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第277話 二元交渉4

(これあかんやつや……)

神代のレクチャーを受けた翔太でなくてもわかる。

刈谷は本気で怒っていた。


これまで刈谷が船井に対して行ってきたことからも、相当な私怨が溜まっていたことが想像できる。

メディア上では温厚に振る舞っているように見える刈谷であるが、その裏では船井を徹底的に潰していた。


(ん、来たか)

翔太の携帯電話のバイブレーション機能が動作した。

これは石動からの合図だった。


翔太は手持ちのカードをどのように切るかをあらかじめ考えていたが、まずは刈谷を宥めるために切る順番を変更する必要があると判断した。


「船井さんはさくら放送株を御社に売却する意向を示しています」

「本当かっ!?」


翔太は刈谷のあまりの食いつきのよさに引いていた。

この様子から、議決権を少しでも確保したいことがひしひしと伝わってくる。


「はい、石動の説得に応じてくれたようです」

「きみたちは我々の味方だと思ってよいのかね?」

「さ、先程の条件次第ですが……」

「む、そうか……」


(どうやらこの順番で合っていたようだ)

翔太は内心でほっと一息ついた。


「あの船井を説得するなんて、君のところの社長は相当やり手なんだな」

「ま、まぁ……そうですね」


翔太としてはここは断言しておかなければいけないところだったが、心の準備ができていなかった。

(実物を見たらびっくりするんだろうな……)


「船井さんはあれだけのことをされながらも、譲歩して手を引こうとされています。

お互い思うところはあるでしょうが、そろそろ現実的な落とし所を探る時期だと具申します」

「む、知ったふうなことを……いったい、私が船井に対して何をしたと言うのかね」


「全部を知っているわけではありませんが、エッジスフィア社はリース契約の解除や銀行融資を差し止められています」

「それを私がやったと言うのかね」

「必要でしたら、然るべきところに調査をさせます」

「むっ……それは……」


翔太は刈谷のことを調べ尽くしてこの場にいるが、対する刈谷にとって翔太は得体のしれない相手だろう。

刈谷の情報を集めていた翔太は、刈谷は勝てる確信がない限りは踏み込んでこないと分析していた。


(そろそろダメ押しにするか)

翔太はここで一気に畳み込むことにした。


「我々が保有しているさくら放送株の半数は、逢妻氏から譲渡されたものです」

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