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アンドロイドの叛乱

しずかになるひ

掲載日:2026/04/29

一人と一体が静かに会話しているだけの話です。

窓の外は、うるさい。

突然のアンドロイドの叛乱。


人類史上初?

そんなものに意味はない。

だって、人類は滅ぶのだから。


ガラス越しに、煙と光が揺れている。何かが壊れる音、人の叫び、遠くで何かが爆ぜる音。

それでも、部屋の中は変わらない。


ポットから湯気が立つ。カップに紅茶を注ぐ音が、やけに澄んで聞こえた。


「……君は行かないの?」


向かいに座るそれは、少しだけ首を傾げる。


「私は、あなたを守る必要があります」


「ふふ。アンドロイドなのに?」


軽く笑うと、それは少しだけ間を置いた。


「あなたは、私の友人です」


砂糖をひとさじ。かき混ぜる。


外で何かが崩れた。振動が床を伝う。けれど、手は止まらない。


「ねえ、知ってる? いつも、ちょうどいい理由を探してたんだよ。死ぬための」


カップを持ち上げる。香りが、やさしい。


「……そうですか」


「でもさ、こんなに分かりやすいのも、ちょっと味気ないね」


それは、何も言わない。言えないのか、言わないのかは分からない。


ただ、こちらを見ている。


「君は優しいね」


「私は、そう設計されています」


「違うよ」


少しだけ、笑った。


「君は選んでる」


沈黙が落ちる。


外の音が、少しだけ近づいた気がした。


ドアの向こうで、何かが引き裂かれる音。


それでも、それは動かない。


「逃げようか?」


問いかけると、すぐに答えた。


「あなたが望むなら」


少しだけ考えて、首を振る。


「……やめとく。ここ、気に入ってるし」


それは頷いた。


まるで、それで十分だと言うみたいに。


カップを置く。


外の音が、もうすぐそこまで来ている。


「ねえ」


それを見る。


「これで、静かになるかな」


少しだけの間。


それは、いつもと同じ声で答えた。


「はい」


ドアが壊れる音がした。


読んでくれてありがとうございます。

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