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出口のない部屋

おっさんが立っていた場所には魔法陣の残滓が、転移の魔法でもあったのかな?

閉まった扉のノブを回してみると、意外にも鍵はかかっていなかった。

扉を開けてみると、廊下は見えず眼の前一杯に石の壁が見えた。

 この程度ならとアクアカッターで切り裂いてやろうとしたけど手応えがない。

ソフィの鉄球でも傷一つつかない。

何か仕掛けがあるのかな、と解析しようとしたのに解析の魔力も弾かれてしまった。


……


 結果発表。

色々試したけど、天井も壁も床も、この謎の石壁で覆われてるみたいで、一部の隙もない。

どうやら、マジで閉じ込められちゃったらしい。


「閉じ込められちゃったねぇ、ソフィ。」

「どうする?」

「密閉空間のはずなのに呼吸は問題ない。たぶん物理的な閉じ込めじゃなく封印に近いものなんじゃないかな?」

「魔力も使えるしね……壁が堅すぎてどうにもならないけど。」

 

「もう堅いとかの問題じゃないと思うなぁ。物理的にも魔法的にも何も受け付けない。まるで……」

「まるで?」

「アクションゲームの床や壁みたいだ。」

「ああ、確かに。」


 ソフィも俺の作ったゲームで遊んでるから何となくは理解してくれる。

 

「そこにあるはずなのに攻撃も魔法も全く受け付けない。そもそもそこにあることだけが目的って感じの固定オブジェクトだね。」

「じゃあ手詰まりじゃないの?」

「んー、普通この手のものは必ず出口とか通路とか、もしくは条件を達成すれば出られるとかのルールがないといけないと思うんだよね。脱出ゲームとか、○○しないと出られない部屋みたいな感じにね。」

「○○って?」

「と、いうわけで、片っ端からイロイロ試してみることにしようか!」


 ソフィに向き直って宣言してみる。

 ソフィは俺の言いたいことが分かったようで、自分で自分を抱きしめながら頬を赤らめている。


「どうせ私にひどい事するつもりでしょ!どーじんしみたいに!」

「まずは全ての壁、天井、床を指で押してみるんだ、1cm単位で全箇所でね。」

「ひどい!」

「それが終わったらひたすらしゃがんだりジャンプしたり壁に向かって1時間位走り続けたりするんだ。壁抜けが出来るかもしれない。いわゆるデバッグ作業だね。」

「ひどすぎる!……え、どーじんしは?」

「それはネタがつきてからかな?」 


――――――――――――――――――――――――――――――――


 某所


「レスナー、うまくやってくれたみたいだな。」

「ああ、割と簡単に嵌まってくれたようだ、さすがは肉親……だが、控えの間に残していた従者は殺してしまう予定だったが逃げ出したらしい。」

「その程度なら問題ないだろう?」

「まあな……」


しかし、レスナーと呼ばれた男の歯切れが悪い。 

  

「どうした?」

「本当に良かったのか?『壁』、『天井』『床』の同時使用なんてステラにも承諾を得てないだろ?」

「後で報告するさ。あれらにはステラも煮え湯を飲まされている。」

「ミカエルか……そうだったな。」

「これ以上、我々のポイント稼ぎを邪魔されてなるものか!15ポイントで奴らを無力化できるなら安いものだ。」

「これに関しては裏技も良い所だろうからな。必ず外に繋がるように作らなければならないダンジョン作成のはずが、どこにも繋がらないように箱型にしてしまうのだから。」 

「これには3人の力を合わせる必要があるからな。エクストラポイントでそれぞれが購入した『壁』『床』『天井』だからこそ、どこにも出られない封印結界と化す。」


 通常、ダンジョンを作成する際には当然外界とつながる場所がなければならない。

そうでなければダンジョンとして成立しないからだ。誰も入れない、出られないダンジョンなど、ダンジョンとしての存在価値がない。

 しかし、特別な条件を満たすことで得られるエクストラポイントを使えば、そのルールを破る事ができる。

ダンジョンの床、壁、天井だけで囲まれただけの、どこにもつながっていない空間を創造できる。

ダンジョンのフィールドである床や壁は、そもそも攻撃を攻撃として受け付けない。当然の話である。アクションゲームで壁や床は攻撃できない、いや、壁や床のほうが攻撃として受け付けない。

そんな素材の壁だけで閉じ込めてしまえば、後は相手が餓死するのを待つだけで良い。

 脱出方法など存在しないのである。

その方法で数百年前にも面倒な四人組を封印してやった。今頃は誰も生きてはいないことだろう。


「とはいえエクストラポイントを15も消費というのは痛いところだ。」

「そうだな……」


 エクストラポイントは滅多に入手できない。だが、強力なアイテムやスキル、限界突破などができるため、できるだけ多く入手したいポイントでもある。

10年に一度、この世界に生きる強力なモンスターが神に選ばれ天に上る。そのモンスターの主人であった場合に1ポイントだけもらうことができるのだ。

 選出の基準は未だに判明しない。だからポイントを狙ってモンスターを作成したり、配下にしても全くの無駄で終わってしまう場合もある。

 しかし、転生者三人で協力体制を作り上げることにより、かなりのポイントを独占している状況にあった。

 そして、そんな貴重なポイントを大量消費しての封印である。もったいないという気持ちも大きい。


「だがまあ、おかげで残るは切り札を失った勇者だけだ。」

「どんな方法でポイントを取得し、消費したのか知らないが厄介な存在だったな。後で勇者の足跡を調べれば、何か臨時でポイントを貰える方法がわかるかもしれないな。」

「たしかにな、強化したクラーケンをいとも簡単に撃退するような仲間の強化の仕方、そしてこのRTA並の速度で我らの場所に到達するスピード……何か我らの知らない事を知っているのかもしれん。」

「来てみたら聞いてみることにしよう。それにしても、久しぶりだな。」

「勇者か……皆英雄に憧れるんだな。」

「それが普通さ。さて、それじゃ私も歓迎の準備を進めることにしよう。」

「よし、今回も抜かりなくやろう。」

前回の投稿から三ヶ月くらい経ってる……いつの間に……

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