【記憶】 ノゾミ高校時代編 2-1
記憶編1の続きです。
◆登場人物紹介 (記憶編)
※ノゾミ、マイコは本編の若い時です。
ノゾミ 高校一年。元カレは二宮君。
マイコ 高校一年。ノゾミの親友。
二宮 高校一年。ノゾミ元カレ。とんでもない事件を起こした。
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【記憶】
【ノゾミ 高校1年時】
初めて付き合った彼氏にとんでもない事をされたノゾミ。
これは、傷心を負ったノゾミが、その次にであった男の子との話。
後の彼女の価値観。
人のモノ、人が認めた人を欲しがるようになる癖。
不倫に走る原因の一つでもあった。
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◆
ポカポカと暖かい、高校1年の春。
少し熱くもなってきた5月。
私は初めて出来た彼氏にとんでもない事をされて、数日学校を休んだ。
でも、ずっと休んでいるわけにも行かず、しぶしぶ学校に向かった。
学校生活に復帰したのだ。
学校に行くと、友達は皆私を気遣ってくれる。
皆休んだ理由を知っていたけど、表向きの休み理由、風邪という体で通してくれた。
「風邪、治ったんだ」
「うん。いっぱい寝たら直っちゃった」
「体、大丈夫?」
「もう元気一杯だよ。家で暇だったし」
こんな感じの会話を交わす。
皆仲良くしてくれたので、ベッドで鬱々としていた私の不安は解消された。
そして一週間も立つと日常に復帰した。
いつもと同じような空間だ。
和気藹々としたクラス。
私は友達と女子トーク真っ最中だった。
「じゃじゃーん。私ねー、ついにしちゃったんだよね。告白、しちゃったー。きゃーーーーっ!」
私の友達の一人、香織がはしゃぎだす。
香織は女子中でも小柄で、リスみたいにかわいい女の子。
なんだかいつも元気ではしゃいでる。
元気なリスさんだ。
香織は男の子に人気があるけど、女子の間ではちょっと怪しかった。
女の子女の子している姿を嫌う子もいたのだ。
大抵のクラスに一人はいる子だ。
上目遣いや、子供っぽい話し方、甘ったるい仕草をする女の子。
つまり悪く言うと、男子の前で媚びているぶりっ子。
そのため、イラッと感じている女子もいたのだ。
(私はあまり嫌いではないけど)
香織はテンション一杯で恥ずかしいのか、楽しいか、とにかく笑顔いっぱいだ。
周りの友達も「キャキャー」皆大はしゃぎ。
「かおりん、どうなったのぉ?」
「ねぇ、ねぇ、早くおしえてよぉー」
「焦らさないでさっ」
「続きは?、ねぇ、どうなったの?」
皆がせかす。
私も興味深々だった。
自分の恋が悲惨な目にあったので、他の人の恋で心を癒したかったのだ。
ウキウキした気分になりたかった。
また明るき気分になりたかった。
心を充電させたかったのだ。
「前から皆に話してたでしょ。ほらっ、サッカー部の海比君。昨日なんとなくね~。
私、家でTV見てるともやもやしちゃって。うちのタマちゃん (猫)もなんだかせわしくなく動いていたし。
お腹減ってるのかな~とか思ったんだけど」
「猫の話はいいからさ」
「で、どうなったの?」
さらに皆がせかす。
因みに、香織の家の猫は中々かわいい。
アメリカン・ショートヘアという種類の猫だ。
名前の通りアメリカ産の猫で、白と黒のうずまき模様と、さわると思わず「太っ!」感じる骨太感がある。
狩が得意で、いつも何か口に咥えている。
香織の家に行った時、私にもタックルしてきた。
「うん。でね、タマちゃんにご飯あげてから。海比君に好きって送ってみようかな~とか思ったんだけど・・・
やっぱりダメ、断れたら嫌だしな~とか思って、数時間位うだうだしてたらね。なんか不思議。
いつの間にか送ってたの。自分でも不思議。えいって感じで送ってたんだぁ」
「きゃーー!」
「でっ、でっ、でででっ!」
「どうなったの?」
皆と同様、私も興味深々だ。
なんかテンションあがってきた。
どうなったんだろう?
「最初はね、『本当?』『俺?』『×ゲーム?』みたいな返事が返ってきたの。
多分信じてなかったんだと思う。
でもね、それからいっぱい、「うん」 「そうだよ」「本気かも」って送ってみたの」
「で、で、でででで?」
「その先は?」
香織は間をためてから。
「なんかね~。付き合うことになっちゃったっ♪」 (てへ)
かわいく頷く香織。
「きゃきゃー」黄色い声が上がる。なんだか皆ハイテンション。
一人は「どうかしちゃったの?」ってぐらい叫んでる。
ほんと、皆自分のことのように喜ぶ。
いや、自分の事じゃないから喜べるのかもしれない。
当事者だったら色々不安もあるだろうし。
「やったね、かおりん」
「応援してるね」
「ねぇねぇ、どこにデート行くの?」
「遊園地?水族館?イオン?」
皆ではげます。
「えへへへ、ありがとっ」 (ペコリ)
香織がピカピカした顔で喜ぶ。
太陽みたいに輝いていた。
恋した女の子の顔だった。
それから香織と海比君の今後について皆で楽しくおしゃべり。
「あーだ、こーだ」皆で楽しく未来予想するのは、すっごく楽しかった。
放課後。
「ノゾミ~、ノゾミ~、ねぇ、一緒に海比君見に行かない。私一人じゃ恥ずかしいし。お願いっ」
私は香織に誘われた。
一緒に彼氏を見に行こうと。
私はどうしようか迷ったけど、面白そうなので行くことにした。
傷心を癒すには、楽しいことをする。
楽しそうな人と一緒にいるのがいいと思ったのだ。
隣ではしゃぐ香織と一緒にサッカー部を観察。
「見てみて、海比君っ。ねぇ、かっこいいでしょ。ほらっ、今こっちみたっ!」
テンションMAXな香織。
「ほんとだっ、!かおりん見たっ!」
私も彼女にあてられて、なんだか楽しくなってきた。
私は正直、これまでとくに海比君には魅力は感じていなかった。
たしかに見た目はかっこいい方だし、女子の中でも人気の有る男の子。
でも、これまでは何か特別なモノを感じていなかったのだ。
しかし・・・
隣ではしゃぐ香織を見ていると思ってしまう。
(海比君って・・・・本当は魅力的なのかもしれない)
香織はすっごくキラキラした目で海比君を見てる。
それに周りの友達も海比君をかっこいいといっていた。
皆が「かっこいい」、魅力有る人と認めている。
私が少し前に付き合った最低のとんでも男、二宮君とは雲泥の差だ。
(因みに、今の二宮の学校でのあだ名は『ゲス宮君』。私との一件で彼の悪行が学校中に広まり、いつのまにかゲス宮という名が定着していた)
(海比君か・・・・)
私は彼が気になった。
(皆がかっこ良いっていってるし、香織もすっごく好きみたい)
だから
(やっぱり魅力的なんだろうなぁ)
素朴にそう思ったのだった。
一通り香織と「きゃーきゃー」叫んで海比君を見てから、私は家に帰った。
それからなんとなく気になったので、海比君にLINEした。
私 :聞いたよぉ~おめでとぅ~。かおりんと付き合うんだってねぇ♪
海比君:聞いちゃったか。汗汗
私 :うん。かおりんはすっごく良い子だからさぁ~。私も嬉しいなぁ~って♪
海比君:でも俺さ、付き合うとかよくわかんないんだよね。初めてだし
私 :大丈夫っ♪。何か困ったことがわたしに相談していいよ。かおりんの大親友だから (笑)
海比君:そっか。ありがとっ!
私 :うん。いつでもいいから。応援してるよ。フレッフレーっ♪
海比君:応援されてしまった・・・・なら、俺頑張るしっ!
そんな感じで海比君とやりとりした。
とくに何も考えてなかったけど楽しかった。
なんだか気分が高揚してきた。
二宮君と別れて沈んだ心、失った充実感を取り戻したのだ。
だからか、私は海比君が気になってしまった。
―――これはいけないことだと思いつつも
―――友達の彼氏だと思いつつも
―――気になってしまったのだ
―――私・・・ノゾミの心は揺れていた
記憶編2-2に続きます。
次は、本編に戻ります。




