君が死んでしまっても
ごめんね。こんなこと書くのは君に失礼かもしれない。
君はきっと怒るだろう。フラレてしまうかもしれないな。
だから僕はこの文章を君にフラレた時あたりに見せようと思う。
打算的だとか、コスいだとか、そう思われてもしょうがないけど。
後の祭りになるだろうし、笑い話になるかもしれないから。
例えばの話、もしもだけど
君が死んでしまったら、きっと僕は泣き叫ぶだろう。この世のすべてを憎むだろう。
そしてしばらく会社を休むだろう。ご飯も喉を通らないだろう。
自殺も考えるだろう。生きててもしょうがない。そんなふうになってしまうかも。
だけどきっと一年もすればもりもりご飯を食べるんだ。
会社も行くよ、生きるにはお金が必要だからね。
そう僕は君が死んでしまっても、きっとのうのうと生き延びるんだ。
悪びれもせず、年に一度の墓参りをするぐらいで君のことをたまに思い出して、涙を流してそれだけ。
数年もすれば、違う誰かと恋に落ちちゃったりしちゃうんだろうな。
君に愛を語ったことと似たようなことを違う人に言ってしまうんだろうな。
とても悲しいけど多分そうなる。
例えばの話、もひとつすると
君にフラレてしまっても、僕はやっぱり、しばらくすれば
違う誰かと付き合うんだろうな。
それなりの人と、それなりの恋を、それなりの幸せをつかむんだろう。
心の隅っこに残った君の幸せをこっそり祈りつつ、だんだん消えていく君との思い出をたまに思い出して、ああそんなことがあったなあなんて、言うんだろう。
薄情なやつと笑うかい、笑ってくれよ。お願い。
僕は今、泣きながら、こんなつまらないことを書いている。
君じゃなくたって、君とじゃなくたって、幸せな人生はあるんだってこと
わかっている。知っている。だけど口には出したくないよね。
僕だって君だって、世界に一人だけれど、代わりになる人はいくらだっている。
僕より素敵な人、君より素敵な人、僕らは完璧な人間じゃない。
パズルのピースみたいに嵌ったりはしない。
だけど
僕は君がいいんだよ。理由をズバッと言えないけど。うまく言えないけど。
他の誰でもいいなんて口が裂けても言えない。
他の誰とだって、きっとやっていける。
だけど君と幸せになりたい。
君とがいい。君とのほうが良い。
君と過ごしている僕が好きだ。
君の人生を僕の人生にしたいとか思っちゃう。わがまま。
寒い夜暑い朝辛いとき嬉しい秋寂しい帰り道
静かな海うるさい街しんと澄んだ空気
けだるい部屋カラオケと二人の過ごした世界と時
ベランダでタバコ吸って、物憂げに月なんて見ちゃって
君のことを考えて想って信じて疑って愛して愛して愛しくて
ああ恋だなって
例えばの話。もしも
君が死んでしまっても
一緒に死んであげるなんていえないけど
そんなことにならないように
一緒に生きていけたらいいなって
思っていた。
とある冬の日
君の笑顔を思い出そうとして、ちょっとしくじって
涙が止まらない。