大自然、ヒグマ格闘編(石狩鍋) 9 side マイコ
本日も、複数話投稿です。
5話ぐらい投稿できたらと思います。
視点変更して、マイコ編になります。
【マイコ】
【場所と時間は巻き戻る】
ノゾミが宗谷岬で行方不明になって数ヵ月後。
マイコはあの日から。
宗谷岬でノゾミが海に落ちて行方不明になってから、ずっとノゾミを探していた。
ノゾミが死んだとは思えなかったのだ。
まだどこかに生きている気がしたのだ。
ノゾミの死体を見るまでは、彼女の死をうけいられなかった。
だからこそ、ノゾミがまたどこかで悪い癖を発揮しているかもしれないと思ったのだ。
長年つれそってきた親友同士。
一度は裏切られたとはいえ、マイコの中にはわだかまりがあったのだ。
その想いは簡単になくなるものではなく、かえって心の中で強くなっていた。
良い意味でも、悪い意味でも、ノゾミの存在は強くマイコに影響を与えていたのだ。
そしてとうとう・・・マイコは見つけたのだ。
ネットの片隅にUPされた写真。
日本とは思えない雄大な自然を写した写真。
その片隅に写っていたのは・・・まぎれもなくノゾミの姿だったのだ。
―――大自然
―――北海道の東、世界自然遺産
―――知床半島
リアルにクマやエゾシカが生息する、人類未開の地。
その地の姿だった。
そこでノゾミは生きていたのだ。
私は臨月に差し掛かっていたが、すぐさま知床半島に飛ぶことにした。
ノゾミに会いに行こうとしたのだ。
しかし、人類未開の地、女の私一人では心もとなかった。
そのため頼れる助っ達を組織したのだ。
その名も『知床半島探検隊』。
通称『マイコ隊』である。
婚約破棄関連で稼いだお金を使って組織した。
一応お金を少しは回収するために、後で今回の経験を、小説やドキュメンタリーして売るつもりである。
マイコ隊のメンバーは、私含めて4人。
一人目は『ヒロシさん』
冒険担当だ。
41歳。おじさん。
元子供に大人気の戦隊ヒーローであり、その後は冒険家として活躍されている方だ。
一説にはクマと格闘して勝ったとまでいわれている。
因みに顔が濃い。
二人目は『メイコちゃん』
現地の案内人。
17歳。女子高校生。
知床半島付近に住む酪農農家の娘である。
現地に詳しい人を探していると、彼女を見つけたのだ。
釣りの趣味がこうじて、知床半島に出入りするようになったらしい。
三人目は『マサツグ』
武器担当。
22歳。元自衛隊の武器マニア。
武器の密輸&改造で自衛隊を退職。
今は孤児院を運営しながら民間武器商人になっている。
知床半島は危険ということで、強力な武器を持っている人が欲しかったのだ。
皆、私が依頼すると快く受けてくれた。
費用を全て私が出す、成果によっては報酬を出すといったのが大きかったのかもしれない。
無料で冒険できるということで、皆快諾したのだ。
私たちは釧路に集合した。
その後、釧路空港でセスナ機をチャーターし、知床半島に飛んだ。
因みにパイロットはヒロシさんだ。
彼は飛行機の免許を持っていた。
ノゾミの写真がとられたと思わしき場所は、知床半島の奥地だった。
グーグルマップで調べてもよく分からない場所。
上から取った写真では、どこも同じような地形に見える。
でも、この地方に詳しいメイコちゃんが場所を特定してくれたのだ。
ブーーーーーン (セスナ機が飛ぶ音)
セスナ機から知床半島の大自然を見る。
広大な大地が広がっている。
日本か怪しいぐらいの秘境だ。
私たちは広大な自然を見下ろしながら、写真が撮られた場所を目指して進んでいく。
マサツグ:「すげー景色だな。ほら、メイコも見ろよ」
メイコ:「321、322、333、345、346、347、348・・・349」
マサツグ:「何ぶつぶつ数えているんだよ?」
メイコ:「セスナ機が飛んでから、私が見た鳥の数」
メイコは窓の外を見ながら答える。
マサツグ:「へぇー、よく数えられるな」
メイコ:「30、31・・・・・34」
マサツグ:「それは何だ?」
メイコ:「セスナ機にのってから、マサツグが私を顔を見た回数。マサツグはこの機内で一番私を見てる・・・・何か・・・意味がある?」
冷静に呟くメイコ。
メイコはじーっとマサツグを見る。
マサツグ:「か、勘違いするんじゃねーよ。そんな見てない。嘘言うなよ」
メイコ:「私のカウントは正確。だから、マサツグが嘘つき」
マサツグ:「このJK・・・」
マサツグがプルプル怒るが。
「こらっ、マサツグ。メイコちゃんをいじめちゃだめ」
マイコはマサツグを注意する。
お腹が大きくなったためか、ついついお母さんぽくなってしまう。
マサツグ:「でも、マイコさん。この頭のおかしなJKが」
「メイコちゃんは数字が好きなの。それでいいでしょ。皆好きなものがあるの。
しかもね、メイコちゃんは数学オリンピックで優勝するぐらい頭が良いんだから」
マイコがきっぱりというと。
マサツグ:「分かったよ。別にいじめてない。俺は子供世話は得意なんだ。なんたって孤児院を運営しているぐらいだから」
ヒロシ:「まぁ、皆仲良くな。最近の若者はデジタル世代なんだろう。数字に強くてうらやましい」
パイロットのヒロシさんがほがらかに言う
マサツグ:「ヒロシさん、そんなことないよ。俺だってメイコとそう年は変わらない。メイコが高2で17。俺が22だろ」
ヒロシ:「5年は大きいんだろう」
マサツグ:「はぁ、そうかねー」
メイコ:「70」
マサツグ:「?」
メイコ:「セスナ機にのってからマサツグが「お」を言った回数」
マサツグ:「はぁああああ!」
ちょっと怒るマサツグ。
メイコ:「20,21,22]
マサツグ:「今度は何だ?」
メイコ:「セスナ機にのってから、まさつぐが私の太ももをみた回数」
マサツグ:「ぐっ、見てない。見たとしても、スカートで知床にくる方がおかしいんだよ。今、冬だぞ。山舐めてるのか?」
メイコ:「ストッキングをはいてる。あったかい。ポカポカ」
ホクホク顔のメイコ。
「マサツグ、大丈夫よ。これでもメイコちゃんが一番この辺りに詳しいんだから」
そう。
メイコちゃんは現地案内人なのだ。
何度も知床半島に入っている。
だからこそ、彼女の服装は正しいのだろう。
マサツグ:「本当だろうな・・・・どうみても。コンビニにでもいそうな格好じゃねーか」
メイコ:「私は大丈夫。これが一番動きやすい。最終結論」
マサツグ:「はいはい」
メイコ:「25、26、27、、、、、、、」
マサツグ「今度は何だ?」
メイコ:「セスナ機にのってから、マサツグがヒロシさんを見た回数」
マサツグ:「そ、そうか・・・」
ヒロシ:「ほーう。それはなんとも」
陽気に微笑むヒロシさん。
メイコ:「16、17、18」
マサツグ:「・・・・」
メイコ:「セスナ機にのってから、マサツグがマイコさんを見た回数」
マサツグ:「・・・・え、うん」
「そうなんだ・・・・お姉さん悲しい」
マサツグ:「ま、マイコさん、何言ってるんですか?」
「冗談だよ」
マサツグ:「ですよね」
でもマイコは思った。
(私が一番見られてないんだ・・・・まぁ、臨月だしね。男の子としては、視線をあわせにくいのかもしれない)
わきあいあいと進んでいると・・・・
―――ピピピピピピピッ!
セスナ機の機内に、突如警報音が鳴り響いたのだった。
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