大自然、ヒグマ格闘編(石狩鍋) 20 +side集落
秋山の峰。
悪い夢、過去の記憶からノゾミが起きると・・・昼だった。
太陽が真上に昇っているのだ。
ギラギラとした太陽が頭上に上っていた。
「おっ、起きたか。良い顔してるな」
声の方向をみると、タイラーが何かしてた。
よく見ると・・・・・彼はなにやら木をけずっていた。
大きな杭?をつくっているようだ。
「タイラー、何やってるの?」
「これか?」
木をかかげるタイラー。
「うん」
「この峰の守りを固めているんだ。
ここを守りやすい地形になってるいけど、もし大勢のクマに攻められたら苦しくなるかもしれないから」
タイラーは削った杭を、地面に並べる。
新たな杭を作り始めた。
「そ、そうなんだ・・・」
私は彼が木をけづっている姿を眺めた。
木の粉が空中をまっていた。
「ノゾミは休んでいると良いさ」
「え、私もなにかするよ」
(私も体を動かしたい)
「だめだ。もしもの時はノゾミの力を借りるかもしれない。精霊術を使わないといけなくなるかもしれない。
そのときのために体力を残してもらいたいんだ」
タイラーは私を休むように諭すが・・・・
「でも、もういっぱい寝たから元気一杯」
(うん。ちょっと寝すぎたぐらい)
私は立ち上がって、腕まくりをする。
(ちょっと寒い)
「なら、オカリナの手伝いをすると良い。力仕事はあわないだろう」
タイラーがオカリナを指差すと、彼女は果物を集めていた。
背中の籠にいっぱい果物が入っていた。
「うん、じゃあ、そうするね」
「おう」
私はオカリナの元へ向かったのだった。
◆
集落。
タイラーの妻キイネは、小さな子供を抱きながらタイラーの家に来ていた。
彼が家に戻ってきてはいないかと、彼の家を訪れたのだ。
家の中に入って思う。
(タイラーはいないわね)
家の中には誰もいなかった。
でも、どこか違和感があった。
(なんだろう。前に来たときとどこか違う)
キイネが部屋の中を見回すと・・・オワンを見つけた。
この集落でよく使われている食器だ。
だが、2人分のオワンがほしてある。
(誰か友達でもきていたのかな・・・・)
しかし・・・どこか違和感を感じる。
(なんだろうか?この違和感は・・・)
少しキイネは考えて、そして悟る。
そう。
匂いを感じるのだ。
小さな子供を育てているためか、キイネは匂いに敏感だった。
夫、タイラーの匂の他に、別の匂いを感じたのだ。
キイネは寝所をみる。
そこには2人分の布団が用意してある。
一つの布団からはタイラーの匂い。
しかしもう一つの布団からは・・・明らかに女の匂いがした。
でも、この部族の者ではないと思う。
一瞬、タイラーの幼馴染アイネかとも思ったが、それとも違う匂い。
キイネがかいだことがない匂いだった。
(一体、誰が・・・・)
子供が泣くので、「よしよし」と頭を撫でるキイネ。
何度も頭を撫でて、キイネは自分の心も落ち着けたのだった。
暫く家の中を見てから外に出る。
キイネは不安になりながらも集落を歩いていると、アイネにあう。
アイネはキイネの表情をみて悟ったのか。
「タイラーの所には今、客人が来てるんだ」
「そうなんだ・・・」
キイネは思う。
(あの匂いの元は、きっとその客人の匂いなんだろう。だから嗅いだ事がなかったんだと)
アイネは話し続ける。
「女の人、外の人。肌が白いの。でも、心配することないよ。
彼女ずっと意識を失っていて、つい昨日目覚めたばっかりだから、キイネが心配するようなことはないよ」
明るく朗らかに話すアイネ。
何も心配ないと、その表情で後押しする。
その明るさで、心配することはないと私を励ます。
キイネも笑顔を浮かべる。
「別に私は何も心配してないよ」
「まぁ、タイラーだもんね」
キイネは自分にいいきかせたのだった。
(何事もないはず。私は何も心配していない)
(私とタイラーは精霊の加護で結ばれているのだから)
キイネは腕の中の子供の頭を、軽く撫でたのだった。
活動報告でも書きましたが、twitter始めました。
↓
赤ポスト~小説家になろう@boom_klj
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短編投稿しました。
「ざまぁ」が書きたくなり、さらりと書いてしまいました。
冒険者系の「ざまぁ」になります。
宜しければご覧下さい。
↓
『生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした』
※ページ下部にリンク有り。