恋するあなたに恋してる ―8
その決意と計画を、サレナは一番最初に、この学院で初めて出来た心友――アネモネへと打ち明けた。
それを聞き終えたアネモネは下を向き、しばらくぷるぷると小刻みに震えていたが――。
「――す……」
「……す?」
まるで口から空気が抜けるように発されたその文字を、自分でも発してみながらサレナが首を傾げる。すると、アネモネは突然ガバッと顔を上げ、
「素晴らしいですわ、サレナさん!! カトレアお姉様とアドニスお兄様の仲を取り持とうだなんて……!! まさしく素晴らしい、最高の思いつきですわ~~!!」
突撃してくるかのような勢いでサレナの両肩を掴むと、興奮のあまりか叫びながらガクガクと前後に揺すってきた。
どうやら、その前の様子は下を向いて感動と喜びに打ち震えていたものらしい。
あーはいはい、落ち着いて。
サレナはそう言いつつも、アネモネの感動と興奮がおさまるまでしばらくされるがままに揺さぶられていた。
「是非とも、私にも協力させてくださいませ!! いえ、たとえサレナさんがそれを望んでおられずとも、私の方から勝手に協力いたしますとも!!」
サレナの三半規管がそろそろ限界を迎えそうになってきた頃に、ようやくアネモネは揺すぶるのをやめると、こちらの両手を自分の両手でぎゅっと握りしめながらキラキラと輝く瞳でそう申し出てくれた。
「あ、ありがとう……助かるわ」
「何としても二人でこの素敵な計画を成功に導きましょう!!」
それでも興奮冷めやらぬのか「腕が鳴りますわ~!」と叫びながらうっとりした様子でくるくるとその場で回っているアネモネを見ながら、若干人選間違えたかもなぁ……、と思ってしまうサレナであった。