始まりの物語④
アッシュはギルドを決め、近郊にある次元渡航船の発着場の近くへと来ていた。
立ち止まって空を見上げると、ちょうど出航した直後の渡航船が建物から飛び出し、黒い光を放ちながら次元渡航を始めようとしているところだった。その光も船全体を包んで5秒ほどすると突如として消え去る。
いよいよ夢にまで見たレンジャーである。この日が来ることをどれだけ心待ちにしたのだろうか。
当然なるだけでは意味が無い。レンジャーになってからどれだけ実績を上げられるかが、真に重要なところである。
胸の昂ぶりを活躍への決意に変えつつ、アッシュ歩みだした。
***
アイリは荷物をまとめて、D18の次元渡航船発着場の前に来ていた。
アイリの前にはガイルとメイア、その後ろにはジャックを含めた傭兵団の仲間達が立っている。皆、アイリを見送りに来たのだ。
「……元気でやるんだぞ」
「私なら大丈夫ってわかってるでしょ」
少しばかり感傷気味に言うガイルに、アイリは笑って返す。
「それじゃあ行ってくるね」
これから行く先に何があるのか、アイリは何も知らない。だが知らないからこそ、行く価値がある。
まだ見ぬ世界、そしてまだ知らぬ出会いへの期待に胸を膨らませてながら、アイリは軽やかな足取りで発着場へと歩みだした。




