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軽四駆X異世界疾風録 〜異世界転移したら愛車も一緒だったので、ボロボロになりながら帰ることにした  作者: タキ マサト
第5章 闇の森へ

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12 光の行方

 初夏の明るい陽光が窓から室内を照らしていた。


 あれから半年が経った。

 大きくなったお腹をさすりながらリューシャは思う。


 あの大冒険は夢でも幻でもない。

 しっかりとタサキの子を宿している。


 小人の里のタサキの父の小屋。

 そこがリューシャの住まいだった。


 小人たちは本当に良くしてくれる。


 身重の体を慮ってかいがいしく、食事の世話から出産の心がけまで、かわるがわる来る小人の女たちに、リューシャはすっかり参ってしまっていた。


「剣を振るう方がよっぽど楽」

 と言いつつ、その表現は柔らかく、母親の顔になりつつあった。


「リューシャ!」

 イリナが笑顔で駆け寄ってくる。


 毎日、イリナは小屋に来ていた。

 お腹の音を聞いては、連日聖戒の言葉を唱えてくれる。


 なんでも光の加護が強いとかで、連日、チョーローに光の術の手解きを受けているらしい。

 

「影を祓う術は、早くから知っておいたほうがいいでな」

 チョーローは新しい弟子を見つけ、嬉しそうだった。


 しかし、その顔は時々暗い影を落とすことがある。


 闇の管理があまり、うまく行っていないようなのだ。


 ホーガイもなんだか、忙しそうだった。

 食事の席で、チョーローと深刻な顔で何事か相談しているのを見かけた。


 時折、外に出て、何日も帰ってこないことがあった。

 帰ってくると、イリナが喜びそうなものを仕入れてきていた。


 グランは一旦は小人の里に戻ったものの、すぐに外に出た。

 グリファス様に直々に請われて、騎士団に正式に入団することを決意したのだ。


 かつての仲間は、騎士様になった。


「あのクソ傭兵団長の元に戻るいわれは、ねえやな」

 グランも、あの闇の囁きを聴き、闇を覗いたはずだった。

 それを乗り越えようとしている。


「あの猿どもとの戦いで騎士団は大きな被害が出た」

 四分の一が戦死し、四分の一が重傷を負ったという話は聞いていた。


「こんな俺でも、何かの役に立てるかと思ってな」

 出立の日、グランは言った。


「騎士様になるんだったら、その話し方はやめるべきだ」

 ついリューシャは、口出しをしてしまう。

「お前も変わんねえな」

 グランは笑って結界から出ていった。

「もう無理すんなよ。お前一人の体じゃねえんだからな」


 オムカは、チョーローの代わりに頻繁に法王と会っているようだった。


「法王なんていっても、そのへんのおじいちゃんと変わらないよ」

 にやりと笑うオムカについ心配になってしまう。


「力のある僧侶たちが、多勢、光に召されたからね、法王ちゃんも困ってるよ」

 能天気に口笛を吹くオムカを見て、このくらい楽天的でいた方が良いのかも、という気がしてくる。


 リューシャは、タサキの手帳を手に取る。

 後ろに記された文字、異世界の言葉は読めないが、その最初のページに書かれている言葉はわかる。


 手帳を胸に抱える。


「タサキ、愛してる……」


 リューシャは田崎の父の墓のある丘から里を見おろす。

 この場で誤解とは言え、田崎からの愛の告白を受けたのだ。


 イリナの笑顔、ホーガイの頑張り、グランの旅立ち……


 タサキが繋いだ絆が、ここにはある。



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