表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/42

雪国グルメ編 (タコしゃぶ カニ 塩ラーメン) 4

これまでの所、色々加筆修正しました。



 ノゾミは雪の中、崖の方向に逃げていった。

 だが、それは悪手だった。

 崖の方向に向かえば、逃げ場はないのだ。

 ノゾミはそれぐらい動転していたのだ。


 崖に追い詰められるノゾミ。

 追い詰める雪男。


「はぁーはぁーはぁー、ノゾミ・・・もう逃げ場ないぞ」


 走って興奮しているためか、息が荒い雪男。

 ギラギラとした目でノゾミを見る。


「ちょ、ちょっと、こっち、こないで」

「いいから、話を・・・」


 雪男がノゾミに触れようとすると。


「きゃっーー!」


 ノゾミが雪男の手を跳ね除けた瞬間。

 雪かきで鍛えた雪男の力は、思ったより強かったのか、吹き飛ぶノゾミ。

 彼女はそのまま崖から落ちた。

 極寒のオホーツク海に沈んだのだった。


 バシャン


 下から水しぶきの男が聞こえてくる。


「ノ、ノゾミーーーー!!!!」


 吠える雪男。

 まさか落ちると思わなかったのか、動揺している。

 崖の下を見入っている。


 ノゾミの姿が浮上しないか探っているのだ。

 だが、暫くたっても姿は見えない。



 同じ時。

 マイコも動揺していた。

 彼女は目撃したのだ。

 まさか、雪男がノゾミを崖から突き落として殺すとは思わなかったのだ。

 

(ど、どうしようっ!)


 マイコがただただ焦っていると。


 ノゾミが発見できないと諦めたのか、雪男がマイコを睨む。

 マイコにノゾミを突き落とすところを見られたのだ。

 つまり殺人現場を見られた。


 幸いなことに、ここにはマイコと雪男の二人だけ。

 マイコを消せば雪男は犯罪は消えるかもしれないのだ。


 雪男はマイコめがけて走ってきた。


(や、やばい・・・)


 マイコはお腹をきづかいながらも、全速力で逃げる。


 だが、雪の大地。

 思うように走れない。

 足が雪にうもれるのだ。

 それに妊婦、お腹の子が気になってしょうがない。


 マイコの白い息が弾む。

 後ろからは、雪男が叫びながらおってくる。


「まてっ!、違うんだ。まってくれ。話を聞いてくれっ!!!」


 と呼び止めようとする。

 だが、マイコは決して止まらない。


 止まったら、多分殺されるのだ。

 お腹の子供まで死んでしまう。


(にげなきゃ、人がいる場所までっ!絶対にっ!この子のためにもっ!)



 マイコは全速力で逃げた。


(はぁーはぁーはぁー)


 マイコは逃げ続ける。


(はぁーはぁーはぁー)


 マイコは走り続ける。


(はぁーはぁーはぁー)


 マイコはかけ続ける。




 すると、目に入ってくるのが、スノーモービルに乗った警察官。

 スノーパトロールだ。


「な、なにやっとるん?」


 マイコを見て驚く警察官。


「お、お回りさーん。殺人鬼です!!!アノ人殺人鬼です!!」


 私は雪男を指差して大声で叫ぶ。


「な、なんだと!」

「あの人が、崖に女の人を突き落としたんです。私、見ましたっ!」


 雪男が警察官をみてぎょっとする。

 すぐさま方向を変えて走って逃げ出すが、即座にスノーモービルに追いつかれる。


 それでも雪男は懸命に逃げる。


 そして崖際まで逃げるが・・・・そこで御用となった。

 ここは海岸線、逃げ場はないのだ。

 雪男はノゾミの様に海に落ちることはなかった。





 その後。

 雪男は殺人未遂で捕まった。

 警察はノゾミの遺体を捜すために海外線を捜索したが・・・・見つかることはなかった。



 雪男の奥さんは関東から警察署に来た。 

 警察官から事情 (不倫したあげくに、崖から不倫相手を突き落とした)を聞き、

 逮捕された夫と面会した際には、泣きながら平手打ちを食らわしたのだった。



 マイコはノゾミによる不倫関係を防いだが・・・なんとも後味の悪いものになってしまった。

  

 この結末は、マイコが望んだものではなかったのだ。




 その後。

 マイコは念のため病院によった。

 激しく走ったため、お腹の子供が心配だったのだ。

 しかし検査の結果は問題なし。

 何事もなく無事でよかった。

 

 安心したついでに、警察署でおすすめされた「タコしゃぶ」を食べるのであった。

 因みにマイコは、ゴマタレではなく、ポン酢が好きだった。




~余談




 数ヵ月後。


 マイコはあの日から。

 宗谷岬でノゾミが海に落ちて行方不明になってから、ずっとノゾミを探していた。

 ノゾミが死んだとは思えなかったのだ。

 まだどこかに生きている気がしたのだ。

 ノゾミの死体を見るまでは、彼女の死をうけいられなかった。


 だからこそ、ノゾミがまたどこかで悪い癖を発揮しているかもしれないと思ったのだ。

 長年つれそってきた親友同士。

 一度は裏切られたとはいえ、マイコの中にはわだかまりがあったのだ。

 その想いは簡単になくなるものではなく、かえって心の中で強くなっていた。

 良い意味でも、悪い意味でも、ノゾミの存在は強くマイコに影響を与えていたのだ。



 そしてとうとう・・・マイコは見つけたのだ。


 ネットの片隅にUPされた写真。

 日本とは思えない雄大な自然を写した写真。

 

 その片隅に写っていたのは・・・まぎれもなくノゾミの姿だったのだ。




 ―――大自然


 ―――北海道の東、世界自然遺産


 ―――知床半島

 

 

 リアルにクマやエゾシカが生息する、人類未開の地。

 その地の姿だった。


 そこでノゾミは生きていたのだ。



 




 ページが更新される数ヶ月前。


 北海道の北。

 オホーツク海。

 カニ漁をしていた漁師が、水面に浮かぶ黒い人影を発見する。


「酒に酔って落ちたロシア人か?」「いや、脱国した朝鮮人か?」「いや、中国人だろ」

「両方かもな?」「どっちの?」

「まぁ、とりあえず引きあげよう」「んだんだ」「そうだな」「網をなげーい」


 漁師達は叫びながら、カニ漁の網で人影を引き上げると・・・

 それは日本人女性だった。


 漁師達は引き上げた女性を囲む。


「えらいべっぴんさんやな」「氷の美女やな」

「じゃが冷たい。低体温症になるかもしれん。今すぐあたためい」

「んだんだ」「エンジンの近くに寝かせい」「ほれほれ」


 漁師達は女性を暖炉の前に移動させた。


「どうだ?息はあるか?」「まだ助かるもしれん」「どこか暖かい場所に運びんせい」

「んだんだ」「でも、うちら密漁だろ」「公のところはまずい」「んだんだ」

「漁船をスピードをあげるぞい」「面舵一杯」


 凍りついたように眠る彼女。

 だが彼女は、揺れる船の中で、まどろみながら意識を覚醒させたのだった。


(わ、わたし、生きてる・・・・)


 ノゾミは思ったのだった。





 ―――恋の舞台は、北の雪国から、未開の地、雄大な大自然「知床半島」へと移るのだった。

雪国グルメ編完結


次は、次の章は知床半島が舞台です。

今日中に投稿します。

石狩鍋、ヒグマが出ます。



又、とまっていました以下の作品、連載再開しました (暫く毎日投稿です)

※ページ下部のリンクよりどうぞ

『チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに』




※メモ:日間。ジャンル別現実世界〔恋愛〕1位 日間総合17位


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拍手ボタン設置中。一言感想を送ることができます。

 

【1/6】短編が好評?だったので、連載開始です↓
【連載版】生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした

 

2章後半 (5話)から話の展開が異なります↓
妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか? 【連載版:全国ご当地グルメ編 】

 

新連載です~ (数話で完結予定です)↓
3日後、婚約破棄されます。

 

同時連載中です↓
7人の聖女召喚~料理スキルLV80の俺は、おねえちゃんと世界最強になる

 

止まっていましたが、連載再開です~↓
チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに

 

おすすめ作品→「完成したら」作:乳酸菌
完成したら

 

おすすめ作品の解説です
恋愛短編『完成したら』~よく分かるかもしれない作品解説
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ