表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/324

第251話 メディアの変革者

〰〰〰〰

実は、さくら放送の上層部から「やめておいた方がいいんじゃないか」という声もあったんですよ


そりゃそうでしょうね

よく上の方が納得してくれましたね


ふふ、それは企業ヒミツです

〰〰〰〰


妖しく微笑んだ長町に、船井は一瞬心を奪われたように見えたが、すぐに表情を元に戻していた。

船井が長町のファンである情報に間違いはなさそうだ。

さすが一流の経営者といったところか、船井は長町の美しさに目を奪われながらも、すぐに平静を取り戻していた。


(頼むからこっちを見ないでくれ……)

長町が『企業ヒミツです』と言った時、翔太は一瞬長町と目が合った。

これに気づいたのは本人たち以外では橘くらいだろう。


翔太と橘は、長町の番組に船井をゲストに呼んでもらうことを依頼していた。

これは船井に発言の場を与え、メディアが世論を意図的に誘導することを防ぐ狙いがある。

このため、編集で発言の切り取りが行われないよう、生放送である必要があった。


プロデューサーをはじめ、局内の人員を納得させる影響力を長町は持っていたため、彼女が首を縦に振ることでこの企画が成立している。

そして、長町はこれを引き受ける代わりに、翔太に()()()()を突きつけていた。


(はぁ、綾華もそうだけど、キリプロのタレントは交渉が上手いよな……)

翔太としては対価を用意した方が長町とは交渉しやすいのは確かだったが、後のことを考えると翔太の気が重くなった。


〰〰〰〰

早速ですが、船井さんはなぜさくら放送の株を買おうと思ったんですか?

世間では『メトロ放送を乗っ取る』という憶測が広がっていますけど


その言い方がまず間違っています

「乗っ取り」ではなく、「投資」です

我々エッジスフィアは、さくら放送に投資する価値を見出したから株を購入しただけです

そもそも、メディアの世界は古いビジネスモデルに縛られすぎていると思いませんか?


ラジオやテレビの世界は伝統的な価値観が強いかもしれませんね


そうなんです

インターネットの時代に、なぜテレビやラジオがこれまでのやり方に固執するのか

視聴者や聴取者のニーズは変化しています

しかし、既存のメディアグループは自分たちの城を守ることしか考えていません

〰〰〰〰


船井が熱く語りだしたことで、スタジオ内の誰もが船井の言葉に耳を傾けている。

おそらくリスナーも同様だろう。


〰〰〰〰

古いビジネスモデルとおっしゃいましたが、船井さんが掲げる新しいビジネスモデルとは何ですか?


現在のラジオとテレビはスポンサーからの収入に依存しています


たしかにそうですね


一方、我々が行っているインターネット事業では、サブスクリプションモデル、フリーミアムモデル、従量課金モデルなど、さまざまな収益モデルが存在しています


テレビやラジオにそのような収益モデルを加えて、収益力を強化するという狙いでしょうか


はい、そのとおりです

そして、テレビやラジオはインターネットにないものを持っています


気になります、それは何でしょう?


圧倒的なリーチ力です

インターネットはまだ発展途上ですが、ラジオやテレビには多くのリスナーや視聴者にコンテンツを届けることができます


インターネットにもそのリーチ力を持たせたいということですね

これが船井さんの言う「テレビとネットの融合」でしょうか


おっしゃるとおりです

〰〰〰〰


ピリピリとしていたスタジオ内のスタッフは、いつの間にか船井の話に引き込まれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ