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なろう系コント・漫才 for ゲラゲラコンテスト

コント『戦闘シーンを書こう』

作者: 藤屋順一

『ゲラゲラコンテスト』向けにコントの脚本の形式で執筆しました。

2.5次元キャラが演じることを想定して書いているので、ちょっと突拍子のないところがあるかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


A:よっ、B。ちょど良かった。最近小説書きはじめたんだけど、ちょっと手伝ってくれないか?


B:はぁ? Aが小説? どんな?


A:まぁ、ざっくり説明すると、主人公はブラック企業で社畜をしている冴えない男で、トラックに轢かれて死んで、神様にチート能力を与えられて、中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界に転送されて、美少女たちを仲間にして冒険するって話だな


B:なんだ、なろう系か……


A:あっ! 今馬鹿にしただろ!?


B:えっ? してないしてない。ぷぷっ、例えAがなろう系異世界チーレム物をこよなく愛する陰キャヲタクだからって、くふっ、馬鹿にするわけ、無いじゃん


A:馬鹿にする気満々じゃねーか! 謝れ! 俺となろう読者に謝れ!


B:うぷっ…… 気のせいだって。被害妄想激しすぎるよ。で、手伝いって?


A:ああ、戦闘シーンのイメージがなかなか固まらないから実際演じてみようかと思って。ちょっと付き合えよ


B:えぇ…… 面倒くさそう……


A:設定を言うぞ。まず、主人公は事故死したブラック企業の社畜だったが、神様にチート能力を与えられて異世界に転生し、裏切り者の烙印を押されて魔王に殺された魔族の父親と元聖女の母親との間に生まれ、魔王の元で人質となってる母親を助けるために魔王を憎みながらも命令に背く事ができない悲しい運命を背負った魔剣士ディートフリート・クラインシュミット


B:……なんでそんなに設定盛ってるの?


A:なんでって、かっこいいからに決まってるだろ?


B:え〜……


A:その可哀想な人を見る目をやめろ。で、次に主人公のライバルで敵役。十年前に世界を救った勇者で『平和な時代に英雄は必要ない』と言葉を残して表舞台から姿を消し、身分を隠し気ままな冒険者として人助けの旅をしている勇者ギュンター・カールハインツ


B:なんだろう? 最初の奴のせいですっごい物足りない感ある


A:シーンは魔王の命令で王女をさらおうとする魔剣士ディートの前に勇者ギュンターが立ちはだかるところな。俺が魔剣士ディートと勇者ギュンターを演るから、Bはディートに切られて息も絶え絶えの護衛を演ってくれ。王女はそこにいる(てい)


B:えっ? ちょっと待ってよ!


A:はい、スタート!


B:お〜い!


A:これはこれは王女様、お初にお目にかかります。王族である貴女が国を捨ててお逃げになるとは、なんとも嘆かわしいことだ


B:はぁ…… はぁ…… ぐぅっ! 姫…… さま……っ!


A:そこまでだ! ……王女様、お下がり下さい。(わたくし)ギュンターが命を賭して王女様をお護りし、必ずや聖地へお連れいたします故ご安心を!


B:はぁっ…… 姫さ…… ま…… ぐふっ……!


A:ほう…… 貴様があの勇者か、ここで屠るには少々惜しいが、邪魔建てするのであれば致し方あるまい


B:……


A:問答無用っ! 正義なき力が如何に空虚か、その身で味わえっ!


A:はぁあぁっ!


A:おぉおぉっ!


B:……ねぇ、オレ、今、何見せられてんの?


A:なんだよ。死体役なんだから静かにしてろよ


B:護衛役だろっ!


A:あぁ、うん、いい演技だったから間違えた


B:絶対適当でしょ…… オレにも勇者役でいいから演らせてよ


A:は? 『でいい』とはなんだ?


B:うわっ面倒くせ〜 もう帰っていいかな?


A:わかったわかった。そんなに言うなら吾作役を演らせてやるよ


B:誰? って言うか世界観おかしくない?


A:木こりの息子だ。じゃ、ディートが王女をさらいに来て、たまたま居合わせた吾作がそこに立ちはだかるシーンな


B:ねぇ、勇者は? 勇者はどこいったの?


A:勇者は皆の心のなかにいる。はい、スタート!


B:概念かよ……


A:これはこれは王女様、お初にお目にかかります。王族である貴女が国を捨ててお逃げになるとは、なんとも嘆かわしいことだ


B :そごまでぃだ! ……王女様、お下がりくだせぇ。(おら)ぁ木こりの息子の吾作が命ぃ賭げてお護りしで、(かんなら)ずや聖地へお()れしますよっで、ご安心くだせぇませぇ!


A:ほう…… ただの木こりの息子の分際で我に立ち向かうとは良い度胸だ。ここで屠るには少々惜しいが、邪魔建てするのであれば致し方あるまい


B:来なすっぺ! この吾作と斧を交える事を後悔させてやっぺ!


A:……やっぱ勇者でいいわ


B:うん、そう言うと思った


A:じゃあ次は二人が打ち合うシーンで。はい、スタート!


B:行くぞっ!


A:ふっ、相手になってやろう


A:キンキンキンキンキンキン……!


B:……ちょっと待って、そのキンキン言ってるの、何?


A:は? 剣を打ち合ってるところに決まってるだろ


B :いや、表現力よ


A:あいつは置いてきた。ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれない


B:今すぐ連れ戻してきて! Aの方がついていけなくなるから!


A:はいはい、じゃあ、これで最後、色々あって仲間になった二人が魔王と対峙するシーンな


B:もう帰っていいかな?


A:フハハハ……! 勇者よ、一つ良いことを教えてやろう。


B:はぁ?


A:魔王からは逃げられない!


B:やだ〜! 帰らせて〜!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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[良い点] 魔王からは逃げられないっていいですね! いいオチでした!
[良い点]  キンキンキンを馬鹿にするのは良くないと思います。なろう読者の想像力は凄いんですよ。  タイトルが「伝説の俺の俺スゲー伝設」あたりでで戦闘シーンも「伝説レベルの戦闘シーン」て書いてあれば…
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