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試合3

「さてお次は?」

「……俺だ。」


着流しに刀を刺したいかにも浪人って感じの人だ。


「勝負方法は?」

「剣術だ。」

「それじゃあ僕ですね。」


…………


「え?腕なんて切れたら再生させれば良いだけでしょ?でもせっかくだから、今回は百鬼〇スタイルで戦ってみようかな?」

「……ば、化物め。」


……



「勝者、ジュン。」

「さてお次は?」

「今度は俺だ。勝負方法はゴーレムバトルだ。」

「じゃあ次は私ね。」


…………


「チェェェンジ!スパイダァァァ2!ドリルクロー!!」

「状況に応じて変形する蜘蛛型ゴーレムだとぉ!?」


……



「勝者、ジュン。」




特に面白い展開もなく、普通に勝ってしまった。

これであっという間に4勝だ。


「一応確認なんですけど、もう僕ら勝ち越しですよね?まだやるんですか?」

「やるに決まってるでしょ!次は私よ!」


ついに紅一点の女の人だ。


「勝負方法は、料理よ!」


ソフィの方を向いて言い切った。

まさか料理対決とは…

しかも、ソフィとやる気マンマンみたいだ。


「わ、私は料理はちょっと……」

「何よ!?冒険者の癖に料理もできないの!?」

「ソフィ、一敗しても勝ち越しだし、やれるだけやってみたら?別に負けても大丈夫だよ。」

「そ、そっか。それなら良いかな。」


という訳で、料理は食べるのが主担当のソフィが料理対決に参加する事になった。


……


「課題は感動する料理、制限時間は一時間、材料はここにあるものでも持ち込みでも良し……それでは、始め!」


いつの間にかセットされた調理器具と階段状に積み上げられた食材の数々。

あの食材を積むってのも一種の芸術だよね。

結構材料が充実してるなぁ、肉、魚、野菜、香辛料まで数多く揃ってる。

食材の山に走り寄った対戦相手のお姉さんは魚やら野菜やらを迷わずチョイスしている。

対するソフィは山を眺めながらあっちにフラフラこっちにフラフラしてる。

結局、何も取らずに戻って来たソフィは、今度は調理器具を眺めて固まっている。

そうだろうね、使ったことないもんね。

……と、ソフィは地属性魔法で竈門を作り始めた。

調理器具にオーブンがあるけど仕方ないね、使い方分からないもんね。

お姉さんの方はその様子を嘲笑いながら調理を進めている。

さてさて、どうなる事やら。


…………


……


「それでは、審査に入る。まずはキョウ陣営から。」

「はい。」


出された料理は、生魚の海苔巻きというか所謂カリフォルニア巻きって感じの何かだ。


「これは?」

「これは初代が伝えたと言われるスシをベースに、野菜を入れてヘルシーにして、その分テリヤキソースでインパクトを出した今までに無い全く新しいスシ……オーガニック・大トロ・スシにございます!」


アイェェェ……だったらせめてそこはテリヤキソースじゃなくて上等なショーユだろ……

執事長さんは行儀良く箸で取り分け口に運び、


「うむ……うまい!」


お姉さんが小さくガッツポーズ。


「まさかスシにテリヤキソースを使うとは……だが野菜と合わせる事で絶妙にマッチしている!新しい暖簾を開いたな。」


暖簾は開くんじゃなくて分けてもらうか継ぐかなんだよ、新たな扉を開いたみたいな使い方になっちゃってるよ。

初代……多分転生者であろう君が伝えた和食は、今、死んだぞ。


「では次、ジュン陣営。」

「はーい。」


ソフィが持って行ったのは大皿にこんがり焼いた肉がドン!と乗ってるだけのものだ。


「これは?」

「こんがり肉です。上手に焼けました。」

「ふむ、見た目は素っ気ないな、肉が乗っているだけか。」


ナイフとフォークで丁寧に切り分け、口に運んだ。


「これは……レッドボア……か?」

「お、よく分かりましたね。正解です。」

「昔、王都の星付きレストランで食べた事があってな……そうか、久しぶりだな。」


反応は薄めだな。

まぁ食べた事あるとなれば、あまり高得点は期待できないか?


「よし、それでは結果を発表する。」


お姉さんはもう勝ったな、って感じの表情だ。

ソフィは……別にどうでも良さそうだな。


「勝者……ジュン陣営!」

「やったー!私だけが勝利よ!ここで全体では負けでもこれからは私が一番上…………ん?勝者は?」

「勝者はジュン陣営だ。」

「どうしてよ!?私のは完全なオリジナルだったし、執事長も感動してたじゃない!?あの娘のは食べた事すらあるのでしょう?」

「確かに、その点ではお前の勝ちなのかもしれん。」

「なら!」

「お前の料理はいつかこの島の料理人が到達するであろう境地を切り開いた。まさに時間を飛び越えた料理を作った訳だ。対して、この娘のレッドボアのこんがり肉は血抜きがしっかりしていて肉質は今取ってきたばかりの如くの新鮮さだ。これがどうゆう意味か分かるか?」


お姉さんは分からないみたいだ、というか、こっちも分からない。


「レッドボアは……この島では出現しないのだぞ?」

「!?」

「つまり、大陸でしか取れないはずの肉が新鮮な状態で味わえるというのは、時間と長距離を超越した奇跡という訳だ。今回の採点基準は感動する料理……お前の負けだ。」


お姉さんはがっくり肩を落とした。


「という訳で、此度の勝負は5対0でジュン陣営の……」

「ちょっと待った!」


我慢しきれなかったんだろう。

キョウさんから待ったがかかった。

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