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不協和音

イケメン、つまり俺の敵である。


(おうおうおう、背中から羽生やしたイケメンが俺達に何の用だぁ!?)

「あ、あの…僕達みたいな小市民に何かご用ですか?」


神の国で天使はヤバい。

秘密警察とか中央憲兵くらいヤバい。

視線は完全に俺達をロックオンって感じだ…隙を見て逃げ出すというのも通じなさそうだな。


「どこに向かっているのだ?」

「とりあえず東に。数日前の夜に西の空がピカっと光ったので、戦争か何かと思って逃げていました。」

「ふむ、そうか…」


虚空を見上げて考えるような素振りをしたので、すかさずさよならのご挨拶。


「それでは、僕達はこれで。妹の調子が良くないので…」

「待て。」

「他に何かご用でしょうか?」

「貴様、腕輪を懐に入れているだろう。魔石付きの腕輪だ。」


ドッキーン


「な、な、なんの話ですかねぇ?ぼ、ぼ僕は腕輪なんて隠してたりはしませんよ?」

「そうか?座標表示ではちょうど貴様の位置にある事になっているのだがな。」


座標て…スマホの盗難防止アプリかよ。


「すいませぇん!!そこらへんで拾いましたぁ!宝石もはまってるし高く売れると思って隠し持ってましたぁ!許してくだせぇ!」


懐から腕輪を出して渡そうとする。

魔石を宝石と勘違いしてましたアピールも忘れない。


「そうか、お前は正直者なのだな。よって褒美に、この腕輪をやる。」

「ほ、本当ですか?」

「ああ、腕にはめてみろ。」

「え?」

「だから、貴様にやると言っているのだから、この場でつけてみろ。きっとお前なら似合うだろう。」

「い、いや、僕なんかにはちょっと高級過ぎるかなぁと思いますので、別にそうゆうのは…」

「何だ、つけられない理由でもあるのか?」

「それは………あるよ、理由。」


ええいもう面倒だ。

他に良い切り抜け方があったのかもしれないけど、ここはもうやるっきゃないな。

俺一人だったらつけてもよかったけど、今はソフィに魔力を流している最中だ。

最悪魔力操作ができずにソフィが死んでしまう。


「フン、意外に呆気なく盗人であると認めるのだな。これで貴様を見逃してやる理由は無くなった。取り調べの必要もない、ここで死ぬが良い。」

「よし、やるぞソフィ。」

「オッケー、回避は任せた!」


おんぶしてるから俺が回避担当でソフィが攻撃担当って事になる。


「くらえっ、アイアン流星群!」


ソフィが鉄球を次々に投げていく。

イケメンも躱しているが何発かは被弾しているようだ…でも微動だにしない。

気にした風もなく炎弾を放ってきた。

ダメージになってないのか?

そして、ソフィの投げた大量の鉄球には糸がついてるから当然のようにこっちに戻ってくる。


「うぉぉぉ!?」


投げた人間には球の軌道のあたりがついてるから回避が余裕だろうけど、他人の俺からしたら攻撃されてるのと大差ない。

天使からの魔法攻撃に加え、ソフィの鉄球も気合い避け必至だ。

途中、どうしても躱しきれない瞬間が訪れた。


「ソフィ!」「うんっ!」


鉄球と炎弾、魔法と物理それぞれ防御すれば良い。


「「“マジックシールド”」」


奇遇な事に二人揃って魔法障壁を張った事により、炎弾はすべて受け止められた。

そして、当然鉄球は素通りである。

鉄球は俺の腹に直撃。

ソフィに飛んでった分はしっかり自分でキャッチしてる。


「グフッ。」

「ローガン何で物理シールド張らなかったの?」

「…そうだよな、俺も気が動転してた。ソフィ、鉄球はとりあえずやめとこう。回避が追いつかない。」

「オッケー、じゃあ魔法で何とかしてみよう。“ダークニードル”」


ソフィが闇属性で攻撃を仕掛けてみる。

まぁ天使には闇だよね、常識的に。

やはりというか、天使は受け止めようとはせずに躱していく。

鉄球の時は避けてなかったわけだから、恐らくは喰らいたくないのだろうな。


「“ダークニードル”、“ダークニードル”、“ダークニードル”、“ダークニードル”」

「ふおぉぉぉぉぉ!?」


ソフィが次々に詠唱する中、俺から魔力がどんどんソフィに吸われていく。

ヤバい、軽い貧血になりそうだ。

そういやソフィは魔石の魔力で魔法を使用してるんだったな。

俺はそこらへんに漂ってる魔素を集めて魔法を行使するから、普段はこんなに体に負担はかからない。


「ソ、ソフィ…一旦休憩。」

「“ダークニードル”、ダーク…うん?」

「ちょっと待って、呼吸を整えさせて。」

「あ、うん。でもさ…」

「どした?」

「接近されてるよ。」


貧血で油断した。

マズいと思った時には眼前で天使が拳を振り上げていた。


「“ホーリィインパクト”」


天使が拳を大地に振り下ろすと、こっちの足元で大爆発が起こった。

何とかゲイザーの光属性版って感じの魔法だ、多分。

爆発の直撃を受けて、俺達は二人揃ってふっ飛ばされた。

本来ならば、直撃を避けつつも情けない悲鳴を上げながら背中を海老反りにして飛び上がり、頭からドシャァァと落ちる、という様式美ができた。

今回はソフィを背負ってる訳だからまともに受けるしかない。

何とか体制をととのえて着地したものの、足を随分傷つけられてしまった。

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