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時は流れ

いきなりですが9才です

「それではイオリ様、向こうの的に魔法を放って見て下さい。」


「よーし、“アクアショット”」


前に突きだした俺の手の平から青い魔方陣が浮かび上がり、ひときわその魔方陣が輝いた直後、水の奔流が魔方陣から発射され的を貫いた。

さながら火事に駆けつけてポンプで消火活動をする消防士にでもなった気分。



「はい、良い感じです。次は火属性の魔法を!」


「あーい、“ファイアーボール”」



今度は赤い魔方陣が浮かび上がって魔法が発動するが、魔方陣のすぐ前にピンポン玉サイズの火の玉が浮かんで、、、その場で消えてしまった。



「うーん、なーんかおかしいですよねー。水魔法だけはイオリ様の魔力通りの威力が出ると言うのに」


「あはは、なんでなんだろうね。困った困った。」


「笑い事じゃないですよ!このままじゃ学園に入学した後、バカにされちゃうかもしれないんですよ!?」


「まぁまぁ、子供にバカにされたくらいじゃ死にゃしないよ、アンナ。」


「もう、イオリ様はいつもそう言って誤魔化すんですから!」



この世界の魔法の常識はキーワード発動な訳だけど、俺は幼少期に拒否しちゃったからその恩恵は受けられない。

だからと言って皆が見たこと無いことばかりやっていたら注目されてしまう。


ってことで、しばらくは普段皆が使ってる魔法を真似てやってみようと思ったんだけども、、、これがめっちゃめんどくさい。


まず、キーワードを言います。

手の前にキランみたいな効果音と共に魔方陣が出てきます。

魔方陣が光って魔法が発動します。


普通の人なら手を出して魔法を唱えるだけ。

俺の場合、まず空中に光魔法で魔方陣を描き、音魔法で効果音をつけ、今度は描いた魔方陣を更に光らせながら本来出したい魔法を発動する。

というめちゃめちゃめんどくさい手順を踏まないと、一般的に常識的な魔法が発動してる事にならないっていうこと。


もう水魔法を数個それっぽく発動できるようになるので限界。

“アクアショット“水を出す

“フロウマネジ”水を操作する

”ウォータースプリング”自分以外(地面など)から水を出す

正直3つ覚えるだけでお腹一杯。

これさえできりゃ後は魔法の応用です、で誤魔化せるんじゃないかな?



だから他の属性も覚えるとかもう無理、やる気が出ない。

講師役のアンナには悪いけど、これは我慢してもらおう。



と言うわけで何だかんだで俺ももう9才。

やっとこの世界の事も分かってきた。


ここはヴァハト王国の北方ロコー領。

その領主の三男坊がこの俺、イオリ・ロコー。

母譲りの金髪碧眼に、9才らしいちんちくりんな体型。


父のクリストフ・ロコーはこの辺境を任されている貴族で、いつも忙しく領内を飛び回っている。

というのも、ロコー領の北側に魔族領が隣接しており、向こうからこちらの領へ魔族が入りこまないよう目を光らせているというわけ。


後は母親のイレーヌ、二人の兄、一人の姉の家族構成になっていて、使用人も結構いるけど全員は覚えてない。


俺にいつも世話を焼いてくれるのは侍女のアンナ。

魔法もそれなりに使うことができ、現在では俺の魔法の講師も兼任と言った感じになっている。



父母も兄弟達も、俺があんまり魔法の適性が無いって分かったらあんまり声をかけてくれなくなった。

これは非常に好都合。

本来なら、10才になった所で貴族の子女は王都の学園に通わなければならないのだけれども、これだけ期待されてないなら一人くらい家からいなくなってしまっても構うまい。

長男に産まれなくて助かった。




後は、どうやって上手いこと姿を消すかだなぁ。

追い出してもらうか、行方不明か、死んだ事にするか。

あんまり後腐れ無いのが良いんだけども、どうしようかな………

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