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酒場にはご用心

「美味いな……この肉」


「ははは。ありがとよ、坊主」


食事ナウ

金はどうしたかって?

あの後また別の盗賊から募金してもらったんだよ。今度はちゃんと"お話"して、な

やっぱり殺し合いよりもお話だよね。まあ、肉体言語ってのも含めたけど


募金額は合計で銀貨が十二。銅貨が七十二。何Gになるかは知らないがいくらなんでも一回の飯で無くならないだろ

と楽観しています


ちなみに食べているのは店主のオススメのセットメニュー。何の肉かはわからないが、なかなか歯ごたえがあって噛めば噛むほど肉汁が溢れだす肉のステーキに毒々しい色だがあっさりとしたスープ。それに特に特徴のないパン

ボリュームはあるが、激しい運動をすることが多いこちらの世界では普通なんだろうな

なんて考えている間に完食っと

完食してから改めてまわりを見渡す

さっきまで飯のことで頭がいっぱいだったから様子をみていない


俺が入ったのは綺麗な喫茶店とかではなく酒場。あっちの世界ではまだ未成年だったから酒場に入るのは初めてである

さすがに昼から酒場で酒を飲んでいる猛者は……いるな

食べている間は気付かなかったがかなり喧しい


「おっちゃん、いくらだ?」


カウンターの中にいるマスターに会計を頼む

マスターは腕っぷしの強そうなナイスミドルである

正直怖い


「200Gだ」


とりあえず銀貨を二枚出してみる

足りるか非常に不安だ


「毎度あり」


どうやらあっていたらしい。銀貨一枚で100Gか。あっちの世界と比較すると1Gが五円ぐらいかな

量から考えるとそんな感じ


「あんたは冒険者か?」


「今からなるとこだな」


今持っている金額でギルド登録ができることに安堵していると目の前いっぱいにマスターのいかつい顔が。思わず引いてしまう


「そうか……」


ジョッキを拭きだすマスター。……用件はなんだ用件は


「俺は長いことこの酒場で荒くれ者たち相手にマスターやってるんだ。だから人を見る目は相当あると自負してるんだが……」


やっぱり酒場というと仲間を作るところなんかね?

マスターが人を紹介する、みたいな


「おまえは強いってレベルじゃないな」


へぇ……武器を持っているわけじゃないのにわかるのか


「おまえは何者だ?」


酒場のマスターってのは情報屋も兼ねているらしい。酔っ払うと口が軽くなるし、聞き出すのは楽そうだ

なにが言いたいのかっていうとめんどくさいのに目をつけられたってこと

……あいつとせっかく離れられたってのに俺は巻き込まれ体質でも持っているのだろうか?


「まあ、新人の冒険者だよ」


マスターの目を真っ直ぐ見てそう答えた

別にBL的展開じゃないからそういう想像をしたやつは自重しろよ?


「そうか……」


そう言うとマスターはカウンターの下から一枚の紙とペンを取り出すの何かを書き出した


「……?」


待つこと数分


「そらよ」


書きあがった紙をこちらに寄越してきた

俺はそれを黙って受け取ると目を通した


「推薦状?」


「ああ。俺はギルドから新人の発掘を任されている身でな。おまえを推薦させてもらった。それがあれば登録料もいらないし、初任研修も必要なくなる」


酒場のマスターがね……。多分武器屋の主人とかもその役をもらってるんじゃないか?

どちらにせよありがたい。初任研修なんてめんどくさいし、登録料が浮くのもありがたい


銀貨十枚ってぼったくりだよな……

日本での値段に換算して約5000円……


「ありがとな、おっさん」


「おっさん……。そんなに老けて見えるのか……」


なんか落ち込んでしまった。さっきのキリッとした表情との落差がすごい


「……この国の国王と貴族の評判はどうだ?」


銀貨を一枚弾いてマスターの方に投げると俯いていたマスターの目が光った(そんな気がした)


「やはり俺の目に狂いはなかったな。情報の大切さを知っているとは……」


「当たり前だろ」


情報というものはなににおいても重要だ。例えばモンスターとの戦いにおいてでは、相手の弱点、大きさ、体重、攻撃の手段、攻撃力、防御力。住む場所を選ぶのに関しても、その場所の値段、周辺環境、交通の利便性、領主の人格など。やはりそういう情報があるのとないのではかなり違う


酒場というのは様々な情報が集まると読んだが……どうやらその通りみたいだな


「ふむ……そうだな……。まずこの国は二つの派閥に別れている。国王を中心とする国王派。第二王子を中心とした革新派だ」


どうやら一枚岩ではないらしい

また、王宮内はドロドロしてそうだな……


「国王派は古い貴族主義の考えで、国民の支持は低い。だが、騎士を中心に莫大な軍事力と国民から絞りとった資金が唸るほどある。それに、噂では最近勇者を召喚したらしい」


あいつはこっち側っと。多分全力で利用しようって腹だろう。全く……反吐が出る


「国王自体の人格は?」


「いいとは言えないな。プライドだけが高く、能力がついていってない。今、政治を支えているのはもっぱら第一姫様だ」


姫はキレ者なのか……。そいつは注意しないとな

会う機会はないと信じたいがあっちにはあいつがいる。なぜかしらんがいつも巻き込まれてきた俺に近づいてこないとも限らない


「革新派の方はどうだ?」


マスターは水を一口呷り、唇を湿らせる


「全市民の平等を掲げて第二王子が触れ回ってるんだ。賛同しているのは市民の半数と商会、それに教会だ」


「弾圧とかはされていないのか?」


「弾圧をしようにもした瞬間にこの国は瓦解するだろうな。第一姫様はそれがわかっているから腸が煮え繰り返っているであろう国王を宥めているんだと」


その光景を思い浮べたのか声をあげて笑うマスター


「おっと、話がそれちまったな。こっちの陣営は戦力はあまりないが、頭脳明晰な第二王子を筆頭にそれなりに優秀な人材がそろってるし、人望もある」


「ふうん……」


大体、この国の権力の分布がわかった。無能な王にそれを支える多少優秀な王女。おまけで勇者(笑)

対するは夢物語を現実で吐く妄言バカとそれに従う正義心だけは少しあるかもしれない奴ら

お先真っ暗ですね、わかります

なんだ、この崩しやすい国は


「あと聞きたいのはギルドと国の力関係についてだ」


「基本的にギルドは中立だ。対魔物専門だから。基本は……」


基本はってことは……


「どこの世にも組織ってのは腐るものなんかねぇ……」


「全くもって同感だ」


苦笑いをかわす俺とマスター

組織が腐ってしまうのは万国共通らしい。国どころか世界も違うけど


「まあ、この街のギルドマスターは大丈夫だ。それは保証する」


うーむ……ならいいか。拠点にはできなさそうだが。一発で潰れかねん。国が


「それじゃ、ギルド登録でもしてくるかな」


「おう、またこいよ」


ニヤリと笑うマスターに向けて追加で銀貨を五枚指で弾く


「……これは?」


「俺に関する情報の隠蔽料ってとこかな」


「なるほど……いいだろう」


最後にマスターと拳を突き合わせ、俺は酒場を後にした


〜勇者は今〜


訓練中に女騎士を落としました

魔力を使えるようになった!

剣を少し覚えた!



現戦闘力比較(一般人を100とした場合)


勇者(笑)200

一般兵(平均)250

近衛兵(平均)500

第一王女350

女騎士(勇者に落とされた人)600

酒場のマスター2000

主人公(時と空間を使わない場合)5000

魔王20000



ちなみに単純な比較であって一般人が二人いても勇者(笑)には勝てない

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