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修行……って殺す気?

「では修行を始めるか」


……あんなに叫び声をあげたの、たぶん産まれて初めてだ


「まずは空間と時について知ってもらわなければな」


「時ってのは時間を止めたり過去に戻したりできるのか?」


よくある小説で厨二な主人公が使ってるやつだな……


「時はそんなに万能なものではない。時っていうのは簡単にいうとパラパラマンガみたいなものだ。コマ取りされた映像が積みあがって行くもの」


「それだったらそのマンガをめくっていけばいいんじゃないのか?」


「そんなことしたら情報量が多すぎて頭が破裂するぞ?」


……意外と怖いんだな


「じゃあ時ってのは使えないのか?」


「時を戻すことができないだけだ。時を止めたり、早くしたり、遅くしたりならできる」


それでも清々しいほどにチートだよ、おい


「呪文とかいるのか?」


「呪文?ああ、ユグドラシルの人たちが無意味に唱えているあの意味の無い文字の羅列か!」


どうやら呪文の意味は無いようだ


「とりあえず……」


ヘルボーン・アース・ユグドラシル・スコルプさん。……略してヘルさんは自分の影から煌びやかで豪華な槍を取り出した

白黒の世界で妖しく光るそれは威圧感と神々しさを放っていた


「……ちなみにそれは?」


「修行道具?」


なぜ、疑問符が付いているのかは置いておいて……


「そういうことを聞いてんじゃない。固有名詞はなんだよ?」


「グングニルだっかな?」


……は?


「グングニル?」


「オーディンの爺さんから修行のために借りてきた」


そんなもの借りるなよ……。そんなものを使った修行に恐怖しか感じないんだが


「……というか、いつ借りたんだ?」


「……空間って便利だよな」


空を見上げ目を細めてため息をつくヘル

……パクったな


「そんなことより修行を始めるぞ!まずはこれだ!」


そう言ってグングニルを宙に浮かべるヘル

……まさかとは思うが


「Lesson1。時を感じろ」


レッスンの部分が妙に流暢でちょっとイラッてした


「……は?」


「具体的には走れ。死ぬ気でな」


グングニルの切っ先がこちらを向く


おい、バカ、やめろ!


「行け、グングニル」


グングニルがこちらに向かってくる。ってそんな光景を説明している場合じゃないって!


「くそっ!後で絶対殴る!」


俺は踵を返し走り始める。幸い……ではないが、スピードはヘルが調整してくれたのか俺よりは速くない……というかテンプレの如くパワーアップしている俺の身体能力による全力とほぼ同速で追いかけてくる


「女の子は殴ったらダメだろ」


「とりあえず、お前は女の子という分類には入ってない」


そこら辺のガードレールに腰をかけたヘルと憎まれ口の応酬をしながら走る俺

……スパルタ過ぎないか?この骨

一瞬でも優しいと思った過去の俺を殴ってやりたい


走る走る走る。街を抜け、橋を渡り、隣街まで

疲れないこの体が果てしなく不安だが、この場合はありがたい。それにしても、終了条件ってなんだ?


…………時を感じるってなんだよ


「っ!?」


考え事をしていたからか足元が留守になっており、アスファルトが割れていたところでつまずいて転んでしまう


「まず……っ!」


グングニルに目を向けるとそれはほぼ目の前にあった


「これは……死んだか……」


目の前には不可避の槍。ダメだ。生き残れる気がしない


そう思った時、脳裏に過去の記憶が蘇った。あいつと歩いていて不良に絡まれる自分。あいつのハーレムに邪魔って言われた自分。好きだった女子があいつに告白していたのを見た自分

……ちょっと待て。なんでこんな嫌な記憶しか出てこない

他には、あいつが女子を抱き起こしている間に暴力団をぼこぼこにしている自分

……嫌な思い出しかねぇ

次?

ヘルさんのドヤ顔がドアップで

……ここで死んだら化けて出てやる

というかこれが走灯馬ってやつだったんだな

確かに槍の進むスピードが遅い

ん?遅い?


「はい、おめでとー」


そんな気の抜けた声と共に目の前の空間に歪みが生じ、グングニルは跡形もなく消え去った


「……は?」


「時を感じれただろ?」


「いや、まあそうだが……」


「その感覚を思い出してやればすぐに使えるようになる」


「感覚、感覚、感覚……」


集中すると目の前にいたヘルの動きが遅くなった


「できてる。だが……」


数秒後、俺は虚脱感を感じて倒れこんでしまった


「範囲を限定しないとすぐに魔力切れになる」


「最初に……言えよ……」


言葉を出すのも億劫だ。まさに、全力で走って体力を使いきったときのような


「でも、よく数秒も保ったな。俺でもこの世界すべてを遅くするのは一秒ぐらいしか保たないのに」


「つまり?」


ふー……やっと落ち着いてきた


「単純計算で俺の二、三倍は魔力量がある」


「……それって多いのか?」


比較対象がいないからわからん


「んー……先に召喚された勇者君の潜在的魔力値の五倍くらいか?」


「それはそれは……」


俺、脇役だよね?なんか心配になってきたんだが


「ちなみに俺が」


「ってことは俺には勇者として呼ばれてはずの10〜15倍の魔力量があるのか……」


……本当は俺が召喚されるはずだったとかじゃ


「まあ、対象を決めるのは簡単だ。こいつにかけたいって強く思えばいいんだからな。つまりイメージだ」


「イメージねぇ……」


「よし、なにがいい?」


いきなり何の脈絡も、目的語もなかったんだが……とりあえず


「殴らせろ」


「だが、断る」


なぜ知っている


「そういうことじゃなくて飯だ飯。なにがいい?」


「なんでも。それより時間とかは大丈夫なのか?」


なにが?と首を傾げるヘルさん。手にはいつの間にか握られているケバブ×2

……またパクったのか


「いや、修行ってのはやっぱり長時間やる訳じゃん」


「ほうだな」


ケバブを頬張りながら少しくぐもった声を出すヘルさん

……というか骸骨なのに食えるのか?細かいことは突っ込まない方が賢明か


「そんだけ長時間修行しているとあいつがいつの間にか魔王か何かを倒して物語が終了してるんじゃないかと思って」


「そんな心配はいらん」


口に咥えていたケバブをはなすとこんどははっきりとした口調で話し始めた

口にソースがついているが


「ここは時の流れから切り離された世界。故に外界で時間は経過しない」


キリッとでも擬音がつきそうなドヤ顔(無論骨製)を向けてくるヘル


「そっか。なら安心だ」


できうる限りの棒読みで返してやったのだが、あんまり効果はなかったな

とりあえず、こちらに飛んできたケバブを受け取ると一口齧るとその濃厚なソースの味としゃきしゃきとした野菜の歯ごたえが口一杯に広がった

作った人は誰だ!と厨房(屋台?)に突っ込んで行きたくなるような旨さだった


「悔しいが店のセンスは認めてやらんこともない」

「ふっ……」


だから、そのドヤ顔はやめろ


凛「修行方法がなぞな件」


蕾姫「しょうがないだろ?なら、おまえが時を実際に感じれるのはどんな時だよ」


凛「時魔法を使ったとき?」


蕾姫「一般人は使えねぇじゃねぇか!」


ここの後書きは↑こんな感じにキャラとの心暖まる(?)ような会話をしていきます

また、読者様からの質問などの中で私が見落としていたものもここで紹介したいと思います


凛「未熟者め」


返す言葉もございません


蕾姫「俺が本体から独立した件」


同時に作者(神)権限を失った件


蕾姫「盲点だったw」


また次回もよろしくお願いしますね

ではでは

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