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第319話 意外なつながり

「あ、あぁ、実はもう鷺沼さんと新田があらかた目星をつけているようだ」

「マジか! すげぇな!」


(そういえば、コイツがいるんだよな……)

翔太は野田に対してどのように振る舞えばよいのか決めかねていた。

今の翔太は翔動という立場でここに来ているが、それは霧島プロダクションから仕事を受けているからだ。


しかし、翔太がこのシステムに関わっているのは前職のアクシススタッフに在籍していたときからであり、そのときの同僚が野田だ。

そして、野田は橘に変装した神代(ボクっ娘バージョン)にも会っている。

何かしらのつながりを推測されてもおかしくはない状況だった。

もし、鷺沼が野田の立場だったら一発で解明されるだろう。


「そんで、柊は映画のスポンサーだけじゃなくて、キリプロのシステムにも関わっていたんだな」

「あぁ、翔動(うち)とは資本提携しているからな」


翔太は嘘にならない範囲で答えた。

映画の試写会では偶然野田と会っているが、そのときは映画のスポンサーという立場だった。


「なんで野田がここにいるんだよ。パーソナルメディア事業部じゃないだろ?」

「このシステムの監視系は俺が関わっているんだよ」

「うそん……」


翔太はようやく野田がこの場にいる理由に納得がいった。

運用監視は状況によっては複数のシステムを対象とすることもあり、その監視項目にはセキュリティアラートも含まれている。

アストラルテレコムのときの業務でも、監視系のシステムは翔太と野田が関わっていた。

そのことがきっかけで、アストラルテレコムのオペレーションルームが映画のロケ地になったりと、意外なところでつながりが起きている。


「そんで、攻撃者の特定ができたのか?」

「あぁ、いくつかのシステムが踏み台にされているが、元をたどれば小さな会社だ」


侵入者は巧妙な手口で身元を隠していた。

しかし、鷺沼と新田はさらに一枚上手で、相手を特定していた。

翔太二人のスキルの高さを改めて感じるとともに、心強く思った。

(鷺沼さんが翔動(うち)に来てくれれば、伏竜と鳳雛がそろったようなもんだな)


「キリプロのシステムを担当しているってことは、芸能人に会えるのか? うまくいけば、くまりーやしらーやに……」

「んなわけねーだろ。システムの設置場所を所属タレントは知りもしないよ」


実際に神代や白川はブログのシステムに関わっているが、公にはされていない。

そして、翔太は口が裂けても神代と合宿中であることは言えなかった。

それが明るみに出れば、神代の大ファンである佃も驚くだけでは済まないだろう。

また、白川と婚約させられそうになったことが明るみに出れば、彼女の大ファンである大熊も――

(あれ? 結構危うい感じ?)


「スーパーフィールドというITコンサル系の会社のようです」

橘は早速侵入元の企業を特定して、調べたようだ。

相変わらずの仕事の早さで、翔太は慣れているが、周りは一様に驚いていた。


「柊、知っているか?」

「いゃ、全然……」


橘によると、事業規模が小さいIT企業のようだ。

そんな企業が大手芸能事務所に対してサイバー攻撃を仕掛ける理由が全く思いつかなかった。

それゆえに、翔太は何となく別の世界で起きている出来事のように感じていたが、橘が小声で翔太にだけ聞こえるように放った一言で、一気に目が覚めた。


「――庭場組のフロント企業のようです」

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