桃色☆サンタクロース
[勿忘草(なろう未投稿作品)]智洋の兄×桃伽のお話です。
読んでなくても読める話だとは思いますので!
いつかこの話も投稿します!
「メリークリスマァス!!」
パパンパーンと、クラッカーが3つ程、絶妙な時間差で鳴った。
此処はあたしの部屋のはずなのに、我が物顔で座ってる彼は、2年前に借金残して失踪したはずの智洋くんのお兄さん。青山昭。
智洋くんが来るまでは、この人がずっと近くにいて、本当の兄のようにあたしも慕っていた。
そんな彼が昨日突然帰って来て(外国へ新薬を求め走り回っていたらしい。借金もその中で手に入れたお金で一気に返済した)、今真っピンク色のサンタクロースの衣装をみにまとい、にこにこと笑いながら座ってる。
あたしはため息をつかずにはいられない。
「………待って。どっからつっこんでいいのかわかんないんだけど」
「ようし、落ち着け。まず一つずつつっこんでみて」
「……その返事ってどうなのよ」
「まあまあ」
「………今、5月なんだけど?」
新緑深まるこの季節、明らか異質な彼は、変わらない表情で、軽く答える。
「ああ、でも南半球はクリスマス近かったから、売ってた。」
「なんで、そんなピンク?」
「桃色」
「は?」
「桃伽の色、だろ」
ふざけてたはずの彼の表情は、いつの間にか消えていた。
強い眼差しが、あたしの目をとらえた。
「知ってるだろ?オレはオマエが好きなんだ」
「………でも、あたしは」
「智洋が好きだったんだろ?」
「どうして知ってるの…!」
「おふくろからさっき聞いたよ。智洋は帰ったんだって?」
「…………」
「兄弟なんだからさ、智洋に惚れたなら、オレにも惚れるよ」「……智洋くんと、昭ちゃんは似てない…っ」
目が、そらせない。
智洋くんは落ち着いていてクールだけど、昭ちゃんはお調子者で軽い感じ、全然似てない。
だけどその目は、笑った時の空気は、確かに似ているから。
その瞳に見つめられたら、あたしはもう逃げられない。
真剣だった表情を、緩めた彼は悪戯に笑って言った。
「だから宣戦布告。コレが俺からのクリスマスプレゼントだよ」
「プレゼント……?」
「絶対、惚れさせるから」
(その瞳で、言われたら)
みるみるうちに顔が熱くなっていくのを、あたしは感じていた。
(おしまい)
これにて七色終了となります。
完全に日付超えました(現在12/26 0:08)笑
読んでくださってありがとうございました!