髑髏のふたつの顔Sheet5:パスワードはアナログで
川口から招集がかかった。
アキラとエル、そして育美。
招集というより、招待といったほうがいいだろうか。
ファイル改ざんの謎を解いた謝礼として、クライアントから高級料亭での酒席を設けてもらったそうだ。
先方は顔を出さないから、かしこまらず来て欲しいとの事。
日程は店が定休になる次の月曜、午後六時。
育美は定時で帰れば間に合うのに、半休取って馳せ参じるとノリノリだ。
アキラは出不精のエルは気乗りしないんじゃないかと思ったが、高級料亭の料理に惹かれたみたいだ。もちろんパスワードの一件の詳細も知りたい。
料亭に着くと入口で育美が待っていた。
待ち合わせてたワケではないが、一人で入るのに躊躇してた様だ。
育美が半休を取ったのは、一旦家に帰ってちゃんとした私服に着替える意味もあった。
アキラは遅ればせながらそのことに気がついた。
エルはそれほど服は持ってない。アキラのお下がりと出会ってから買い与えたものが数えるほど。まぁ、それでも可もなく不可もなくといったところ。アキラにいたってはいつもの革ジャンにレザーパンツだ。
さすがに場違い過ぎかと落ち着かないアキラだったが、そんな事はお構いなしに川口から中で待ってるとLINEが来る。
「じゃあ入ろうか」
アキラは動揺を悟られまいと、先導して格子戸をくぐった。
奥の個室に案内されると、ジャケットを脱いだ川口が座っていた。
「やぁ、お揃いで。いらっしゃい」
「グッさん、ちょっと仰々しいわ。こんな敷居の高い所だと思ってなかったから、こんな格好で来ちまったよ」
アキラはそう言いながらも格好悪いのはこの言い訳の方だなと思った。
「まあまあ、そんな事気にしないで。今日は思う存分飲んで食べて。エルちゃん、こういうとこ初めてでしょ?」
「うん、楽しみ」
会席形式の料理は先付から申し分なかった。
漢字がまだ苦手なエルにお品書きに書かれてる事を川口が説明する。
小耳にはさみながら便乗するアキラ。
「そろそろパスワードの件教えてよ。進展あったんでしょ?」
「そうそう、では皆さんにもこの謎を解いてもらいましょう」
川口は上機嫌だ。
「実はパスワードはファイル添付されたのとは別のメールに添付されてました」
「添付なの?」
アキラが聞いた。
「そう、添付画像。手書きのメモだったそうだ」
川口は鞄から1枚の紙を取り出した。
「これがそのメモ。添付画像のプリントアウトだけどね」
「ぷっ、何これw」
あまりに稚拙なドクロの落書きにアキラは吹き出した。
一方、真剣に見つめるエルがぽつりとつぶやいた。
「私、分かったかも知れません」
作者が高級料亭へ行ったことないので、スカスカの描写ですw 会席料理で合ってるんか?