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謝罪

アラクネを素手で貫いた勇者は、アラクネから魔石を回収するとすぐに何らかの魔法で消えていった。


勇者が近くにいない事を確かめると、すぐにアラクネへ駆け寄った。

蜘蛛の腹からは体液が止めどなく流れ出ていて、人型も地面に突っ伏している。


アラクネが魔石を失ってどれだけ経った?

そう思いながら人型を抱き起こしてやると、予想外の出来事が起こった。


アラクネの人型部分が蜘蛛の胴体部分からずるりと抜けてしまったのだ。

慌てて回復魔法を施す。その際に、腹の位置にアラクネがてに握り混んでいた自作の魔石をあてがって回復させていく。


魔力の枯渇が早く、もう駄目かもと考えていたものの、魔石を体に取り込んでからは比較的安定してくれたように感じる。


どうやらスキャンではそこまで分からなかったけれども、恐らくはあの魔剣にほとんどの魔力を吸われてしまっていたのだろう。

だから魔石と魔剣を抜かれた瞬間一気に死にかけ、手の中にあった自作の魔石の魔力を取り込んで命をつないでいたって感じ。


しかも、あの魔剣がアラクネの蜘蛛としての形を保っていたので、回復を施したはずなのに蜘蛛の胴体が復活せず、普通の足が生えてきた。

なんてこった、あんなにかっこいいフォルムだったというのに………。


魔剣なしでもアラクネとして生きていけるように工夫する予定だったのに………勇者め。

蜘蛛無しにするんならもっと簡単な方法あったっつーの!畜生!

あーそう思ったら涙出て来た。


こいつが起きたらなんと言われるか………とりあえずは謝り倒そう。



勇者と言えば、あいつのあの動きはどこかおかしかった。

どうも戦闘に秀でているといった感じじゃない。

なのにアラクネの攻撃は当たらない。

しかもあれだけ防御の硬い場所を素手で易々切り裂いた。

魔石がそこにあるのを分かっていたかのようなあの立ち回り。


まるでゲームの解説攻略動画でも見せられてるような気分だった。

まさか、この世界って実はg………



そんな事を考えていたら、アラクネが身じろぎをしだした。



緊張の瞬間だ。ついにアラクネが目を開けた。


最初は軽口で相手の心をリラックスさせつつ、すかさず土下座!



やはりショックだったようだ。あんなに泣いて………。

しかし、今の俺にはあれしか出来なかった。


それでもアラクネは前向きに生きようとしていた。

もうアラクネという名前とすらお別れしたいらしい。

俺に名前をつけてほしいと言ってきた。


まぁそうだよな、外見的特徴が無くなったのに名乗ってたら余計に滑稽だもんな。


うーん………外見は黒髪に白い肌だし、貞子とか?

もしくはスパイダーウーマン、クモ子、モノ・クロ美さん………


だめだ、こうゆう時はネタに走っちゃ駄目なんだ!

謝罪する時にその態度はなんだ?アアン?ってなっちゃう!


というわけで………白い花で小さな花………

カスミソウをもじってソフィでどうだろう?


お、割と気にいってるみたい


良かったー。

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