囲との関係性を深めたり情報収集を行う。



12:10


 昼食時間。

 初等部とはいえ教室で食事をとることはなく、学園にある食堂へ赴かなければいけない。

 初等部優先席という者もあるが、彩愛の座る席は高位の家格の子女のみが使用できる二階席だ。

 食堂は吹き抜けになっており、二階席を下から見ることはできない。

 二階席も順位という者があり、彩愛の座る席は一番良いとされる席である。

 もっとも、二階のどの席も観葉植物などで仕切られており、注視しないかぎり隣の席は見えないようになっている。


「わあ!すごーい!」


 席は見えなくなっていても大きな声を出せばもちろん聞こえてくる。

 食事に似つかわしくない大きな声に口に運ぼうとしていたフォークを下す。

 すぐさま一人が席を立ち様子を見に行き、すぐさま戻ってくる。


「篠上様達が例の女生徒を連れてきているようです」

「まあ、あの方をですか」


 高位の家格の子女しか使用できないが、その連れであれば使用することはできる。

 今まで佐藤妃花の声をここで聞くことはなかったのでおそらく今日初めて連れてきたのだろう。

 特別待遇をすることは佐藤妃花にとっていいことなのかはわからないが、騒がしくするのであれば今後は遠慮してほしいところだ。

 その後もずいぶんと賑やかに食事をしているようで、聞き耳を立てなくともこちらに会話が聞こえてくる。


「明日はもう少し静かに食事したいものですわ」


 配膳を下げてくれる給仕にそういえば、一瞬動きを止め「かしこまりました」と返事をもらった。

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