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第191話 観藤会4

「石動くん、義人(よしと)はしっかりやれているかい?」

詮人の問いに石動は白鳥のことを話していた。


詮人によると、白鳥に自分の跡を継がせる意思がなくなったことに変わりはないようだ。

(まさか、本当に綾華に継がせる気なんだろうか……)


***


「――よかったら石動くんのところでも、働かせてくれないか?」

(うおぉい?)


詮人は白鳥に跡を継がせるどころか、翔動への就職を提案してきたことで翔太を驚かせた。

白川がWeb Tech Expoに参加したことで、詮人は翔動の技術に興味を持ったようだ。


(うーん……石動は現同僚だけど、俺にとっては、こっちが一方的に思っている元同僚なんだよな……)

仮に、白鳥と仕事をすることになった場合、翔太は石動と同じように接してしまいそうなことが怖かった。


「白鳥は優秀なエンジニアです。もし、弊社に来ていただけるなら、大変心強いです」

石動は強い口調で続けた。

「これは決してお世辞じゃありません」


「! ……ふむ……」

詮人は驚いた表情を見せた後、何やら考え込んでいた。


「テレビ番組で、石動さんがデルタファイブと自分の会社を掛け持ちしていることが話題になりましたが、ご自身の会社に専念しようとは思わないのですか?」


法善寺は白鳥家の一族ではなく、叩き上げで社長に就任している。

会社員と経営者の両方の苦労をわかっており、思うところがあるのかもしれない。


石動は翔太にアイコンタクトを送ってきた。

『おぃ、柊、言っていいか?』

『いいぞ』


「私がデルタファイブに在籍している理由ですが――」

この場の全員の視線が石動に集まった。


「半導体を作りたいんです」

「「……」」

料亭の個室に、二度目の静寂が訪れた。


***


「――はい、半導体の技術革新は急激に変化します。製造技術を進めていくには先進化していく必要があります」


石動は名だたる企業のトップを相手に、半導体に対する持論を展開していた。 ※1

その姿は堂に入っており、当時の自分には持っていなかった輝きを感じた。


(もはや、石動景隆は、俺と違う人生を歩んでいるんだな)

石動の変化は望ましいものであったものの、僅かばかりの寂寥を感じた。


※1 「俺と俺で現世の覇権をとりにいく」 119話 https://ncode.syosetu.com/n7115kp/119/

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