募金というものは路地裏を歩けばしてもらえる
結果として俺は近くの街アザロに到着した
この国の首都らしくなかなかに巨大な街だった。ついでにあいつが召喚されたと思われる城が見えるが気にしない
ちなみに商人には会っていない。絡まれそうだしめんどくさい雰囲気しかしない
「ここまでありがとう」
「いいってことよ!」
ここまで連れてきてくれたドリーは礼を言うと親指をあげてサムズアップ
暑苦しいにもほどがある
実際、ドリーには本当に世話になった
どうやら冒険者や通行許可証を持たないやつはめんどくさい手続きが必要だったようだ
俺は冒険者でもないし通行許可証とやらも持ってないから本来はしなければなあないのだが、どうやら秘なる剣の一員と見られたらしく隊長らしきドリーがギルドカードを提示するとあっさり通してくれた
「そうそうドリー」
「そんでもって……。なんだ?」
ここがアザロだ!
なんていらん説明をしていたドリーの言葉を遮りどうしても聞いておかなければいけないことを聞く
「ギルド登録って金がかかるのか?」
やっぱり異世界で手っ取り早く金を稼ぐにはギルドだろ
それに俺は男としてギルドに入らねばならんのだ
だが、俺は無一文。登録しに行って金が必要でしたってなったら目もあてられない
「いるぞ。確か1000Gだ」
こっちの世界の物価がわからないから高いのか安いのかわからない
というか単位のゴキってなんだよ、ゴキって
家に出現する黒光りする悪魔を連想させるじゃねぇか
「ふむ……やっぱり必要なのか……」
「なんだ、金がないのか?」
俺が俯いて考え始めるとドリーが核心をついてくる
なかなかに鋭いじゃねぇか
「なら俺が出してやろうか?」
う、胡散臭い
「そんなこと言って、恩を売っておいて勧誘って流れにするつもりじゃないだろうな?」
かなり適当に言ってみた
「がはは。そ、そんなわけ、な、ないじゃないが」
面白いぐらいあわててくれた
嘘がつけない性格なんだな、ドリー
野武士面のくせに
「まあ、大丈夫だ。金は善意の募金に頼るから」
「?」
意味がわからなかったのか首を傾げるドリー
路地裏で不良共から金を巻き上げ……もとい募金をしてもらうだけさ。将来ある若者にな
「というわけで、じゃあな。世話になってないけどまた縁があったら」
「おう、またな!」
手を軽く振って別れる。俺は路地裏へ向かう
さて……テンプレな泥棒とかはいるのかな?
「これほどとは……」
周囲をサーチしながら路地裏を歩いていると反応に引っ掛かるは引っ掛かるは。その数約二十
ちなみにサーチ魔法はどんな属性でも(火なら熱感知。風なら風読み等方法は変わるが)できるがかなり難しい分類に入る。魔力消費も激しいからたまにするぐらいの物だが……俺は常時展開できるだけの魔力があるからな
割と統制の取れた動き。これは大物でも引き当てたかな?
「おい、そこのおまえ」
俺の行く手を阻むように三人。後ろに潜んでいる五人。屋根の上に十二人
「おとなしく捕まれや」
「捕まったらどうなるんだ?」
「決まってんだろ?どっかの金持ちに死ぬまで扱き使われるのさ」
奴隷ってやつか。確かに人を売るってのはかなり儲かる商売だろう
仕入れ値はゼロだし(場合にもよるが)
……前方の男も後ろの男も体の重心がブレまくってるんだけど大丈夫かね
「おまえもバカなやつだよな!一人で裏路地に入ってきてよぅ。そんで笑う剣である俺たちに遭遇しちまうとは」
俺があまりあわてていないのが気に入らないのか、まくし立てるように罵倒してくる盗賊C(左から三番目だから)
笑う剣って……使い物にならない気がするんだが
その後も自分たちの怖さを声高に主張する盗賊C
正直そろそろ腹が減ってきたんだけど……
ギルド登録もしたいしさっさと終わらせるか
「おい」
「あ、なんだ?」
「おまえらのアジトってどこにあるんだ?」
飯食ったら潰そうかと思って
「んなもん素直に教えるバカがどこにいるんだ」
「別に俺はもうすぐ捕まるんだからどうでもいいだろ?もしかしてこんなに人数に差があるのに負けるとか思ってる?いやーそれは悪かったね。だったらいいよ、教えてくれなくても。一人と多人数でも勝てないような団員が多くいるような盗賊団なんて怖くもなんともないしさ」
「てめえ……」
俺の長い挑発をポカーンとした表情をしていたが内容が呑み込めるにつれて顔が赤くなってゆく
ついでに全員腰の剣に手をかけている
この程度の挑発で怒るとは程度が知れる
「いいだろう。あの世への手土産に教えてやるよ」
奴隷にして売るんじゃなかったんかい……
あの世に行ったら売れないぞ
「アーリア街三番地に立つ酒場の地下だ。満足したか?なら、さっさと死ね!」
一斉に襲ってくる盗賊たち。上では魔法の詠唱も聞こえる
短気は損気だよな……
とりあえず前方から来ている盗賊のうち、一番左にいるやつの顎にアッパーを決めて意識を刈り取り、そいつの体を盾にしながら持っていたダガーを奪う
そして、盾にしていた体を蹴り飛ばし、隙ができたところでダガーで残る二人の首を掻き斬った
「貴様!よくも……」
後ろから来た五人のうちの一人が叫ぶがそんなことは気にしていられない
先ほどから詠唱していたビル上の盗賊たちが魔法を完成させていたからだ
水、風、火、土と様々な属性の魔法の弾が上に浮かんでいた
やがてそれはこちらに向かってきた
実際に飛んできたのは土だけだったけど
水と火で軽い水蒸気爆発が起きて風が吹き散らされていたからなぁ……バカだろ
とにかく、残った土は軽くかわして反撃で火の弾を撃ちだしておく
初めて作ったから勝手がわからん
「ぐあっ!?」
それでも火の弾がしっかりと発生し、ビルの上にいた盗賊を焼き払った
色が青かったのは俺のイメージのせいだろう
想像したのはガスコンロの火だったし
「おい、おまえら! ひくぞ」
後ろから来ていた盗賊たちはたまらず逃げていく
空間魔法で斬るのは簡単だが、あまり使いたくはないな
かといって火だと絶対に当たらないし
「はー……とりあえず漁るか」
本来の目的だった募金を始める。とは言っても誰も生きてないから募金というより搾取?
……もともとか
「汚いから触りたくない」
割と大問題が発生した
盗賊たちは例にも漏れず全員が汚い
一ヶ月ぐらい風呂入ってないんじゃないか?ってぐらい汚い
そこに血が混じってその汚さは凄まじいことになっている
「はぁ……」
結局俺はそいつらから金を入手することは諦めた
その頃の勇者君(笑)
現在の行動:城で勉強中……
墜とした人:姫
蕾姫「これからあとがきにこういった勇者君(笑)の行動を載せていきますw本編?もったいないので使いません。これからもよろしくお願いしますね」