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神へ捧げるカントゥス★  作者: 茄子
46/109

045

『彩愛、待っておったぞ』


 家に戻った彩愛を部屋でソファに座った花の神が迎える。

 彩愛としては今から着替えなければならないのだが、待たれているのであれば先に神への応対をしなければなるまいと同じソファに腰を掛けた。


『佐藤妃花なる娘じゃが、あやつはどうなっておるのじゃ?我は今すぐ改名させとうてしかたがないわ』

「ではお分かりになりましたのね」

『うむ、あやつの部屋に草花がない故ちと手間がかかったがの』


 曰く、水上史を攻略すると発言している。

 曰く、吉賀麗奈がいなくなってせいせいしている。

 曰く、学園の女王になるのは自分だと思っている。

 曰く、自分はヒロインで邪魔するものはすべて悪役。

 曰く、悪役令嬢にも成れない子供の彩愛を何とか排除しようとしている。

 曰く、篭絡させた男どもは手ごまと思っている。


『今日分かったのはこのぐらいじゃの』

「は…はあ…?」


 色々とわからない部分があるのだが、とにかく彩愛のことを排除しようと思っていることは理解できた。


『我らの彩愛を排除など、愚かしいことを言っておるのでな、ちと身の程をわからせておいたぞ』

「何をなさいましたの?!」

『なに、彩愛が泣くゆえたいしたことはしておらぬ。ちとあやつの行く先々の草花を枯れさせただけじゃ』


 もっとも、あまり効果はないようだと花の神は悔しそうに言う。


「然様ですか…」

『あのように腐った魂の持ち主じゃ、道々の花になど目がいかぬのであろう』


 庶民とは、そういう者なのだろうかと彩愛が考えていると、花の神は彩愛の髪をほどいて結いなおす。

 ところどころに梅の花が絡まり、長い髪が彩られ複雑に結い上げられていく。

 結い終わったところで満足したのか、花の神は彩愛に寄りかかるように体を動かす。


『彩愛はこの後予定があるのじゃな』

「はい。今日はこの後お歌の稽古とダンスのレッスンがございます」

『歌か!よいの!今回の褒美に歌を所望す』

「謳いではございませんよ?」

『よいよい。彩愛の歌は我らにとって甘露よ』


 花の神はそう言うと立ち上がり、早く早くと彩愛をせかす。

 彩愛は着替えるので少し待ってほしいと言えば、すぐに大人しくなり楽しそうに彩愛の着替えを見る。


「着替えなど見て、楽しくはございませんでしょう?」

『そのようなことはないぞ。人の子が彩愛を着飾らせるように我らも彩愛を着飾らせたいと思うておる。その証拠に髪飾りや装飾品など、よく渡されておるじゃろう』

「ええ、まあ…」


 確かに各神から装飾品、特に髪飾り系を貰うがそのような意図があったとは知らなかった。

 着替え終わった彩愛の手を引き、花の神は音楽室に入る。

 中で待っていた講師が花の神の出現に驚き、気を失いかけたが、その後なんとか花の神が満足するまで歌のレッスンをすることが出来た。

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