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雪国グルメ編 (タコしゃぶ カニ 塩ラーメン) 2

 数週間後。


 マイコはSNSを見ていて気づいた。

 ちらっとノゾミのSNSページを見ると、男性との写真がUPされていたのだ。

 (一応、ノゾミは仮名で登録しているし、顔全体は写さないようにしている)


 だが、私はノゾミのSNSを探し当てたのだ。


 で、問題の写真だが・・・

 友達と表記しているが、明らかに親しそうな写真だった。

 

 この瞬間、女の勘が働いた。



 ―――この二人、できている



 そして同時に悪寒がしたのだ。

 ノゾミの悪い癖が直っていないように思えたのだ。


 普通なら不倫の証拠写真なんてUPしないだろう。

 だが、ノゾミならするかもしれないと思ったのだ。

 ノゾミはナイス中毒なのだろう。

 他者からの評価を求め、ナイスボタンが一杯おされた写真がずらりと並ぶ。

 そのためには、ちょっときわどい写真も載せている。

 だからUPしたらまずいモノも、ギリギリの状態でUPしてしまっているのだと推測した。


 マイコはすぐさまノゾミの相手を調べた。

 偶々お金が一杯あったので探偵は雇いたい放題。 



 で、分かった。

 相手は妻子がいる単身赴任者だった。

 左遷された先の所長と、ノゾミは不倫関係を結んでいたのだ。



(またか・・・)


(またノゾミはやってしまったのか・・・・)


(三つ子の魂、百までのなのかもしれない・・・・)



 ノゾミはがっかりすると同時に、相手の妻子が不憫に思った。

 多分、相手の奥さんは何も知らずに生活しているのだろう。

 それなら、前回のわたしと同じように、突然絶望の淵に陥る危険性があるのだ。


 なら、これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。

 黙って見過ごすわけにはいかない。

 これまで何年もノゾミの悪行を見逃してきたけど、ようやく勤めを果たそうと思ったのだ。


 マイコは、北海道に乗り込むのであった。




 ―――マイコは動き出したのだった







 ノゾミと雪男はできていた。


 つまり不倫関係になっていた。

 偶々雪かきをした日に、ちょっと部屋の中でお茶を飲み。

 その後なんとなくの流れで関係を結べば、その後は一直線だった。



 寒い雪国。

 広大な自然。

 肌身に寒さがしみる。

 そのため人肌が恋しくなる。


 又、関東に比べると娯楽は少ない。

 刺激が少なく、とくにやることがない。


 そのため、ノゾミは男遊びで刺激を満たしたかったのだ。

 何度も不倫をしている以上、これにまさる遊びはなかった。

 また、癖になっており、これなしでは寂しさを埋められなかった。

   

 雪男の家に飾ってある妻子の写真を見ると、心が痛むと同時に満足感があった。

 やはり、人のモノ、誰かに選ばれた人と付き合う方が安心感、抱擁力を感じるのだ。

 だからこそ、ノゾミは独身者、恋人がいない異性を信用しておらず、魅力を感じなかった。


 人気の有る人、保障が有る人が欲しいのだ。


 これは男女関係だけでなく、ネットや本でも同じだ。

 皆が面白いと思うモノを欲するのだ。


 ネット小説投稿サイトの中なら、ランキング上位やポイントが高いものだ。

 わざわざ自分で1から作品を探すのは面倒だし、読みたくもない。

 0ptの作品よりも、1万ptの作品を読みたいのだ。

 多くの者が面白いと思ったもの中から、読むものを選ぶ。

 つまり、そもそも他人に人気がない物は、存在していないと同じだった。


 ノゾミは、この事を男女間関係でも重視していた。

 つまり、人気のある男、保障が有る男、最低一人の女性が信じた男を選びたかったのだ。

 だからこそ、既婚者や婚約者を狙うのだ。

 それならハズレがないと思っているから。

 もし外れたとして、失敗したのは自分だけではない。

 もう一人の女性を巻き込むことが出来るからだ。


 これは、ノゾミ自身、自分の判断力に対する自信のなさのあらわれでもあった。

 自分自身で、誰も選んでいない男を選ぶ自信がなかったのだ。




 休日。


 ノゾミは今日も雪男が雪かきしている姿を眺めていた。

 その姿をみると和む。

 ちょっと遊び心が出来、雪玉をつくって雪男になげてみた。


 バシャッと雪球が砕ける。

 雪男がビックリした顔でこちらをみる。

 「なにするんだ?」と聞いてくるが。

 「別にー」と返すノゾミだった。

 「そうか」と軽く笑う雪男。

 こんなどうでもいいことでも、今のノゾミには、仄かな暖かさを感じられるようになっていたのだ。

 



 それからの日々。


 仕事帰り、休日には2人で食べ歩きをした。


 北海道稚内名物である、カニ。

 ケガニを丸ごと一匹湯でて食べるのだ。

 最初はその姿にビックリしたが、柔らかくも甘みのあるカニは絶品だった。

 頬がとろけそうになる程美味しかったのだ。

 雪男は何年も稚内におり、単身赴任しているせいか、美味しい店をたくさん知っていた。


 その中でも、ノゾミがはまったのが『たこしゃぶ』だった。

 冷凍したミズダコを薄くスライスして、しゃぶしゃぶでゆでて食べる。

 他の地域ではあまり見ない料理なせいか、味わったことがない美味しさだった。

 口の中でタコがとろけるのだ。

 刺身醤油で食べるタコとは明らかに違った。

 しゃぶしゃぶしながら、ポン酢とゴマダレで食べるタコは、上質なお肉の様に甘かったのだ。


 それに、多くのラーメン店にも通った。

 雪が降る中、雪男と二人ラーメン店に入る。

 息が白くなるなか、あっさりとした塩ラーメンを食べ、寒い体を温める。

 2人で白い息を吐き出しながら、ラーメンを味わった。

 「ふぅーふぅー」と息をかけあった。


 ここ稚内は多くの店が並ぶラーメン激戦区の事もあり、味のレベルは高かった。




 穏やかな日々が続いていた。

 だが、そんな日々は長くは続かなかった。

 

 

 ―――幸福は長続きしないのだ

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