あの大きな花
夢ちゃんは部屋の中の鉢植えに水をやります。部屋の中で育ったためか、少し控えめな育ち方ではありましたが、その鉢の花は立派に咲いていました。
夢ちゃんはその鉢の花を見上げると、一つ、うん、と頷きました。
季節は夏になっていました。冷房が効いているとはいえ、窓際のいると汗が噴き出ます。
「どんな反応するかな~、ショーンは♪」
わくわくしながら夢ちゃんはショーンがいる冷凍庫のドアを開けました。
「ショーン、見せたいものがあるの~」
ショーンは昼寝をしていたようでした。呼ばれてもぼーっとしています。
「ショーン、これ見たらびっくりするよ~!」
夢ちゃんの声に、ショーンは目をぱちぱちして何とか目を覚まします。
「一体、何?」
その質問に答えず、夢ちゃんはショーンを冷凍庫から出します。ショーンに鉢をみえないように背中で隠しながら冷凍庫の上にショーンを置きます。そして。
「じゃーん!!!」
夢ちゃんが鉢の花を見せます。それは、ひまわり。夢ちゃんはショーンを驚かせたくて、驚くのは何か考え、冬生まれのショーンには真夏の花を見せたくて、春から鉢に種を植え、じっくり育ててきたのでした。
「う、うわぁ…………」
ショーンは目を大きくしました。口もあんぐりと開いてます。
「ひまわりだよ。ショーン、見たことないでしょ?」
ショーンはカクカクと何度も頷きました。ショーンは知識ではひまわりを知ってました。でも、実際にこんなに大きな花だとは知りませんでした。
「すごいねぇ。夏は、こんな力強い花を生むんだねぇ」
じっと見ているショーンが汗をかき始めました。
「ショーン、そろそろ冷凍庫に…………」
「夢ちゃん、待って。もっと見ていたい」
ショーンの目は真剣でした。夢ちゃんはショーンの目に押され、ショーンを冷凍庫に戻せませんでした。
「すごいねぇ……すごいねぇ……」
ショーンがどんどん汗をかきます。このままでは夏の暑さでショーンが水になってしまいます。夢ちゃんは慌てて病室からでると、ナースステーションの前で叫びました。
「すみません、氷、かき氷ください!」
冷凍庫に雪だるまがいることを知っていた(まさか、しゃべるとは思ってはなかったが)婦長さんがかき氷をくれました。夢ちゃんはそのかき氷を持って病室に戻るとショーンに服のようにはりつけました。ついでに、足と手も作ります。
一命をとりとめたショーンは夢ちゃんにありがとうと言うと、すくっと立ち上がりました。
「うん、立つという経験も初めてだ」
そういうと足をバタバタさせます。
「ショーン、お願いだから冷凍庫に戻って」
ショーンは頷いた。夢ちゃんが冷凍庫のドアを開けるとショーンは自分の足で冷凍庫に戻ります。
「夢ちゃん、このひまわりは夢ちゃんが育てたの?」
「そうだよ。ショーンを驚かせたかったんだ♪」
ショーンはひまわりに感動、夢ちゃんの気持ちに感動しました。
「僕、夢ちゃんのお友達でよかった」
にっこり笑うショーン。夢ちゃんも、喜んでもらえてご機嫌なのでした。




