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IT2015年04月11日

−−−−−−−−IT2015−04−11−05:30−−−−−−−−



ぱちり。

私は何時も通り・・・では無く、少し早い時間に目を覚ます。

何時もなら店にある大きな古時計が06:00を告げ、一日が始まるんだけど・・・


がやがや・・・がやがや・・・


今日は外が騒がしい。

私は眠い目をこすりながら、庭へと出る。


・・・

・・・

・・・


暫く思考停止。


「・・・え?」


コレは何の冗談??

開店の08時迄は、まだ02時間以上もあります。

それなのにも関わらず・・・


がやがや・・・がやがや・・・


私の店の前に長蛇の列が出来ています。

列の先頭の方は見たこと無いお客様ですけど、前の方に香奈さんの姿を見つけた。

私は香奈さんの元にたたたっと小走りで向かう。


「お、おはよう御座います。香奈さん、これは一体なんですか?」


「おはよう、フレイちゃん。これはね・・・って」

「フレイちゃん!まだパジャマだよ!」


「・・・」

「・・・きゃ!」


余の出来事に忘れていましたが、私は寝起きのままの格好でした。

私は慌てて店の陰に入ると、顔をちょこんっと出し、手招きで香奈さんを呼ぶ。


「す、すみませんっまだ寝起きでして・・・」


「あ、うん。こっちこそゴメンね。朝早くから押しかけちゃって。」


「それで、香奈さん。これは一体・・・」


「あ〜ソレなんだけどね。」


といって香奈さんは一枚のチラシを取り出す。

私は受け取り、その内容を読む。


『冒険者と住人のふれあいフェスタ』


※冒険者と住人の関係をより良くする為のイベントを多数開催します。

『冒険者VS住人の郷土料理対決』・・・・etc

・・・『冒険者と住人がパーティを組んで北の洞窟の探索』

安全面に考慮し、騎士団を配置します。

ダンジョンは3段階の難易度があります。最高難易度を踏破して、レアなお宝を入手するのは、どのパーティーだ!!

住人の中にも冒険者に負け劣らずの実力者がいます!交渉は早い者勝ち!?

・・・

・・・

・・・

協賛 騎士団、イルマ道具店

・・・

・・・

・・・


そういえば、あのリッチの一見後、騎士団と冒険者の皆さんによって、北の洞窟のエネミーは全て討伐されている筈。

それをイベントにしようだなんて・・・イルマらしいと言えばらしい。

騎士団の皆さんも付いているなら、安全面も問題ないと思う。

と言うことは、この行列は・・・


「・・・えっと、皆さんはこのダンジョンイベント攻略の為のアイテムを買いに来たんですよね?」


「まあ、ソレもあるけど、本命はフレイちゃん自身かな。」


「それってどういう・・・」


「んーこの間のリッチの件で、フレイちゃんは凄く強いって有名になってるのよね。」

「それで、スカウトしようとする人が我先にって並んだ結果がコレだよ。」


「はぁ・・・」

「あの、ひょっとして、香奈さんも?」


「あははは・・・そうなんだよね。」


う〜〜〜ん・・・どうしたものでしょう。

イベントに参加して、冒険者の皆さんと親交を深めることはやぶさかではありませんが・・・

やはり、知らない人だと・・・

それにこの人数は・・・

うん。そうしよう。


「じゃあ、香奈さんのパーティに入ります。」


「え?いいの?? だって、並んでる皆に悪いよ??」


「私がさっきばばーっと見て決めましたって事にします。」

「商品をお買い求めの皆様は08:00に改めてお越し下さい。って説明します。」

「では早速・・・」


私は店の陰から出て・・・


「フレイちゃん・・・だからまだパジャマ・・・」


「あ・・・」


・・・香奈さんに直ぐに呼び戻された。

その後私は、中に戻り上着を羽織り、並んで下さって居た方々に説明し、一端出直して貰った。

余り文句も出ず、納得して下さって良かったです。


「さて、では開店準備・・・の前に着替えて・・・」


時刻はとうに06:00を過ぎていた。


「わわわ、急がないと!!」


私は慌てて準備をするのだった。


・・・

・・・

・・・


ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・・


店にある大きな古時計が08:00を告げる。


それではっ本日も営業開始♪

私の名前は『フレイア』でも、みんなは親しみを込めて『フレイ』と呼んでくれます。

ここ、アースの田舎町の片隅で、母から受け継いだ魔法の道具屋を営んでいます。


いらっしゃいませ。『フレイ魔法道具店』へようこそ。



−−−−−−−−IT2015−04−11−14:30−−−−−−−−



「ふぅ・・・」


私は大きなため息を漏らす。

何時ものように暇だったから出るため息ではありません。

今日はとても忙しく、ため息をつく暇すら無かったんですもの。

私は店のカウンターに”つっぷす”。


「お疲れ様。」


「わわわっ」


香奈さんの声に慌てて顔を上げる。


「ごめんなさい。今日はお店まで手伝って頂いたのに・・・」


「あはは、今日は忙しかったもんね。」

「それに、今度は私達の方を手伝って貰うんだからおあいこだよ。」


香奈さんは”こういう”事が好きらしく、時折お店を手伝ってくれたりもします。

一応お礼にってポーションなんかを渡したりしてますけど・・・あんまり貰ってはくれないんですよね。


「そういえば、香奈さんのパーティーって言うと、華音さんと花子さんですよね。」


「うん。多分そろそろ来ると思うよ?一段落付いた頃に来るって言ってたから。」


がちゃ


なんて言ってたら、本当に華音さんと花子さんが来ました。


「いらっしゃいませ。フレイ魔法道具店にようこそ。」


「邪魔するぞ、フレイ。」「こんにちは。フレイちゃん」


華音さん達は、かなり名の知れた冒険者です。

先ずリーダーの華音さんは、『真なる深淵』と言う二つ名を持つ、最強クラスの魔術師です。

その片腕たる花子さんも『烈光の騎士』と言う二つ名を持った実力者です。

そして、この香奈さんも『聖乙女』って二つ名を持ってます。

・・・香奈さん自身は、二つ名じゃなくて香奈って呼んで貰いたいそうですけど。

あとの一人には、火燐さんか凍夜さんか双子さんのどちらかか入る事が多いみたいです。

つまり香奈さん達のパーティーは、このイベントの最高難易度ってヤツを踏破出来る最有力候補って事だと思います。


「さて、フレイ。」

「先ずは、私達のパーティーに加わってくれてありがとう。」


「いえ、正直な所、あの場を納めるには何処かに入っちゃうのが一番みたいでしたから。」

「それに・・・あまり知らない人の所には入るのためらっちゃいますし。」


「なんにせよ、フレイちゃんが加われば百人力だよぉ〜♪」


「いえ、私はそんなには・・・」

「あ、それよりも、概要が全然分からないんですけど・・・」


「あ、そうだね。じゃあ、説明するよ。」


香奈さんによると・・・

10日後より『北の洞窟』開放。

初日は初級、次の日は中級、3日目は上級と各難易度を攻略を攻略したのち、最終日に最高難易度の超上級ダンジョンを攻略することが目的。

なお、冒険者レベルによって初級と中級は免除される。(香奈さん達は当然上級から。)

どの難易度でも、洞窟奥深くにある『攻略の印』ってアイテムを取ってくればクリア。

エネミーや罠の配置もアリ。緊急脱出様のアイテムは支給され、また騎士団も配備されている。


「元々北の洞窟は、入り口から先が3方に分かれていたからな。それを初級、中級、上級と分けるんだろう。」


「華音様?では、超上級は??」


「知らん。」


「・・・」「・・・」


「コホン、何にせよ、準備は我々で進めておくから、フレイは当日・・・出来ればこの前の最強装備で来て欲しい。」


「あ、はい、分かりました。」


「さて、先ずは準備の一つとして・・・ハイポーション、エクスポーション、マナポーションを購入限界まで買おう。」


「あ、私もですぅ。」


「あ、華音さん・・・それがですね・・・」


と、私は香奈さんと顔を見合わせる。


「店の在庫・・・全部売れちゃいました・・・・」


「「なっ!!」」


元々お客様が余り来ないうちの店にはそれ程在庫が有るわけでは無い。

今日は香奈さんが手伝ってくれたので、店を任せて奥で作ったりもしたんだけど・・・

・・・売り切れ。

うん、私がこの店を継いで以来の売り上げを記録しました。


「明日から3日位は店を閉めて、アイテムを作りますので・・・」


「そ、そうか、ならさっき言っただけ作っておいてくれると助かる。」


「はい、承りました。」

「それと・・・香奈さん」


「ん?」


「月光草を200程・・・採取をお願いできませんか?」


「おっけ。明日の午後にはそろえて持ってくるよ。」


「では、その他の準備は私と花子で進めよう。」

「当日までちょくちょく顔を出す。」


「それじゃあ、また来ますね。」


「まったね〜♪」


華音さん達が帰った後、私は店を早めに閉める。


「早速・・・取りかからなくっちゃ!」


私なんかじゃ役に立つかどうかは分からないけど・・・ちょっと楽しみになった。




−−−−−−−−IT2015−04−11−23:30−−−−−−−−




私は日課である日記を付ける。


「今日は歴代最高の売り上げを上げました。」

「それに・・・あのイベントもちょっとだけ・・・楽しみです。」


昨日は少しもやもやしてたけど・・・今日は、わくわくしている。


「出来れば、この前の最強装備で来て欲しい。」


華音さんの言葉に分かりましたって答えたけど・・・

・・・あれ、最強装備じゃないんだよね。

本当の最強装備・・・お母さんの持っていた杖は・・・

・・・だめだめっ

またもやもやして来ちゃう。こういう時は、寝ちゃうに限ります。


ぱたん。


私は日記を閉じるとベットに潜り込む。



おやすみなさい。





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