第252話 メディアの将来
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今日は番組宛のメールが、めちゃくちゃ届いています!
特に初めてのメールが多いようで、そのほとんどが船井さんに対する質問です
ありがたいですね
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船井がこの番組に出演することは長町のブログでも事前に紹介されていた。
このブログにはサーバーがパンクするほどのアクセスとコメントがあり、翔太はその対応に追われていた。
コメントの中には船井を誹謗中傷するもの、テロまがいの行為を予告するなどの危険な内容も含まれていた。
悪質な書き込みは自動的に非表示となっているが、その中でも危険性が高いものは橘に対応を依頼した。
場合によっては法的措置が取られるだろう。
翔太は改めてメディアを支配することに対し、世間の反発が尋常じゃないことを実感した。
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ラジオネーム『ネギラーメンネギ抜き』さんからいただいています
ありがとうございます! それただのラーメンや!
ははは
『ずばり船井さんにお聞きします
テレビとラジオはなくなってしまうのでしょうか?』
テレビもラジオにも出演している私にとっても、これは気になりますね
船井さんいかがですか?
断言します、絶対になくなりません!
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張り詰めていたスタジオ内の空気が和らいだ。
メディアの報道の一部では、船井が既存メディアを滅ぼすような論調もあったためだ。
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理由を詳しく教えてください
いいですか
ラジオとテレビは莫大なリスナーと視聴者を抱えているんですよ
そして、数に限りある公共の電波を使えるという特権があります
この宝といえる資産を活用しないなんて、経営者からしたら愚の骨頂です
なるほど
船井さんならもっとうまく活用できるということですね?
もちろんです
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翔太は周りのスタッフがそわそわし始めたことに気づいた。
(なにが始まるんだ?)
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では次のメール……
おや? メールではなく、本番組のプロデューサーから船井さんに質問があるようです
お答えいただいてもいいですか?
何でも答えます!
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どうやらスタッフ側に仕込みがあったようだが、長町には事前に知らされていないようだ。
しかし、長町は一切動揺を見せることなく続けた。
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船井さんなら、本番組『みうトーク』をどのようにしますか?
そうですね……
今長町さんがされていることをもう少し発展させます
と言いますと?
長町さんはブログに寄せられたコメントを拾っているじゃないですか?
はい、よくご存知ですね
これをもっとリアルタイムにするんですよ
番組中に寄せられたコメントを出演者が拾ってリアクションします
そんなことができるんですか?
僕ならできます
なんと!
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船井が言っている内容は、未来ではインターネット上の生配信で一般的に行われていることだ。
しかし、この時代では画期的なことと受け止められるだろう。
その後も長町は時間が許す限り、リスナーのメールやメトロ放送とさくら放送の局員から寄せられた質問を取り上げ、船井はこれに即答していった。




