表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/324

第162話 捗る

「捗る……」

ワンルームマンションの一室で、イラストレーター『まみやり』は、翔太と石動を見るなりそう言った。


彼女はゲーム『シティエクスプローラー』のキャラクターデザインを担当しているイラストレーターだ。

このゲームはMoGeが制作しており、石動は株主である立場を利用してイラストレーターを紹介してもらっていた。


「今宮さん?!」

「あれ?どこかでお会いしたことがありましたか?」

「あっ!」


目の前の若い女性は怪訝な表情で翔太を眺めていった。

翔太は驚きのあまり、自分の失言に気づいていなかった。

(しまったぁ……()()()のはずだったのに……)


「柊の知り合いか?」

石動は翔太がゲームのイラストレーターを知っていることに驚いていた。


()()()()()()。あ、あの……柊です。野田から何か聞いていませんか?」

「あー! 健吾くんの同僚の!」

「元同僚ですが、それで合っていると思います」

「なるほど……健吾くんが写真を見せたんですね」


今宮は合点いった表情になったことで、翔太は安堵した。

(あ、危なかったぁ……勝手に勘違いしてくれて助かったぁ)


「あれ、本当にどこかで会ったような……」

「えっと、イラストレーターのまみやりさんですよね?」

翔太は必死に話題をそらした。


今宮涼子(いまみやりょうこ)といいます。『まみやり』の名前で活動しています」

「なるほど、ペンネームは本名から取っているんですね」


名刺をもらった石動は感心していた。

名刺のデザインは洗練されており、愛くるしいキャラクターが描かれていた。


***


「スライドのポイントとなるところに挿絵を入れたいのですが」


石動は具体的な仕事内容の説明を始めた。

翔動が提供するeラーニングサービスには、公式コンテンツが提供されている。

内容は翔太が作成し、声優が内容を読み上げている。


「うわっ! 須賀川さんの声、めっちゃ素敵ですね!」

須賀川は霧島カレッジの候補生だ。

石動によって才能が開花し、ゲームに出演するほどに成長した。 ※1


「――声が須賀川さんということは、ファナのイラストを入れるんですか?」


ファナはゲームに登場するキャラクターだ。

主役は長町が演じるナナで、ファナはその妹である。


「版権は買う予定ですが、ゲームはまだ未発売なので、コラボレーションは発売後に行います。

今の教材にはオリジナルキャラを原案からお願いしたいのです」

「理解しました。そうなると――」


今宮は仕事の話をしつつも、ときどき自分と石動を見比べながら、「捗る……」と言いながら、恍惚とした表情になっていた。


***


「これは翔動(うち)とは関係ない案件なのですが――」

翔太は今宮に追加の仕事を依頼した。

※1 「俺と俺で現世の覇権をとりにいく」38話 https://ncode.syosetu.com/n7115kp/38/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ