大自然、ヒグマ格闘編(石狩鍋) 22 side 麗蒔
◆人物紹介 (追加)
・集落
ノゾミ 不倫騒動で、部族に流れ着いた女。20代前半のOL。
マイコ ノゾミの親友。ノゾミを探して知床半島に乗り込む。
タイラー 部族の屈強な男。ノゾミを最初に拾ったため、部族の掟で彼女を守る。妻子持ち。
アイネ タイラーの幼馴染。部族の服を作っている。
族長 イップス族、族長。精霊術『リンクビジョン』を複数使える。
ハレルヤ 族長の孫。腰には『2』の刻印。この里で2番目に強い。
・狩りチームの仲間
アラン 赤髪短髪で顔に刺青がある。気性が荒い。
イーグル 狙撃が得意で大きな銃を持っている。寡黙で肩にインコを乗せている。
ウイナ きつい顔の女。エクトが大好きで、格闘技術に優れる。
エクト 子供っぽい。正義感が強い。
オカリナ 小さな女の子。戦闘技術は未熟だが、頭が良い。
・マイコ隊
ヒロシ 冒険担当。 41歳。おじさん。元戦隊ヒーローの役者。今は探検家で顔が濃い。
マサツグ 武器担当。 22歳。元自衛官の武器マニア。武器の密輸&改造で退職。今は民間武器商人。
メイコ 現地案内人 17歳。女子高生。酪農農家の娘で釣りが趣味。数学が得意。
◆戦士の序列
※精霊様が決める戦士としての序列
序列 名前 精霊術 備考
1 (ウノ) 部族最強の戦士『エクシード』
2 (ドス) ハレルヤ
3 (トゥレス)
4 (クァトロ) ウイナ
5 (スィンコ)
6 (セイス) タイラー 『シルバーフォックス』
7 (スィエテ)
8 (オチョ)
9 (ヌエペ)
10 (ディエス)
11 (オンセ)
12 (ドセ)
13 (トゥレセ) オカリナ
21 (ペインティウス・ウノ) ノゾミ
・『序列不明』
イーグル 『リンクビジョン』
族長 『リンクビジョン』
アラン 『蜂蜥蜴』
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【麗蒔】
【場所と時間は巻き戻る】
早乙女麗蒔。
名家の跡取りであり、日本有数の資産家一族でもある。
彼はとあるファミレスの出来事で、婚約者のマイコと別れた。
そして同時に新しい婚約者候補のノゾミとも別れた。
彼はその後、仕事にぼっとうしながらも、二人のことを気にしていた。
そんなある日だった。
ノゾミが行方不明になったのを知ったのは。
彼女が事件に巻き込まれてオホーツク海に落ちたのだ。
ノゾミに騙されたとはいえ、一時は婚約しようと思った相手だ。
せめて遺体の発見ぐらいは手をかそうと思ったのだ。
警察の捜査でもみつからなかったため、零蒔は自費で小さいながら捜索隊を組んでノゾミの遺体を捜していた。
だがしかし、中々結果はかんばしくなかった。
海に落ちた死体を捜すことは難しい。
海は広く深いのだ。
そして数ヶ月たった時。
捜索隊からとある知らせが入ったのだ。
それはマイコもノゾミも探しているということだった。
そして、 「マイコがノゾミの居場所を発見したかもしれない?」ということだった。
(なんと・・・ノゾミは生きている?)
麗蒔は驚いた。
もうノゾミはダメかもしれないと諦めかけていたのだ。
死んだものだと思っていた。
だからこそ、その知らせは嬉しかった。
直ぐにノゾミを助けるためにも、マイコに連絡を取ろうと思ったが・・・時既に遅し。
マイコは既に旅立っていた。
彼女の行方を調べると、どうも知床半島に飛んだようだった。
知床半島・・・・
名前だけは聞いたことがある場所。
確か世界遺産に選ばれた場所のはず・・・
麗蒔はさっそく知床半島のデータを集めた。
すると以下のことが分かった。
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・場所
北海道の北東部に位置し、オホーツク海に約70kmにわたって細くつきだす半島の先。
「知床」の名前の由来は、一説にはアイヌ語で大地の果てを意味する語句「シリ・エクト」が語源といわれている。
・世界遺産
2005年、屋久島、白神山地についで国内3番目の世界自然遺産として登録される。
最近は世界遺産という言葉をよく聞くかもしれないが、自然遺産は珍しい。
そもそも世界遺産の場合、文化遺産より自然遺産の方が数が少なく、その数は1/4。
その理由は、自然の場合はどこの地形も大きく似通ってくることが多く、登録されるのが難しいからだ。
同じようなジャングル、砂漠だったら、一番優れている地域が指定されるからだ。
だからこそ、自然遺産は価値が高い。
で。
知床の登録理由の決め手は・・・北半球で流氷 (海に浮かぶ氷の塊)がやってくるもっとも南、流氷南源の地だから。
流氷が知床独特の自然を作っている。
それを表すかのように、登録部分の1/3は海だ。
自然遺産指定範:71000ヘクタール
陸域部分:48000ヘクタール
海域部分:22300ヘクタール
・知床流氷メカニズム
知床に流れ着く流氷は、ロシア東部シベリア、カムール川河口で生まれる。
真水は0度で凍り、海水は-1.8度で凍る。この温度差のため河口で氷が出来る。
冷たい北風に流されながら氷を大きくしていき、やがて北海道に到着して溶ける。
そして大事なのは、流氷には豊富なプランクトンが含まれていることだ。
ロシアから豊富なプランクトン (小魚のエサ)を知床まで運んでくれるのだ。
ロシアから流氷が流れ着く→知床の海で溶ける→知床の海がプランクトン豊富になる
→プランクトンを小魚が食べる→小魚を大魚 (イカ、サケ)が食べる
→大魚をさらに大きな動物 (アザラシ、鯨)が食べる=一部の魚 (サケ)は川を上って陸上動物に食べられる
流氷こそが植物連鎖の要となり、海と陸を豊かにしている。
海には220種類以上の海水魚。
川や湖には42種類以上の淡水魚。
陸には62種類以上の哺乳類 (エゾシカ、ヒグマ、キタキツネ)。
空には260種類以上の鳥類 (オオワシ、フクロウ)。
豊富な自然をはぐくんでいるのだ。
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麗蒔は今まで知床になんの興味もなかったが、調べていく内にその雄大さに圧倒された。
そしてそんな雄大な自然の地に・・・マイコは行ってしまったのだ。
しかもノゾミまで知床にいるらしい。
麗蒔はマイコの後を追うように捜索隊に依頼したが・・・そこでとんでもない報告が来た。
なんと・・・・マイコの乗ったセスナ機が消息を絶ったのだ。
墜落した可能性が高いということだった。
麗蒔はショックだった。
マイコが死んでしまったかもしれないと思ったからだ。
ノゾミもマイコも・・・・今は結婚したい相手とは思わないが・・・失って気づくものがあった。
彼にとって2人は大事だったのだ。
そこで麗蒔は、2人を探しに知床半島に向かうのだった。
麗蒔の冒険が始まった。




