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大自然、ヒグマ格闘編(石狩鍋) 12 +side集落

本編に戻ります。


題名の+ (+side)の場合は、本編+他視点の話になります。

完全に別視点のみの話の場合は、+をつけていません。

 クマとの格闘を追え、「秋山の峰」に向かっていたノゾミとタイラー。

 2人は、空を飛んでいるセスナ機を見た。

 

 ノゾミは助かったと思った。

 文明の利器を見たのだ。

 セスナ機に助けてもらおうと思ったのだ。


 だが、その飛行機は空中で爆発を起こし、どこかに墜落したのだった。

 遠くで爆発音が聞こえた。


「タイラー・・・・」


 私は呆然としてしまう。

 そんな私を見てタイラーは。


「ノゾミ、気にするな。俺たちにできることはない。

 俺達は俺たちの目標を達成する。あの飛行機が落ちたんなら、捜索隊がくるだろう」


「そうだね」


 私たちは集合場所、『秋山の峰』を目指して再び歩き出したのだった。






 集落。

 族長の家。


 族長は周囲に飛ばした鷹の報告を得ていた。

 クマと狩りに行ったものたちの動向を見守っていたのだ。


 これは族長の精霊術『リンクビジョン』によるものだった。

 刻印を結んだ動物と視界を共有することができる。

 因みに精霊術とは、精霊の力を使役する、イップス族に伝わる技である。


「ほーう、チーム蛇は10匹、チーム虎は5匹、チーム龍は3匹の駆除か。中々だのう」


 族長が戦況を確認していると・・・部屋の外から物音がする。


「ダメです。ハレルヤ様、ここに入っては」

「うるさいっ。俺はじじいに会う必要がある。そこを通せ」


「今、族長様は取り込み中で」

「うるさいっ。どうせ大したことやってないだろ」


 誰かを止める補佐官の声と、近づいてくる足音。

 そして、慌しく扉が開かれる。


 目の前に現れたのは、族長の孫ハレルヤ。

 彼は激昂していた。


「じじい。俺を行かせろっ!。俺がクマを倒してくる」


 ハレルヤは叫ぶが、族長はほっとため息をつく。


「何度もいっておるじゃろ、じいいじゃない、族長だ」

「固いこというな」


「それにハレルヤ、主には既に任務を与えたはずじゃ。集落の警備という重要任務を」

「はぁ!最強の俺がそんな呑気なことできるわけないだろう。警護ぐらい他のものにやらせればいい。ここじゃ戦えない」


 ハレルヤが声を荒げる。

 だが、族長は落ちつたままだった。


「ハレルヤ、お主は最強ではない。主は精霊には愛されておらん。

 それに、精霊様から部族最強の座、エクシードの名をもらっておらんじゃろう」


 冷静に語り聞かせるように話す族長。

 だが、ハレルヤは表情を固くする。


「それは、精霊様がお間違えになったんだ。現エクシード、あんなスカシタ奴より、俺の方が強いに決まってる。

 昔は俺の方が強かった」


 ハレルヤは唇を噛みながらも、強く主張する。


「現在は奴が一番じゃ。力の差が分からぬお主じゃないだろう。

 腰にある文様がその証拠だ。『2』、それが精霊が決めたお主の実力。この里で2番目だ」


 ハレルヤの腰には「2」という文字が刻まれていた。

 これは精霊様が決める、戦士の序列であり、戦士の体に刻まれている刻印。

 数字が小さくなればなるほど強力な兵士といわれている。


「う、うるさい、俺の方が強い。それをこの戦いで証明する。俺がNO1、エクシードになる」


 ハレルヤは、自分の腰の数字をはじるように手で隠す。


「だめじゃ、主は守りの要だ、いくことは許さん。戦火をあげたい気持ちはわかるが、今しばらくここにおれ。

 そして、ここで貢献するのじゃ」


 族長が力強く言い放つと。


「ちっ、くそじいい」


 ハレルヤはとげとげし声を荒げる。


「ハレルヤ、おとなしくしているのじゃ。精霊様は見ていてくださる。目だった戦果が全てではない」

「俺が行けば、すぐにこんな戦い終わらせる!」


「だめじゃ、お主は、ここにいるのじゃ。分かったな、ハレルヤ」

「くっ」


 ハレルヤは唇を噛んでから、一旦落ち着く。

 それから周りを見回す。


「で、その最強様、お偉いエクシード様はどこにいる?今日の集会でも姿を見なかったが」

「奴には既に任務を与えいる」


「いつもの秘密任務か・・・あいつばかり」

「奴は特別だ。誰しもが精霊に愛されるわけではない。ハレルヤ、もう、奴を追うのはやめろ。人にはそれぞれ道がある」


「うるせー!はけじじい!」


 ハレルヤは叫んで部屋を出て行こうとするが、族長が声をかける。


「ハレルヤ、もうすぐエイナ族の方々が集落に訪れる」

「ふーん。精霊術で視たのか?」


 ハレルヤは族長の精霊術を知っているのだ。


「あたりじゃ。エイナ続にはお主の婚約者もいるからのう。安全第一じゃ」

「それで?」


「そそうのないよう、出迎えるのじゃ。お前の妻になる人間もいるのじゃ」

「ちっ、分かったよ」


 ハレルヤは族長の言葉を受け止める。


「上から見張っているぞ。くれぐれも面倒事をおこさんようにな」

「本当にめんどうな能力だな」


「族長には必要な能力じゃ」

「どうだか・・・」


 悪態をつきつつも、ハレルヤは族長の部屋を出て行った。

 彼の後姿を見て族長は呟くのだった。


「まったく。大丈夫かのう・・・・」


久しぶりに凄い&面白い作品を発見しましたのでご紹介です。


~~~~~

「完成したら」(作:乳酸菌)

あらすじ

『遠距離になるのを目前にして、この頃の私には恋人の言葉が度々別れ話に聞こえる。

だから今言われた「似顔絵描いてよ」も、「別れよう」に聞こえてしまうのだ』

※ページ下部にリンク有り

~~~~~~~~~


5000文字程の短編ですので、5分程で読めるかと思います。

しかし、さらっと軽く読むだけでは良さが「よく分からない」かもしれません。

「似顔絵書く話か~」ぐらいしか感想が出ないかも。


・ですが・・・

ちゃんと読めば (国語の読解問題風に読むと)、味わい深い作品でもあります。

思わず唸ります。

本作品は、直接心理描写を書かず、文房具で間接的に心理描写を表した作品です。

文学的な手法が使われた、なろうランキング作品ではあまり見ない作品であったりもします。


こう書いても正直よく分からないかと思いますので、下記で作品解説しました。(一つの解釈です)


『恋愛短編『完成したら』~よく分かるかもしれない作品解説』

※ページ下部にリンク有りです


こちらをご一読されれば、なんとなく作品の意味が分かるかと思いますので。

宜しければごらん下さい。

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妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか? 【連載版:全国ご当地グルメ編 】

 

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3日後、婚約破棄されます。

 

同時連載中です↓
7人の聖女召喚~料理スキルLV80の俺は、おねえちゃんと世界最強になる

 

止まっていましたが、連載再開です~↓
チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに

 

おすすめ作品→「完成したら」作:乳酸菌
完成したら

 

おすすめ作品の解説です
恋愛短編『完成したら』~よく分かるかもしれない作品解説
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