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ディーバ超次元戦記 〜The World of Twenty-eight Dimensions  作者: 八雲、
2章 〜レンジャーの仕事〜
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24.シャドウ討伐作戦前線基地

—— D10・シャドウ討伐作戦前線基地 ——


 重厚な機械音を上げながら、金属製の扉が開く。中から5つの人影が出てくる。


 先頭を歩くのは初老の男。白くなった髪からも十分な歳であることはわかるが、その鋭い眼光や肩に担いだ大きなハンマーが、只者ではない雰囲気を醸し出していた。


 それに続く3人の男と1人の女。いずれも相応に年齢重ねていることが伺える見た目だが、その誰もが先頭の男と同様の貫禄を放っていた。


 5人が離れると扉が再び音を立てて閉められ、傍のカウンターにいた女性職員が声を掛ける。


「お疲れ様です。武器端末をお預かりしますね」


 男が思い出したように武器端末を操作してハンマーをしまう中、他の者達は既に外していた武器端末をカウンターに並べていく。


「ジョアンさん。今回の行程ログとレポートと引き換えに報酬をお支払いします」


「わかったよ。明日まで待っとってくれ。それと、この後アースでディナーでもどうだい?」


 ジョアンと呼ばれた男は武器端末を腕から外してカウンターに置きながら、ウィンクを飛ばして女性職員を誘う。


「武器端末5名分、確かにお預かりしました。では明日、提出をお願い致します」


 女性職員はいつものことを意にも介さず、武器端末を持って奥の保管庫へと消えた。今回も連れなかったことは特に気に掛ける様子も無く、ジョアンは建物の扉から出た。


「はっ! このジジイほんと相変わらずだな!」


 この前線基地の拠点へと向かうジョアン達一行に、どこからともなく声が掛けられる。


「お前もいたのか。どうだ? お前との飲み比べでも私は構わんぞ」


「残念だが俺達はギルド長の呼び出しを受けて、これから一旦パンデムに戻るところだ。おとなしく、そいつらとレポートでも書くんだな」


「やれやれ……この歳になってまだレポートに縛られるとはね。人生わからんものだよ。そういえばお前のところのギルド長も大層な別嬪だったな」


 全く懲りた様子の無いジョアンに対して、相手は大きな溜息をつく。


「バカ言え。まあたしかに見た目は良いがな。俺ぁ怖くて怖くて、とてもじゃねえが目の前でそんなこと考えられねえよ。……と、無駄話してる時間もあんまねえんだった。じゃあな」


「ではまたな」


 ジョアンは最後まで姿を見せなかった相手に別れを告げ、仲間達と共に拠点の建物へと入っていった。


***


(ギシ……)


 扉が僅かな軋み音を立てたような気がして、女性職員は顔を上げる。


 —— この扉はD10にある前線基地とシャドウの巣食うD27・ルーズの間を塞ぐという重大な役目を持っている。その役目を果たすため、ディーバ中の技術を集めて一切の狂いなく厳密に作られているのだ。


 動かす際は主に周辺の機械が轟音を立てるが、特に何も無い時は設置からまだ3年しか立っていないことから考えても、軋むことなど無いはずの代物である。


 女性は勘違いだろうと思い直して、再び端末に目を落とした。


 —— 扉が僅かにずれていることに気付く者はいない。


 『その時』まで、誰も”故障”するなど考えていなかったのだ。

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