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すてすて、てちてち…ぴとっ

作者: 橘 莉桜

2019年1月6日、日曜日の朝7時15分、ミニチュアダックスフンドのかいが虹の橋にむかって旅立ちました。

これは、小説にもエッセイにもならない海のためだけの私の回顧録。

とてもイケメンで優しく、ときどきわがままだった我が家の愛犬のことを誰かにも覚えていてほしい、そんなまーさんのわがままの詰まったお手紙。


すてすてすてすて…っと台所を歩く足音がいつからかてちてちてちてちに変わって…そのうちお昼寝ばかりになったけれど、まーさんが寝ていると必ずぴとっとくっついてお昼寝をしてくれた大好きな寝る友。

18年6か月君と過ごした時間はすごく長くて、すごく短かった。

きっと平成も超えて、20歳も超えてくれるって疑ったことがなかったから…今でもまーさんは海しゃんがいないなんて信じられなくて…海しゃんが息を引き取る瞬間まで信じられなくて、お母さんやお姉ちゃんが泣いているのに、なんでか涙が出なかったんだ。

だって海しゃんがまーさんを一人ぼっちにしたことなんてなかったから。

きっとまたすぐにお昼寝に戻るだけだって思っていたかった。


「触って、呼んであげな」


と言われても何を言っていいのか分からなかった。だって海しゃんまだまだまーさんと遊ぶでしょ?

少ししたら落ち着く、今までだって何度か具合が悪くなったけれど、また戻ってきてくれたから。

私の心が無意識に、最後にみんなに会うために朝まで頑張ってくれていた姿を拒んでしまって…なにもちゃんと伝えられなかったのが悔しくて仕方がない。

みんなが優しい言葉をかけていたのに私は「イヤだ」と叫んでしまって、賢い君は大きな瞳で私たちを見つめていたから「まーさんは、こんなときまでうるさいですね」と思っていたのかもしれない。


苦しそうな呼吸音が、小さく動くお腹が…水を口に入れても反応しなくなった時…さすがのまーさんも涙が止まらなくなった。

今でも書類を配りに一人で階段を歩いている時、朝部屋の外に出た瞬間、夜アパートに帰たとき、本当に何の前触れもなく涙が止まらなくなる。わーっと叫ぶように泣いてしまう時もあるし、ただなんでか静かに涙があふれるときもある。

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