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第188話 観藤会1

「白鳥尊人(たけと)だ」

(白川と白鳥のじいさんか)


尊人は白鳥グループを束ねる、白鳥ホールディングスの会長だ。

白鳥家やグループ会社の関係者には『総帥』とも呼ばれている。

白鳥グループ総裁の権力や影響力は凄まじく、経済界や政界、学術界など、あらゆる分野に及んでいる。


ここはホテル藤陽荘にある料亭の個室だ。

翔太と石動は黒田によって出迎えられ、赤澤の運転する高級車で送迎された。


藤陽荘は白鳥不動産が経営しているホテルで、国際的な要人や著名人を招いた晩餐会や、将棋や囲碁のタイトル戦が行われるなど、格式が高いホテルとして知られている。


『この人が白鳥グループの総裁か……』

超大物を前にした石動の緊張が翔太にも伝わってきた。

尊人はその場に現れるだけで、圧倒的な存在感を放ち、その立ち居振る舞いには自信と威厳が溢れていた。


「柊くん、まずは礼を言わせてくれ。大切な孫娘を守ってくれて、本当に感謝している」

『『えええええっ!!』』


尊人が深々と頭を下げたことで、翔太は驚きを隠せなかった。

隣の石動は、庭園の池にいる鯉のように、口をパクパクとさせていた。


「あの子は白鳥家にとっての宝だからね。姪の命を助けてくれて本当にありがとう」

白川の父、詮人(あきと)の兄弟と思われる人物から、次々と頭を下げられ、二人は恐縮するしかなかった。


***


「この集まりは観藤会と言ってね」

晩餐会が始まり、詮人は説明を始めた。


翔太は而今という日本酒を振る舞われていた。

(上田がいたら、がぶ飲みするんだろうな……)


「元は当家の祖先がこのホテルを開業したとき、藤を見ながら一族の会合をしたことから始まったんだ」

藤陽荘の庭園には四季折々の景観が楽しめるように設計されており、中でも藤棚は満開の紫色の花々が、優雅に揺らめいて、芸術とまで言われている。


「今では白鳥グループのトップの会合になっている。したがって、白鳥家以外の人間も集まるんだ」

この場にいるのは、銀行の頭取や証券会社の社長など、そうそうたる顔ぶれであった。


観藤会で話し合われたことは、その後の政財界に大きな影響を及ぼすことになる。

それほどまでに重要な会合に居ることがわかり、石動の表情は強張った。


「会の幹事は持ち回りでね、今回は私が担当している」


翔太はこの話を事前に白川から聞いていた。

白川をWeb Tech Expoで案内する代わりに、彼女が対価として提示してきたものだった。

以前の翔太であれば断っていたかもしれないが、翔動のビジネスを考えた場合、白鳥グループとつながりを持つ恩恵は計り知れなかった。

(詮人さんからも、尊人さんに会ってほしいと言われてたしな)


「この会では、幹事がゲストを呼ぶ権限を持っているんだ。

ここまで言えば君たちがここにいる理由がわかるだろう?」


相当な地位がなければ、この会のゲストに呼ばれることはないことがうかがえる。

白川が仲介してくれたからこそ、分不相応が許されるのではないかと翔太は推測した。


「幹事権限で、私からいいかな? 柊くんは今後の不動産業界について、どう思っている?」


翔太の脳内では業界の歴史が逆再生されていた。

白鳥家家系図です

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2912467/blogkey/3462373/

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