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第180話 美少年

「正直、なめていたわ」

あまりの来客の多さに、上田は驚きを隠せなかった。


Web Tech Expoの翔動のブースには来場者が続々と訪れていた。

隣にある映画『ユニコーン』のブースにはおびただしい数の来場者が集まり、翔動のブースはそのおこぼれに与かっていた。


「神代さんってすごいんだな……」

「俺もここまでとは思っていなかったよ」


石動はしきりに感心していたが、この状況は翔太も想定外だった。

翔動のブースでは、ユーザー投稿型のeラーニングサービス『ユニケーション』の紹介が行われていた。

リリースされたばかりのサービスで認知度はなかったが、映画『ユニコーン』のコラボレーションが奏功し、イベント参加者に知れ渡ることになった。


「下山さんが抜けてしまったら、カツカツだな」

「いゃ、俺も――」


現在は翔動のスタッフ総出でなんとか対応しているが、下山は登壇が控えているため、手薄になることが確定していた。

翔太は申し訳なさそうに石動に何かを言おうとしたが――


「柊さん、本日はよろしくお願いします」


ソプラノ歌手のような美しい旋律を奏でるような声に、周囲の注目が集まった。

アイドルと見紛うほどの美しい容姿をした少年は真っ直ぐに翔太を見つめていた。

(狭山よりカッコいいんじゃないか……?)


翔太は後ろに控えている黒田の存在を確認し、この人物が誰であるかを認識した。


「石動、すまん、この人と約束があるんだ」

「そういえば、そんなこと言ってたな……って今から!?」

「助っ人を呼んでいるので、それで勘弁してくれ」


文句を言う石動を尻目に、翔太は少年を連れてこの場を去った。


***


「おぃ、綾華。ここでは何て呼べばいいんだ?」

翔太は周りに聞こえないような声で、白川に尋ねた。


義嗣(よしつぐ)でお願いします」

「もしかして足……まぁ、わかった」


イベント会場は大変な人混みであったが、黒田がうまく対応しており、白川に接近できる者はいなかった。

(すげー……忍者みたいだな)


「それで、義嗣はどこに行きたいんだ?」

「柊さんのおすすめのトークを聞きたいです」

「うーん、インフラ周りか?」

「柊さんのおすすめのトークを聞きたいです」


(久しぶりのNPCモードだ)

こうなった白川はテコでも自分の主張を曲げないのはわかっていた。


「わかった。面白いのは多分……ん?」

「はぐれるといけないですから」

(んー……傍から見たら、男同士なんだけど)

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