大自然、ヒグマ格闘編(石狩鍋) 25
夕食後。
私たちは集っていた。
これからのことについての話し合いだ。
タイラー:「今日で2日目の夜だ。もし2人がこなければ行動を起こさないといけない」
オカリナ:「うん。私たちのチームの目的は里を襲ってきたクマを狩ること。各チームの最低ノルマは2日間で10匹だった」
エクト:「今までに倒した数は?」
オカリナ:「私が数えたところでは、ポイントに行くまでに1匹、谷間での襲撃で15匹。
タイラーとノゾミがここに来るまでと、今までで5匹」
ウイナ:「私とエクトは谷間以来クマは倒していない」
オカリナ:「私も谷間依頼は倒してない。だから、今倒した数は21匹」
エクト:「ノルマ達成~。それにイーグルやアランも遅れているとなれば、少しはクマをたおしているだろうから、楽勝だな」
タイラー:「やったな、ノゾミ。初任務で良い成績だ」
タイラーが私に向かって手を上げる。
ハイタッチポーズだ。
私はさくっとハイタッチしておいた。
オカリナ:「うん。誇って良い成果だと思う。他のチームの成果しだいだけど・・・・
各チーム最低10匹は倒しているとすれば、推測されたクマの数、50.60匹のほとんどを狩れているのかも知れない」
タイラー:「なら、一旦集落にもどるのか?」
オカリナ:「それも一つの考えだけど、私はもう少しこの辺りを探りたいと思ってる」
エクト:「なんでだ?」
オカリナ:「皆も気づいたかもしれないけど、少しクマの動きがおかしいと思うの。
クマが数匹で群れることはあるけど、数十匹単位で群れるのは稀。それに・・・・」
オカリナが言葉を濁す。
タイラー:「なんだ?」
オカリナ:「クマの中に妙なクマがいたの。私がここに来るまでの間にも、おかしなクマがいた」
エクト:「おかしなクマって?」
オカリナ:「クマがクマを殺していたの」
エクト:「仲間割れぐらいよくあることだろ。エサをめぐってとか」
オカリナ:「違うの。一匹のクマが、もう一匹のクマを銃撃していたの」
エクト:「クマが銃?」
皆驚く。
私も驚きだ。
クマが銃を使うなんて・・・・
オカリナ:「うん。銃を器用に使ってた。だから気をつけたほうが良いと思う」
タイラー:「そうだな。確かに俺が戦ったクマ3匹も、よく連携が取れていた」
ウイナ:「谷間で後ろから襲ってきたクマも。よく考えればおかしい。奴らが近づくまで、私たちが察知できないなんて」
2人ともクマに違和感があったようだ。
私はクマとの初めての戦闘だったし、興奮していてそれどころじゃなかった。
オカリナ:「だからね。もう少し何か証拠をあつめたいの。どうかな?」
皆に提案するオカリナ。
エクト:「いいぜ。俺は賛成」
ウイナ:「私も」
タイラー:「俺もオカリナに賛成だ」
オカリナが私を見る。
オカリナ:「ノゾミもいいかな?」
「え、うん。いいよ。勿論。私はタイラーについてきただけだから」
(そう、私が反対する理由はない)
タイラー:「安心しろ。俺が守る」
タイラーが私に温かい瞳を向ける。
オカリナ:「それじゃ、具体的な行動なんだけど・・・・」
オカリナが話し出した。
要点をまとめると以下になる。
・まず、ここ、秋山の峰にはイーグル&アランへの伝言を残す。
私たちがクマの調査することを伝えるが、二人には里に戻ってもらう。
単独で動くと危険性が高いからだ。それに、私たちの行動を伝えてもらう役目もある。
・私たちは、夏山の峰へと向かう。
オカリナが調べた限りでは、どうも、そちらの方向からクマが来ているようだったので。
そこに、クマの異変に関わる何かがあるのかもしれないと。
・期限は一週間。
もし、何も見つからなければ一旦里に戻る。
私は一週間も里から離れて単独行動して良いか不思議だったが・・・
そのことを聞くと。
「族長は精霊術である程度、周囲を監視できるので問題ない」とのことだった。
タイラーが頭上に飛んでいる鷹を指差していった。
「鷹がみている。つまり、族長は状況を理解している」と。
(へぇー、さすが族長。凄いんだ。)
私は感心した。
私たちは明日の出発に向けて準備し、そして就寝したのだった。
見張りには、エクトとタイラーがついた。
―――再び、冒険に出発するのだ。
どうも、赤ポストです。
短編が好評?であったため、連載を始めました。
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「【連載版】生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした」
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