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試合2

「さて、最初は誰からです?」

「「「「「俺だな(私ね)」」」」」


全員でかかって来いよ、揉んでやる。

とか言ってみたい……言わないけど。

全員戦う一択だったら何とかなるだろうけど、もし一人一人選択した勝負方法が違ったら流石に死ねる。

戦いながらチェスしながらポーカーやりながらピアノ弾きながらパン食い競走とかできないからね。

そんなんプロのチェスボクサーでもハチワン真剣師でも無理。


「この間お前一番だっただろ?」

「そんな事言ったら俺はまだ一番手やった事ねぇよ?」

「じゃあジャンケンで決めようぜ。」


どこぞの特戦隊のような事を言い出したぞ。



――



「待たせたな、俺が一番手だ」

「……はい。」


待ったよ、本当に待った。具体的には俺とソフィで五目並べで一回勝敗がつくくらいには待った。

目の前で嬉しそうにしてるのは大人でも見上げる程の大男だ。


「俺が得意なのは、力比べだ。」

「どんな方法です?」

「お互いに手を握り合って思い切り握りしめるんだ。」


手四つか。


「ソフィさん。」「うむ!」


まぁソフィの出番だな。

グルグル腕を回しながら近づくソフィを尻目に、大男の方は少々困惑気味だ。


「お、おい。本当に俺の相手がこの娘で良いのか?」

「うちのパワー担当です。」

「……どうなっても知らねぇぞ?」


見届け人である執事長さんがレフェリーをやってくれるらしい。

両者の手ががっちり噛み合った……あ、これ見ようによってはおじさんが少女の手を触ってる通報案件だな。


「始め!」

「「!!」」


お互い万感の力で相手の手を握りしめていく。

最初は油断していた大男も、すぐにソフィが並の相手では無いと悟ったらしい。

真剣な表情で力をこめているのが分かるけれども、すぐに顔に油汗が浮き始めた。

対するソフィは涼しげな表情だ。


「グヌヌ……!」

「フフフ、私の20%について来れるとは素晴らしい。出力を30%にしてあげましょう。」

「が、ガァァ!?」


ソフィさんがまた何かに影響されたようなセリフを吐いてるな。

そして、力比べも既に佳境に入ってきたかな?

もう相手の大男は息も絶え絶えだ。


「そこまで、勝者ジュン。」


やはり勝者は主人の名前になるのか。

主人にした覚えは無いけど。

……と、負けた方の男が泡吹いて気絶してしまった所を見逃さずにソフィが男の腰に手を回した。


「ソフィ、スタァァップ!」

「ん?」

「もう勝負ついたよ。」

「あ……隙だらけだったからつい。」


エヘエヘ言いながら引き下がって行った。

危ない危ない、あれは間違いなく天馬式ローリングクラッシュをやろうとしてましたね。

危なく人死にが出るところだったよ。

次は……陰陽師みたいな格好のお兄さんだ。


「次は俺だ!勝負方法は相手に攻撃を5回当てた方が勝ちだ!」

「良いですよ、次は僕が出ましょう。」


という訳で、ソフィと交代して相手の前に立つ。


「第二試合……始め!」

「“式神召喚・獣”」


お兄さんが目の前に大量の紙を撒いて詠唱すると、目の前に数え切れない程の犬が現れた。


「おー、壮観。」

「“行け”」


一斉に飛びかかってきた。

なるほど、これだけの数がいたら5回はすぐに貰っちゃうかもね。

という訳でこっちも対抗しなければ。


「“神秘の水球・ウォーターメロン”」


俺の体を取り囲むようにアクアカッターの刃が出現した。

イメージとしてはスイカの黒い縞々部分が刃になっていて、俺がその中に入っているような感じ。

そしてその刃が高速に回転し始める。

最高速度は1秒間に100回転をゆうに超える、まさに神秘の球体だ。

それを見ていたのかいなかったのか、犬達は構わず突っ込んできた。

しかし刃に為す術もなく摩り下ろされ、突っ込んでくる毎に紙クズに戻ってしまう。

数え切れない程いた犬は、ものの5秒で完全に無くなってしまった。


「馬鹿な!?俺の式神をどこにやった!?」

「紙きれに戻りました。“ウォーターボール”」


すぐさま水魔法でお兄さんを捕捉、水の中に閉じ込めた。という訳でずっと俺のターン発動。


「“スタンガン”“スタンガン”“スタンガン”“スタンガン”“スタンガン”」


水の珠に5度閃光が走った。お兄さんは水の中で閃光が走る度にビクンビクン体をくねらせている。

水の中からお兄さんを解放してあげると、地面に顔から突っ伏して気絶してる、時折ビクンビクンいってるのが哀愁をそそる。

……中々勝者宣言が来ないな。


「5回攻撃当たりましたよね?」

「……しょ、勝者、ジュン。」


なんだ?皆(ソフィ以外)ドン引きって顔だぞ?

ちょっと安心させてやらねば。


「あ、大丈夫ですよ。このスタンガンは非殺傷魔法ですし、水も海水ではなく真水ですので電気伝導率も悪いですから健康に害はありません。」


皆の目線が俺の顔とビクビク痙攣するお兄さんを行ったり来たりしているが、どうにか納得してもらえたみたいだ。


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