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Report13. AIロボットは魔法を習得できるのか? part.2

リビングルームでお茶を楽しんでいたイサミたちの所へ、メアリーが戻ってくる。

そして、席に着くや否やイサミたちに一つの提案を持ち掛けた。


「二人とも、これからエルト王国へ向かいましょう。」


唐突なメアリーの提案にその場にいたイサミとソニアは同時に首をかしげた。


「エルト王国へか?わらわは構わんが、何か理由があるのかの?」


「ええ。イサミくんの魔法の特訓のために、行く必要があるわ。」


「なるほどの、確かに魔晶石の恩恵の下であれば、こやつも魔法を使えるようになるかもしれぬな。」


「そういうこと。」


ソニアは納得したようであったが、イサミは二人の会話を把握出来ずにいた。


「ちょっと待ってくれ。エルト王国っていうのは一体どんな所なんだ?俺はそこへ行けば、魔法が使えるようになるのか?」


イサミの質問に対して、メアリーはコクリと頷いた。


「ええそうよ。エルト王国は魔晶石という魔力を秘めた鉱石が国の中心にあって、そこに住む人々はその石の恩恵を受けているの。」


「魔晶石の恩恵…?」


「そうね…まあ簡単に言うと、その石の近くにいれば魔力が強まったり、魔力をコントロールしやすくなるって感じかしら。

イサミくんもこの環境ならすぐに上達すると思って提案してみたんだけど…どうかな?」


「なるほど、つまりエルト王国は魔法を習得するのにうってつけの場所というわけか…迷う理由はないな。メアリー、俺をその国へ連れて行ってくれ。俺はどうしても魔法を使えるようになりたいんだ。」


「えーと、そのことなんだけど…実はイサミくんは既に魔法を使うことができてるの…」


メアリーの発言にソニアは思わず目を大きく見開いた。


「本当かメアリー!?でもさっきの特訓では、火炎球は出なかったんじゃぞ!」


「ううん、実ははるか上空に()()()の…太陽の大きさぐらいある規格外の超巨大な火炎球(フランバル)が…」


「なんと…イサミの魔力は一体どうなっているんじゃ…」


ソニアは腰をぬかし、その場にヘタリと座りこんでしまった。

一方でメアリーは、真剣な面持ちでイサミに語りかける。


「イサミくんの魔力は今後の戦いにおいて大きな武器になるかもしれないけど、同時に大きな災害を招く危険性も孕んでいるわ。まずは、その強大な魔力を制御することから始めましょう。いいわね、イサミくん?」


「ああ、よろしく頼む。」


イサミの了承を得たメアリーは、すぐさま呪文を唱え始め魔法陣を形成する。

その数秒後にはレジーナの里に来る時に通った、空間の穴が開くのであった。


「さあ、行きましょうか。」


メアリーを先頭にイサミとソニアもその空間の穴に入って行く。

全員が入ったのを確認したメアリーは、後に誰も入って来ないようしっかりと空間の入り口を閉じるのであった。


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一方で、日比谷研究所の実験室。

その研究所の主は鼻を高々と伸ばし、完全に有頂天となっていた。


「聞いたか!?羽倉!イサミのポテンシャルを!規格外の魔法だと!天才だ!世界初いや、異世界初の天才AI魔導師がここに誕生したんだ!」


「わかった!わかったから、一回落ち着けって!」


興奮気味に話す日比谷を羽倉はどうどうと言って落ち着かせる。


「しっかし、まさか本当に使えるようになるたぁね。こりゃ一体どういう仕組みなんだ日比谷?」


「わからん!!さっぱりわからん!」


自信満々に言い放った日比谷を見て、羽倉は昭和のアニメさながらにズッコケる。


「だから!そんな自信たっぷりに言うことかよ!」


「今はな。その原理を紐解いていくのが楽しいんじゃないか!

さあ、これから忙しくなるぞ!眠れない日はまだまだ続きそうだ。」


その言葉とは裏腹に日比谷の目は爛々と輝いていた。


「てか、まずイサミ自身が魔法をちゃんと使えるようにならんと原理もなにも…って聞いちゃいねぇか。」


研究に没頭する日比谷を見て、羽倉は呆れ顔でテーブルの上のコーヒーを啜るのであった。

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