春は新鮮
夢ちゃんは窓の外を見ました。そこには満開の桜です。季節は春、お友達は春休みが終わって学校に通い始める時期です。
学校、行きたいな……。病院に長くいる夢ちゃんは学校に憧れています。桜の並ぶ校庭で友達と走り回ったり、縄跳びなどしたいのです。
夢ちゃんの外を見る目が何となく気になったので、ショーンは言いました。
「夢ちゃん、僕にも外を見せてくれない?」
夢ちゃんは言われたとおり、ショーンを冷凍庫から出すとテーブルの上に乗せました。
「わぁ…………」
ショーンは感激しました。桜の花びらが窓の外を舞っています。見たことのない光景です。
「知識としては知ってたんだけど、これが桜吹雪かぁ……きれいだね、夢ちゃん!」
目をキラキラさせて言うショーン。でも、夢ちゃんの心は沈んだままです。
「夢ちゃん?」
「ん?」
「元気ないね」
「うん……。学校、行きたいなって」
「学校?」
「友達と遊びたい。あ、ショーンはもちろん友達だよ? でも、学校の友達とも遊びたい。今頃、校庭で鬼ごっこしたり、縄跳びしてるのかなぁと思うと、悲しくて」
夢ちゃんは下を向いてしまいました。
ショーンはどうしたら夢ちゃんを元気づけられるか考えてます。でも、なかなかいい案が出てきません。一生懸命考えていたら汗がでてきました。
「あ、溶ける!」
夢ちゃんは慌ててショーンを冷凍庫に入れました。
「ショーン、無理しないで! 水になっちゃう!」
「はぁ、なんか、暑かった。やっぱり僕は冷凍庫の中がいいや」
ほう、とショーンは息をつきました。
「でも、桜は本当にきれいだった。春って、いい季節だね!」
ショーンが言うと、夢ちゃんはいろいろ教えてあげたくなって春のことについて語り始めました。
「春はねぇ、いっぱいお花が咲き始めるの。黄色いタンポポやスミレとか。でも、カエルや蛇も出てくる。暖かいといろんな生き物が動き始めるの」
話し始めると、いつもの笑顔の夢ちゃんに戻っていました。
その笑顔を見てショーンはホッとしました。
うん、笑顔の夢ちゃんはかわいい!




