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第245話 関心

「まぁ、仕方がないな」

霧島プロダクションの社長室で、翔太は石動の報告を聞いていた。


翔太が逢妻と対局をしていたとき、石動は白鳥銀行の頭取、白鳥基人(もとひと)から資金調達をするための提案を行っていた。


翔太と石動は、基人と面会するために綿密に準備を重ねてきた。

白鳥の父である詮人(あきと)にも相談に乗ってもらい、万全の体制で交渉に当たるつもりだった。


資金調達に関しては全面的に石動に任せていたが、今回ばかりは翔太も同行するつもりだった。

これは白鳥銀行からの資金調達金額の目標を100億円としており、オペレーションイージスの行方を左右するほど重要な交渉だったためだ。

しかし、基人との面会は逢妻に会う日とかぶってしまい、今回も石動に任せることになった。


石動の話を聞く限り、全身全霊を尽くしていたようだが、それでも石動の提案は受け入れられなかったようだ。

石動の報告によると、白鳥グループは各メディアに対して均等に広告料を支払っており、よほどのことがない限りはこのバランスを崩せないとのことだった。


「でも、せっかく柊が完璧なお膳立てをしたのに……」


石動は悔しさを抑えきれないようだ。


「俺が白鳥銀行から資金調達できていれば、もう勝ち確定だったんだよな?」

「まぁ、そうなるな」


石動が調達した資金で逢妻の持ち株を買い取ることができれば、目標の株数に到達できていた。


「逢妻氏が持ち株を市場や第三者に放出しないことが分かりましたから、まだ時間はあると思いますよ。

もし船井社長に売却していたら、その時点で終わっていましたから」


橘は冷静に現在の状況を分析していた。


「白鳥銀行がダメな以上、別のところから調達する方法を考えないといけないですね」

「そうですね。霧島プロダクションに出資できる金融機関は――」


基人の反応を聞く限り、仮に翔太がいたところで状況は変わらないだろう。

勝ち目のない交渉の場に石動を立たせたことに多少の申し訳なさを感じたが、これも経験のうちだと勝手に思うことにした。


翔太が次の資金調達先を思案しかけたところで、石動から意外な報告があった。


「白鳥銀行といえば、白鳥の妹に会ったぞ」

「ええええっ!? しらか――綾華に会ったの?」

「えっ? そんなに驚くこと?」


石動は不思議そうに翔太と橘を見ていた。

橘も驚いていたようだ。


「橘さんも白鳥の妹――綾華さんをご存じなのですか?」

「ええ、それなりに……」


(それなりにも何も、雇用主なんだが……)

翔太は内心のツッコミを胸に留めた。


橘は「どうしましょうか?」という表情で翔太を見た。

翔太は詮人が素性を明かしている可能性もあるので、とりあえず聞いてみるという意味でこくんと頷いた。


「綾華は()()のことを何か言っていたか?」

「親父さんと一緒にいたから、手伝っていたんだと思う」

「あれ?」「おや?」


石動の発言は翔太にとって予想外だった。

橘も同様の反応を見せた。


詮人は白川の職業を明かさなかったようだ。

翔太の記憶では白川の存在を知らなかったため、彼女が芸能人であることを石動が知らないのは当然の帰結であった。


「石動さんらしいですね。柊さんもそうでしたし……」

橘も納得しているようだ。


翔太は思案した。

白川が白鳥不動産を継ぐ日がくるのだろうか……そうなると、したたかな彼女が翔太に対して何らかのアプローチをしてくる可能性もある。

(とりあえず、怖いことを考えるのはやめとこう)


「それで、その綾華さんが俺たちの行動に興味を示しているようで――」

「うそん……」


石動の報告はさらに翔太を驚かせた。

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