夢ちゃんの夢
最近、ショーンがため息ばかりついてます。
外は雪が舞っています。ショーンと出会って1年になります。夢ちゃんはショーンと出会った記念を祝おうと思っていたのに、ショーンがこんな調子では楽しくなりそうにありません。
「どうしたの、ショーン?」
聞かれたショーンは、ん、と言うとまた、はぁ、とため息をつきます。なかなか答えてくれません。
「ショーンのことが心配だよ。最近、全然笑顔じゃないもん。なにか、悩みがあるの?」
ショーンは下を向いてしまいました。そして、意を決したかのように前を向きます。
「夢ちゃん、言わなければならないことがあるんだ」
夢ちゃんはショーンの真剣な眼差しから、並大抵のことではないと悟りました。夢ちゃんは胸に手を置いて、深呼吸をしました。
「何?」
聞く準備ができたところでショーンに聞きます。
「クリスマスイヴだね」
ショーンはぼそりと言います。なかなか言い出せません。
「そうだよ、ショーンと会って1年経つんだよ。お祝いしないとねっ!」
夢ちゃんがそういうと、ショーンの顔はさらに悲しそうな顔になります。
「夢ちゃん…………」
「ん?」
ショーンはなかなか言い出せません。夢ちゃんはショーンの言葉を待ちます。
「お祝いは、できない」
ショーンが言うと、夢ちゃんはもう一度、胸に手を置きます。
「どうして?」
ショーンは少し涙目でした。
「僕は、雪だるまの妖精の森に帰らなければならない。言葉を授けられて1年生きた雪だるまが行く森だよ」
夢ちゃんは愕然としました。
「森に帰るって……また会えるよね?」
ほんの少しの望みをかけて夢ちゃんは聞きます。しかし、ショーンは首を横に振ります。
「会えないんだ」
今度は夢ちゃんが涙目になます。
「い、いやだ、ショーンと別れるなんて、嫌だ!」
我慢しきれず、ほほを涙がこぼれます。ショーンも辛そうですが、ショーンは夢ちゃんをなだめるように話します。
「夢ちゃん、大丈夫。僕が森に帰るとき、夢ちゃんは僕と話したことを忘れる。ただの雪だるまと1年過ごしただけなんだ。悲しまないで済むんだよ」
「そんなの、嫌だ! ショーンのこと、忘れたくない!」
夢ちゃんの涙は止まりそうにありません。ショーンはなだめるように言います。
「夢ちゃん、僕は魔法を使えるんだ。一つだけ願いをかなえてあげる。ただし、僕が森に帰ること以外」
願い…………ショーンとずっと一緒にいることはどうしてもできないらしいと夢ちゃんも悟りました。
「ショーンと別れなきゃ、だめ?」
ダメもとで聞いてみましたが、ショーンは頷くだけです。夢ちゃんはうーん、と悩みます。なかなか答えは出ません。
「夢ちゃん、今日の夜12時には僕は森に行かないといけない。時間、もうないよ?」
夢ちゃんはせかされ、願いを絞り出しました。
「じゃ、病気を治して」
ショーンは頷き、手を星の形に動かしました。途端に夢ちゃんは眠くなります。
「おやすみ、夢ちゃん。今までありがとう」
ショーンはそういうと、窓をわざと開けないですり抜けて外に出てゆきます。
ショーンは病室をもう一度だけ見ます。
「神様、僕の分も願い叶えて」
心で唱えます。その後、ショーンが病室を振り返ることはありませんでした。
冬休みが終わり、校庭には夢ちゃんの姿がありました。お見舞いに来てくれていたゆきちゃん、そして、ゆきちゃんのお友達のあみちゃんと一緒です。
あみちゃんとは冬休みが終わってからであったのですが、夢ちゃんはいい友達ができてとても喜んでいます。
ショーンの願い。それは、夢ちゃんと一生付き合える友達ができますように、というものでした。
その後、夢ちゃんは毎年冬が来ると、雪だるまに話しかけていた病院でのことを思い出します。そして、病気が治ってよかったなぁ、と心の底から思うのでした。




