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延命自殺  作者: 水面華
1章 男と義娘
7/8

男と義娘 No.6

鍵かっこ多くて読みにくくてすみません。もっと頑張ります。

文章中に差別ともとれるな表現が出てきますが、作者には差別の意思はありません。ご了承ください。


「じゃあ、注意点の2つ目を話してもらっていいか?」


謎が少し明らかになったので本題に話を戻す。


「分かりました。では説明していきますね。寿命を譲渡された方なんですけど、寿命が伸びたからといって幸せに生きられるとは限らないんです。寿命はその時まで死なないというだけで心身ともに健康でいられる保証はありません。ケースとしては身体になんらかの負債を背負ったまま生き続けたり、寝たきりであったりといったことも考えられます。レアなケースでは、何者かに監禁されたまま一生を終えたなんていうのもあったりもします。そういうこともあると心に留めておいてください。」


これは衝撃的だった。このことについては気づかなかったというよりは気づかないようにしていたという方が正しいのだろう。物事を都合の良いように考え過ぎていたのかもしれない。確かにそうだ。腕が無くなった人の寿命を伸ばしても事故の前より不自由になって苦しい人生を送るかもしれない。ミサトの場合はどう転ぶのだろうか。ドナーが見つからず、なんらかの方法で延命はできたものの寝たきりなんていうのも考えられる。俺は人生を降りると同時にミサトの将来の責任も降りるということだ。果たしてそれで良いのだろうか?こんな不安が頭をよぎる。俺がこんな風に悩んでいると彼女は笑いながら言ってきた。


「決意が揺らぎましたか?まあ、そうですよね。あなたが死ねばミサトさんが苦しい人生を歩むかもしれない。死ななければミサトさんはこの先苦しむことはないが、あなたは妻との約束を果たせなかった後悔に押し潰される。で、どうするんですか?」


こんなことを笑いながら平気で聞いてくる当たり、彼女はどうかしている。俺には彼女がミサトという人質をとって脅してくる死神のように見えた。だが、俺の答えは決まっていた。


「いや、やるよ。俺は自殺する。そして、ミサトを救う。救われる可能性にかける。」


「おおー、かっこいいですね。それは愛故にですか?それとも、エゴですか?」


彼女はどこまでいってもぶれない。自殺することをカッコいいと言われた。彼女はやっぱりどこかおかしい。


「両方だよ。確かに自分が辛いからっていうのもあるけど父親として俺はミサトを助けたい。少しでも可能性があるなら。それに、あいつならきっと、なんとかできると信じてる。だから2つともとれるこの選択に決めた。」


そうだ。俺は純粋にミサトを助けたいのだ。血が繋がってなかったとしても、家族だから、娘だから。


「ふーん、まあ、それで良いでしょう。」


面白くなさそうに彼女は言う。


「それで、どういう死に方を選ぶんですか?ちなみに死んだ後は行方不明ってことにもできますけど、どうします?」


相変わらず、さらっとすごいことを言う。だが、死に方はもう決まっていた。


「飛び降りで死ぬよ。場所はここから。死んだ後は行方不明にしておいてくれ。」


「行方不明にするのはミサトさんのことを思ってのことでしょうけど、どうして飛び降りなんですか?」


「最後くらいは家族で過ごしたこの景色を見ながらいきたいんだよ。思い出の詰まったこの街を。」


そうこの街には妻やミサトと過ごした幸せな思い出がある。最後くらいは感情に浸りたい。まあ、自分で言っていてちょっと恥ずかしくなったが。


「なかなかロマンチストですね。さっきから思っていましたがちょくちょく恥ずかしいことを堂々といいますよね。意外です。」


ぐはっ!きちんととどめまでさされた。


「ほっとけ!」


そう言って2人とも笑っている。

気がつけばもうお昼を回っている。真上にある太陽はギラギラと肌を焦がしていた。

 

 ふと、俺の携帯の着信音が鳴り響いた。


「はい、もしもし。」


「ミサトさんの容態が急変しました。すぐに来て下さい。」


それは唐突な知らせ。


「──っ、分かりました。すぐ行きます。」


「どうしたんですか?」


彼女が不思議そうに聞いてくる。


「ミサトの容態が急変した。」


それを聞いても彼女は顔色を変えない。


「そうですか。でも、まだ大丈夫のはずですよ。というわけで、本日の23時この場所でお待ちしています。それまでに悔いのない時間をお過ごし下さい。」


色々聞きたいことがあるが俺は一言、分かったとだけ言ってミサトのもとへ向かった。

読んで頂きありがとございます。

分かりにくいところがあれば教えて下さい。

可能な限り、修正します。

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