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このゲームを百合ゲーとするっ!  作者: 一山幾羅
第一対決
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第一対決  VS 恋心 ―5

 結局その後は、渋っていたカトレアさまもロッサに丸め込まれ、サレナとアネモネの対面に三年生の三人が座って、無事五人での会食となってしまった。


 アドニスは場を少しでも盛り上げようと積極的にサレナへ会話を振ってくれたが、当のサレナはそれに対して適当な生返事しか返さず、かえって食卓はぶつ切りの会話が飛び交う気まずいものとなっていた。

 しかし、アドニスはどうもサレナのその態度を極度の緊張からくるものだと好意的に勘違いしてくれたらしい。

 "仕方ないな"と嘆息しながらも、気分を害した様子は全くなかった。流石に度量の広い王子様である。


 それに、アドニスのその解釈もあながち間違いばかりではなかった。

 確かにサレナはその時、多少不慮の事故的な経緯とはいえ念願のカトレアさまと一緒の食事ということでかなり緊張してしまっていたのだ。

 時折チラチラとカトレアさまの方に視線を向けてみては、ずっと見ていられなくてすぐに目を逸らして俯いてしまうなんてことを、サレナは食事中ずっと繰り返していた。


 そのカトレアさまだが、やはり一年生の席での食事というのは気乗りがしないのか、口数も少なく黙々と食事を進めていた。

 だけど、物憂げに食事をされるカトレアさまというのもそれはそれで絵になる美しさだったので、サレナ的には大満足だった。


 サレナの隣に座るアネモネはといえば、色々あったものの大好きな従兄弟やカトレアさまとの一緒の食事ということで普通に楽しそうだった。

 サレナは思わず"この子は頭大丈夫なのか"という呆れた目を向けてしまった。


 そして、ロッサは食事の間中、適当に会話に混ざりながらも、ずっとニヤニヤと意地の悪い笑みで面白そうに、サレナの方へ観察するような視線を向けてきていた。

 こんな奴無視だ無視。サレナはそう決め込み、食事の間は努めてその視線を無視し、一度も目を合わせていない。


 そんな風にして、どうにか発生を回避しようとしたものの、大分ねじ曲がった内容ではあるが結局ゲームと同じく"食堂イベント"は起こってしまった。


 サレナは騒動が起こる前はあれだけ美味しそうだったのに、今は味がよくわからなくなってしまったサンドイッチをもしゃもしゃと食べながら、改めて考える。


 どうやらこの体は、どうあっても攻略対象(おとこ)達を引き寄せてしまう星の下に生まれてしまっているらしい。


 であれば、ここからは無理にその出会いやイベントを回避しようとするのではなく、それが起こってしまうことを前提とした行動と対応をしていかなければなるまい。

 関わり合いにならずに生きられないのならば、関わり合いになった上で自分に必要以上の好意を抱かせずに生きていくしかない。


 更に、それと並行してカトレアさまとの絆を深め、恋愛対象として見てもらう。


(ああ、もう……やっぱ、改めて難題だなぁ……)


 だが、難題だろうと何だろうと、目的のためにはやり遂げるしかない。


 ライバルに愛される。

 攻略対象には好かれない。


 どっちもやらなければいけないのが、主人公(ヒロイン)――ではなく騎士(ナイト)志望の辛いところであった。

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