裁判
「判決を言い渡す。西部ウェストリア王国への襲撃、国王の殺害、中央スブェルへの襲撃、よって魔王アレースを逆転生の刑に処す。」
逆転生、アンダースヴェルトに存在する刑罰の中で最も重いものである。内容は“特別な方法で死刑を執行し、異世界(現世)に転生させる”というもの。魔法を生活の基本としているアンダースヴェルトの生き物にとって、魔法が使いないと言われている現世への転生は悍ましいものである。そして今、裁判官がアレースにそれを言い渡した。逆転生を言い渡されたのは、60年前の魔王イーギス、12年前の軍師ロステールにつぐ3人目である。
「アレースよ、なにかあるか」
「いいや、」
極刑を言い渡されたにも関わらず、アレースはどこか余裕のある表情をしていた。
裁判から1週間後、現世時間で7月14日午後3時30分、処刑広場と呼ばれているアウスヒューフング広場で、刑は執行された。敷かれた魔法陣の中心に、手を縄で縛られたアレースが立つ。その周りを4人の執行官が囲み、転生の呪文を唱える。その間も、アレースは余裕のある表情をしていた。そして、10分後の午後3時40分、詠唱が終わると同時にアレースはこの世界から消えた。
ここから、現世への転生が始まるのであった。




