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酒場よ、再び

変態が湧きます。ご注意ください

途中でなにやら変な邪魔が入ったが、なんとか死地から脱出し俺はブラブラと表通りを歩いていた


通りは犬の耳が生えた人や耳が尖っている人等も見受けられる。大半は人間っぽいけど

また持っているものも様々で、冒険者と思わしき武器を持った者。商人と思わしき大きな荷物を持った者

商人たちの客寄せのための大きな声が響き渡り、なんというか異世界って感じがする


普通に建物で商売している人々もいるが大多数は露天の様なもので、うまそうな匂いが漂っている


その匂いにあらがえる者は割と少数派だと思われ、俺もあらがえなかった者の一人だった


俺が持っているのは先ほど買った肉の串焼き。油ののった肉にちょっと辛味のあるタレ。最高である

地球でいうところの牛肉に近い


食べ終わった串(木製)は近くのゴミの山に突っ込んでおく


「さて……道具屋を探すか」


串焼きの魔力で目的をすっかり忘れてしまっていた

最初の方は割と辺りを見回していた感があるが後半はずっと串焼きを見ていた気がする


辺りを改めて見回す

特筆すべきなのは武器屋か?

剣と剣がクロスした看板が出ている

凄まじくテンプレな


だが、それは俺にとってはプラスだ

武器屋の看板がテンプレならば道具屋の看板もテンプレだということ

つまり、〓←こんな感じの看板を探せばよいのだよ

さて……空間サーチを使うか

薄く、広く。魔力を悟られないように空気と同化するように空間の魔力を広げていく


……見つけた、が。ギルドの隣……だと……


「これが孔明の罠か……」


素晴らしい。なんて凶悪な罠を仕掛けるのか


俺の脳内には「はっはっは、今です」と言う孔明が登場していた


やっぱりうざい


「戻るか……」


若干肩を落としながら来た道を戻るのだった










「帰って来たぞ、ギルドへ!」


周囲の人々が怪訝そうな目でこちらを見てくるが気にしない。テンションを無理矢理あげないとやっていけない

無駄なことをしたときの徒労感はヤバイです


時間も無駄にした。陽も暮れかかっているし

地図を買って依頼だけ受けて街の外に行くか……

そうすれば転移して、自分の家(地球)で寝れる

金も使わないし、いい考えだと思うだろ?

飯は……例の面倒ごとを引き起こしてくれたマスターがいる酒場にでも行くか

そう考えて俺は酒場に入っていった


「騒がしいな」


予想してはいたが実際に遭遇するとアレだな

酒場といえばやはり夜の営業が主だろう。一仕事終えた商人や、やはり依頼から帰ってきた冒険者などが一緒になって騒いでいる

あちこちで瓶が飛ぶ、皿が飛ぶ、人が飛ぶ

これはいいのか?とマスターのいるであろうカウンターを見るとそこには筋骨隆々の例のマスターではなく俺と同い年ぐらいの赤髪の少女が立っていた


とりあえずもの(物&者)が飛びかうテーブル席には行きたくなかったので、カウンターに腰をかけるとメニューを一読

……全くわからねぇ


「火食い鶏のシチューを頼む」


「あいよ!」


目についたメニューを少女に注目すると威勢のいい掛け声とともに鍋からシチューをよそい始める

火食い鶏……火でも吐くのか?

地球にいる鶏が火を噴くところを想像してみた

……すごい……シュールです


「はい、お待ち!」


そんなバカな想像をしていると俺の前にデカい肉がゴロゴロ入ってシチューとかごに入った数個のパンが出てくる


「パンはおかわり自由。シチューをおかわりするときは金を取るけどな」


俺の目の前でうまそうな湯気をたてているシチューに飛び付きたい衝動にかられながらも無言でうなずく

案外俺って食い意地が張ってるのかもな

異世界で発見した新事実


「皿とかを壊したらその分も料金に上乗せするから注意しな。じゃ、ごゆっくり」


だから皿とかが飛んでもなにも言わなかったのか

むしろ壊れる前提?


とりあえずパンを一つ手に取る。ちぎって食べるが固い。フランスパンの様である

残りのパンをかごに戻すと今度はシチューを一口


「美味いな……」


マスターの顔と性格はともかく味は確かだ

よく煮込まれた肉は口に入れた瞬間とろけるし、若干塩が強めのシチューは味わい深い

パンを浸して食べればちょうどいいだろう


「ふふ、ありがと」


口から漏れた言葉を聞かれてしまったようでカウンターの中にいる少女に礼を言われてしまう

思わず赤面する俺

赤面を隠すようにパンを浸して食べる

やはり、美味い


「あんたも冒険者?」


「わかるのか?」


武器も持ってないのに……


「まあ、身のこなしとか筋肉の付き具合とかからね。まあ、あの爺さんには勝てないけど」


爺さん……ああ、あの昼頃会った酒場のマスターか


「へぇ……いい目だな」


もちろん、目利きの方ではない

勘違いしないように言っておく


「そうでないと酒場を任されたりはしないさ。あと、こう見えても腕っぷしは強いんだぞ?」


袖をまくり力瘤を作る少女。白いな……色が

そして強そうには見えない


「今、失礼なこと考えたでしょ」


じと目で見てくる少女

女の勘は世界共通。そう戦慄した瞬間だった


「いや、別に……」


適当にぼかして、再びシチューとパンとの戦闘を開始した

……やっぱり美味い


そうしてしきりに手を動かす俺にその少女は興味を持ったのか、カウンターに肘をついてじっと見てくる


「私の名前はフレイ・アルバートだけど、あなたは?」


「レインだ」


手を止めずに名前だけ答える

だが、フレイはそれだけでは満足できなかったようで


「ギルドランクと属性は?」


「好奇心は猫をも殺す。……あのマスターに教わらなかったのか?」


地球の諺はわからないとは思うが、言葉に少し殺気を込めたので意図はわかってくれたと思う

殺気を込めた瞬間フレイが顔を赤くして体を震わせたが気にしない

気にしてはいけない


「いい殺気……」


やっぱり気にしないのは無理

さっさと逃げるか


「ごちそうさま。いくらだ」


しかし、返事がない。ただのトリップ中のようだ


「落ち着け、俺……」


イラッてしたが殺気をぶつけてはいけない

さらにトリップが深くなる

だから小さく言葉に出して自分に暗示をかける


「おう、レインじゃねぇか。元気か?」


ギリィ登場。ナイスタイミング

俺が無言でフレイを指差すとギリィはため息をついた


「……またか……」


恒例なんですね、わかります


「とりあえず、すまなかった。えっと会計だな?」


空になった皿を一瞥するとギリィは状況を一瞬で把握した


「……100Gだ」


銀貨を二つ(・・・)渡す


「……なにが知りたい?」


「俺のことを聞きに来たやつの名前と地位。小物は無視していい」


「……ギルドの幹部である流水のリリィ。そして、Bランクパーティーのリーダーの雷徹のゲンだ」


「そうか……」


ギルドの幹部については予想はできていた。だが、Bランクパーティーのリーダーが来るとは……


「もちろん教えてはいないだろうな?」


「ああ……こういうのは信頼があってこその商売だからな」


「わかった……じゃあな」


くねくねしているフレイを一瞥して酒場を後にする

同時に何人かの冒険者が席を立つのを空間魔法のサーチで知る

十中八九、今マスターが名前を上げた連中かその関係者だろうな


その後、俺はギルドでルナ・バタフライ(デカい蛾らしい)討伐依頼を受けると街の外へ出た


……数人のストーカー共と一緒に


そろそろうざいからルナ・バタフライの前に討伐しても良いだろうか?


「面倒だな……」


早く家(地球)でごろごろしたいっていうのに……全くもって邪魔なやつらだ


〜勇者は今〜


考え込む姫を引き連れ城へ帰還。夕食タイム


〜作者の一言〜


あの変態は主人公に惚れたわけではありません。繰り返します。惚れたわけではありません。勘違いしないように!

あとこの話を書いていてシチューが食べたくなった

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